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エドワード

ブクマ登録、200件超えありがとうございます!!

「フィンとユラはい、いますか?」

私は帰って、速攻本館に行って近くにいた使用人に聞いた。

「フィンは今日、休みなんで部屋にいると思いますよ。えっと、ユラは…。」

使用人が答えてくれている時に、ちょうどユラが通りかかった。

「ユラ!セリスティアお嬢様があんたに用があるって!」

そう声をかけてくれ、ユラがこっちにやって来た。

「どうかされましたか?お嬢様。」

「えっと、今、空いてる…?」

たどたどしく聞くと、

「今、仕事が終わりましたので大丈夫ですよ。」

笑って答えてくれた。

「じゃあ、フィンと一緒に別館に来て欲しい…けどいい?」

まだ、その場にはさっきの使用人がいたため、引っ込み思案な感じで言う。

実は、これ結構難しい。やりすぎるとわざとらしくなるし、やらなすぎると普通に聞こえてしまう。

「分かりました。では、後で伺いますね。」

ユラがそう言ってくれたため、私は部屋へと戻った。



しばらくして、フィンとユラがやって来た。

「で、何です?」

フィンは眠そうに聞いてきた。

そういえば、今日休みだったんだっけ。

ちょっと悪いことしたかも?

でも、私は気にせず今日言われた事を2人に話した。



「それは…難しいですね。」

ユラが困ったように言う。

そして、フィンも顔をしかめて言った。

「えっと、そうだ。ミリアナお嬢様?が厄介だと思いますよ。」

今、絶対ミリアナの名前忘れてたよね。こいつ。

別に、いいけど。

それにしても、何でそんなに困っているんだろ?

「何でミリアナが厄介なの?」

私が聞くと、2人は顔を見合わせて、

「何というか、自分が中心に世界が回ってると思ってる風に感じるというか、なので気に入らない事があったら徹底的に調べそうなので。」

ぎこちなくユラが答えた。

「他の奴らは良い人だとか可愛らしいとか言うんですけど、計算してるようにみえて、お嬢様の仮病もすぐにバレそうですよ。」

フィンも顔をしかめて答える。

マジか。

すごいめんどくさいじゃん。

けど、あくまでもゲームの展開通りに進めたいってことよね。

それなら、いけるかもしれない。

「じゃあさー、単なる風邪ってことにして、あんまり大きな問題にしなかったら大丈夫なんじゃない?」

だって、セリスティアってモブだからいつも出てきてたわけじゃないし、風邪で休んでも大丈夫な気がする。

「そうだと良いんですけど…。」

「あの人の思考、よく分からないんですよ…。」

うん、2人はまだ納得いってなさそう。

そこで、私は2人に指示を出した。

「私がいない間、別館にミリアナが行かないよう注意を配って欲しい。で、フィンは馬車にミリアナをいつも送ってるんだから、ついでに私が風邪って事を伝えて。」

2人は一瞬で真剣な顔になって、

「「分かりました。」」

と答えた。

これでいくしかないよね。他に方法ないし。



「俺、よくミリアナお嬢様に呼び出されるんですよね。あんまり、用がなくても。」

フィンがふと、そう言った。

どうやら、ミリアナはフィンがお気に入りらしい。

「顔がいいからじゃない?顔だけ。」

私が答えると、

「相変わらず、ひどいですね…。でも、仕事に差し支えるから控えて欲しいんですよねー…。」

フィンは少し傷ついたような様子で言う。

すると、ユラが口を開いた。

「その分の仕事がこっちにもくるんですよ。」

ユラは怒っているみたいだ。もしかして…

「やきもちだったりするー?」

私が言う前にフィンが冗談っぽく聞いた。その瞬間、ユラの顔が赤くなる。

「そんなわけないでしょう!」

「えー、可愛いのに。」

あー、まただー。

絶対私の部屋だって事忘れてるよね。

この状況、私はどうすればいいんだ。



「オホン。2人とも、一回黙ろうか。」

私が話しかけた事で2人はやっとイチャイチャをやめた。

「あっ、お嬢様。そろそろ、私は戻ります…。」

「俺も、戻ります。」

気まずそうに2人は言って部屋を出て行った。

リア充っていいよね…。私もそんな人ほしい…。



何か、大事な事忘れてるよーな?

2人が出て行ってから、時間は経ち、1人で腕立て伏せをしていると不意にそう感じた。

そして思い出す。

明日、エドワードと会う約束してたんだった!!

どうやって、バレずに家を出るかに気を取られすぎて忘れてた。

っていうか、私に頼みたいことって何だろ。セリスの姿では初対面だったんだけどな。

セリスティアってバレてるって感じでもなかったし。

明日は土曜日で学園は休み。

午後に約束だから、1時に待ち合わせ場所に行けばいいって事だ。

まあ、何の用か全く見当付かないし、考えるのやめよ。

そう思って、私は眠りについたのだった。




翌日

午前は師匠の所に行って久しぶりに稽古をつけてもらい、そのまま城へと向かった。



やばい。1時に待ち合わせなのに5分過ぎてる!

師匠との稽古に熱中しすぎて私はすっかり時間を忘れていた。

めちゃくちゃ、走って私はやっと待ち合わせ場所についたのだった。



「ごめんなさい!」

もう着いていたエドワードに謝る。

怒るかな?怒るよね!どうしよ!?

私の思いとは裏腹に、

「別に構わない。呼び出したのはこちらの方だ。」

何とも思ってないという風にエドワードは言った。

結構、あっさりしてるんだな。

私は少し意外に思った。

「で、君に頼みたい事なんだが。」

早速本題に入ると、エドワードは少し間を開けて言った。

「妹に会ってほしい。」


イモウトニアッテホシイ?

私はすぐに理解できず、フリーズしてしまった。

「えっ?それはどういう…。」

それで思わず聞き返す。

どうか、聞き間違いであってほしい!

「俺の妹に会って話をしてほしいんだ。」

そんな願いはすぐに打ち砕かれた。

「いやいやいや!意味が分からないよ!?妹さんって貴族だよね?絶対、嫌だ!」

私が全否定すると、

「君は、貴族と平民なんて身分は関係ないと言っていたが?」

エドワードは前に言った言葉を持ち出してきた。

「だって、それは騎士団での話で実際はあるでしょう!?」

実際は、貴族と平民なんて身分の差ありまくるでしょうよ!!

「妹は、貴族という事をを鼻にかけているところがあるんだが、その価値観を変えてほしいと俺は思っている。」

私の言葉を気にせず、エドワードは言った。

そんなの自分でやってよ!!

そう言おうと思った時、

「義母の遺言なんだ。」

エドワードの思わぬ一言で引っ込めた。

マリアンヌの母親が?そんな事を言っていたの?

エドワードは言葉を続ける。

「『自分の事ばかりで娘にひどい事をした。娘がしっかり育つようにあとを託したい。』という手紙が俺に遺されていた。それを実行するには君に頼むのがいいと思った。」

それで、泣いていたのか。

ふと、エドワードが泣いていたことを思い出す。

かなり不思議に思っていたけど、今ので何となく腑に落ちた気がする。

「何で私に頼むのがいいと?」

それでも、私に頼む理由はまだ分からない。

エドワードはしばらく黙っていたけど、不意に口を開いた。

「君は貴族相手でも全く怯まず、自分の思いを貫いていただろう。だから、君なら妹を変えられると思った。」

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