第二騎士団
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「どうやったら、こんな事になるんだ!」
はい、私は今怒られています。誰にって?
ゼンに…。
数時間前
「第二騎士団と第三騎士団にこの書類届けてきてくれない?」
私達はステラさんに2つに分けられた書類を渡された。
騎士団に来てから、1ヶ月が経ち、仕事にもなれてきたし、ゼンとも随分打ち解けたと思う。
「じゃあ、俺は第三騎士団に届けてくるから、セリスは第二騎士団に届けてこいよ。」
「了解。」
私は書類を持って第二騎士団へと向かった。
こっちの方が書類の量少ない…。
ゼンは地味に優しいんだよね。書類を見て少し笑ってしまった。
「この書類、届けに来たんですけど。」
私が近くにいた騎士の人に声をかけると、その人は振り返った。そして、いきなり不機嫌になると、
「あぁ。これはこれは第一騎士団のエリート様じゃないですか。こんな所までご苦労様です。」
あからさまに嫌味を言ってきた!
何なんだ。この人は。
いちいち、こんな嫌味に付き合ってられない。
そう思って、無反応でいるとそれが気に食わなかったのか、
「何とか言えよ!第一騎士団に所属してるからって調子乗ってんのか!?平民のくせに!!」
と、暴言を吐いた。
「別に調子になんて乗ってません。というか、ここでは貴族とか平民とか関係ないでしょう。」
あまりにも幼稚すぎる言動に呆れる。
確か、この人も今年から入ったんだっけ。それにしては偉そうだな。
「ふんっ。一応そうなってるけどな!俺はサフォーク伯爵家の嫡男だぞ!!そんな偉そうな態度とっていいと思うなよ!!」
いやいや、伯爵家って事を盾に偉そうにしてるのお前だろうが。
無視して仕事済ませたいんだけどな…。
「私は平民ですが、実力を認められて第一騎士団所属となりました。それが結果で、事実です。失礼します。」
私は表情を全く変えずにそう言い切り、その場を立ち去ろうとすると、肩をガッと掴まれた。
「じゃあ、俺と一勝負しようぜ。お前が勝ったら俺に対する失礼を許してやろう。そのかわり、お前が負けたら…俺の奴隷になれ。大人しくしてれば、妾にしてやってもいいぞ。」
ニヤニヤ笑いながら言ってきた。
「別に許してくれなくてもいいんで。」
私はにっこり笑って肩にかけられた手を外す。
「じゃあ、ここで謝罪しろよ!!」
ラチがあかない。ウザすぎる。
私は小さく舌打ちして、
「じゃあ、ちょっとだけ相手してあげてもいいですよ?」
と言った。
「そんな口聞けるのはいつまでだろうな?実力で入ったわけでもないくせに。」
は?
私が色仕掛けで第一騎士団に入ったとでも思ってるのだろうか。いやいや、まだ私14だぞ!?
私は心底呆れながらも、
「じゃあ、床に手をついた方が負けって事で。」
と言った。
「いいぞ。スタートだ!」
急に私との距離を縮め、タックルしてこようとする。
私は内心笑った。動きが単調すぎる。
私は近づいてきた頃に屈んで足に回し蹴りを喰らわした。
「えっ、」
私の動きは予想していなかったのか、相手はすぐにバランスを崩す。
その瞬間、私はみぞおちに思いっきりパンチしてやった。
「グハッ!!」
いとも簡単に床にぶっ倒れる。
一言いいですか。
激弱でしょ!!口程にもないってこのことかな?
私はまだ立ち上がれない相手の元に屈んで笑った。
「私に勝てると思って勝負を持ちかけたんですよね?なのに、この様。どう思います?」
「お、前…。」
驚いたように声を出している相手に私は言葉を続けた。
「どうせ、色仕掛けで入ったとか思ってるんでしょうけど。私、14才なんです。知ってました?」
そして、相手の首根っこを掴んで耳元で囁く。
「平民とか女性とか、馬鹿にするんだったらさ。
それくらい強くなってからにしろよ。屑が。」
言い切った私は男から手を離した。
何故か、男は気絶している。
本当に小物だなーと思っていると、
「お前は何やってるんだ。」
上から声がする。
誰だろうと思って上を向くと、めちゃくちゃ怒った様子のゼンが立っていた。
で、今に至る。
「いや、私は悪くない!はず…。」
「じゃあ、何でこんな事になってるんだ?」
笑顔のゼン、怖い!!
「こいつから、喧嘩ふっかけてきたわけであって…。」
ぶつぶつと言い訳をしてると、
「一体、何があったんだ。」
聞いたことのある声がして振り返る。
「おい!話は終わってないぞ?」
後ろでゼンが何か言ってる気がしたけど、私の関心はもう別のところにいっていた。
エドワードじゃん。そういえば、エドワードって第二騎士団所属なんだっけ?
「いや、別に何も!!」
いつのまにか意識が戻ったのか、さっきの男が必死に言い訳をしている。
確か、伯爵家の嫡男って言ってたっけ。
だから、侯爵家の嫡男であるエドワードには頭が上がらないのか。
私はそんな2人に近づいていって、
「この人が、男女差別、身分差別な言動をした上に喧嘩をふっかけてきたので乗ってあげたんですよ。
すごく弱かったですが。」
と言ってあげた。
ふふん。私はまださっきの言動を許していない。
隣からものすごい目で睨まれたけど、私は悪くない!!
「そうか。おい、ジャン。謝れ。」
エドワードは怖い顔で謝罪を促した。
もしかして、本気で怒ってる?
そんなエドワードにビビったのか、
「も、申し訳ありませんでした!!」
と、すごい勢いで謝られた。
「この事は団長に報告しておく。」
「そ、そんな!!」
なんか、ちょっと可哀想かも?
少し同情していると、
「お前もだからな。」
後ろから不穏な声がした。
恐る恐る振り返ると、さっきよりもさらに怒った様子のゼンが仁王立ちしていた。
やばい。忘れてた!
「そ、それだけは!」
慌ててゼンに駆け寄る。
「入団してすぐに問題起こす方が悪い。」
「お願いだからー!!かっこよくて優しいゼン様!!」
とにかく褒めてみると、
「思ってもない事を言うな。寒気がする!」
逆効果!!
ど、ど、どうしよ!?
私があたふたしていると、
「ちょっと、いいか?」
後ろからエドワードに声をかけられた。
まさか、声をかけられるとは思わなくてドキッとする。
いや、バレたわけじゃないよね。全然、容姿違うし!!
そう思いながらも、
「な、何でしょう?」
と、振り向きながら聞く。
「君にちょっと頼みたいことがあるんだが。」
気まずそうな表情でそう言われた。
「頼みたいこと?」
「ああ。」
そうくるとは思わなかったから、ちょっと拍子抜けだ。
「別にいいですけど。」
私は答えた。
ゼンから逃げられるとかそういう理由じゃないよ!?純粋な善意で言ってます!
「ありがとう。では、明日の午後は空いてるか?」
笑みを浮かべながらエドワードは言う。
明日の午後は確か休みだ。
「空いてます。」
答えながらも驚く。この人、笑えたの!?ヒロインの前でしか笑えないと思ってた。
「では、明日の午後にここで待ち合わせでいいか?」
「了解です。」
私達は会話を終えて、エドワードは戻っていった。
ちょっと待てよ?明日って事は…
「団長のところまで一緒に行くか。」
見た事ないような笑顔でゼンが話しかけてきた。
はい、怒られる確定ですよね…。
番外編挟みます!!




