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いけすかない奴

誤字・脱字報告あれば、どんどん言ってくださればありがたいです!!


カキンッ!!

相手の剣を弾き飛ばす。

その瞬間、相手が吹き飛んだ。

倒れ込んだ相手を引っ張り起こし、

「ありがとうございました!」

その場を去る。

いやいや、ちょっと待って。弱すぎじゃない?だって、2分とかからず決着ついたよ?

3人目を秒殺してからそんな疑問を感じた。



私はアルフレッドとの対戦が終わって他の人との対戦を行っていた。

アルフレッドはかなり強かったし、他の人も強いに違いない。

そう思って挑んだのだ。なのに、めっちゃ弱いし!

すごい肩透かしだ。

アルフレッドが強かっただけなのかな?

そうも思ったけど、私の試験はもう終わったし、確かめることができない。

とにかく、終わったらさっき並んだところに行くんだっけ?

私は少しモヤモヤしながらもさっきの場所へと向かった。

「あの、すいません。もう終わったんですが。」

受付の人にそう話しかけると、

「ああ。はいはい。」

こちらの方を向いて、

「ああさっきの子じゃないか。やっぱりアルフレッドは強かっただろ?」

と聞いてきた。

「そうですね。バッジしか取れませんでした…。」

さっきの悔しさを思い出して手に力が入る。

「えっ?」

受付の人は一瞬固まり、

「まさか、勝ったのか?」

と、言葉を続けた。

「一応、試験的には勝ちましたけど…。」

その様子に戸惑いながらも私が答えると、

「信じられない…。」

驚愕の表情で私を見てきた。

私が勝てるとはほんの少しも思っていなかったんだろう。

そりゃ、私は腕細いし男から見たら弱く見えるかもだけど。

その様子に若干苛立ち、

「勝ったのは事実ですから!」

そう言って証拠を出した。

私達、試験を受ける人は3枚の用紙を試験前に渡されていた。

そこに対戦した騎士が試験を受けた者がどんな様子だったかを書き込むのだ。 

これは試験の審査のためだけど、受かってからの所属場所にも大きく影響するらしい。

書いた瞬間、封筒に入れられたから何を書いてあるかは分からない。

でも、アルフレッドは

「これから、よろしくお願いしますね。」

と言ってくれていたから、入団できるはず!!

私はその用紙3枚を受付の人にバンッと渡したのだ。

「ああ。」

受付の人は私に気圧された様子でその封筒を受け取り、中を見ていた。

そして何やら呆れた様子で

「気に入ったんだな…。」

と、何か呟いていたけど私には聞こえなかった。

「はい?」

私が聞き返すと

「いや、何でもない。これであんたの試験は終了だ。結果は3日後また、ここで発表される。別にもう帰ってもいいし、他の奴を見物しててもいいぞ。」

受付の人はそう言って、他の仕事へと戻っていった。



私はもう少しここに残ることにした。

だって、色んな人の剣筋を見るチャンスだよ!?

見逃せない!!

そこで、私はアルフレッドを探すことにした。

あの人と戦う人はどうやって対処するのかを見たかったから。

数分駆け回って、やっと見つけた。

あっ、ちょうど戦ってる。

チャンスだと思い、近づこうとしたその瞬間、ハッと息を呑んだ。

えっ、アルフレッドが押されてる?

さっきまでの余裕そうな態度は全くなく、真剣な顔で剣を振るっていた。

誰?

その相手が気になって、私はさらに近づいた。

そこにいたのは、

あの時の毒舌イケメン!?

アルフレッドと互角、いやそれ以上の力で剣を振るっていたのはあの時の男だった。

驚きを抑えながらも、食い入るようにその戦いを見る。

すごい。アルフレッドの繊細な剣さばきを軽々と避けてる。

その男の剣さばきは何というか、予測がつかないような動きをしていた。

アルフレッドは繊細で動きが読みにくいけど読めないことはなかった。

でも。

こいつの動き、読めない。

いつ、どこでどう繰り出すのかが全く予想できない。

何というか、何も考えずに感でやってる感じ。

そんな風な印象だった。

カキンッ!!

そして、その男はアルフレッドの剣を弾き飛ばし、対戦は終わった。



「全く、相変わらずだね。」

僕が話しかけると、

「いやいや、それほどでも?」

そいつは余裕げに笑う。

「それより、いつもより楽しそうだったな?何があった?」

そいつが不思議そうに聞いてきた。

その問いに僕は笑う。

「面白い子を見つけたんだ。」



何か話してる様子だけど全く聞こえない!

私は必死に耳を働かしていたけど、何も聞こえなかった。

そんな時、話が終わったのか、さっきの男がこちらに歩いてきた。

私はそいつにさっき腹を立てていたことも忘れて、

「ちょっと待って!!」

思わず話しかけていた。

そいつは怪訝そうに振り返って、私を見ると不機嫌そうに顔を歪めた。

「一体、何のよう…。」

そいつが話し終わる前に、

「さっきの動き、どうやってたの!?私は勘で動かしているようにしか見えなかったけど、そうじゃないわよね?何というか、動きが読めないっていうか、ちょっと待って!それより、あの人の動きをどうやって見限ってたのかも教えて欲しいわ!」

疑問やら何やらをぶちまけた。

そいつは目を丸くしていたけど、

「いや、ちょっと待て!落ち着けって!!」

興奮気味な私を落ち着かせるように声を出した。

「いや、さっきの事を教えてもらわないと、落ち着けない!!だって、もう未知の世界?っていうか私もさっき、あの人と戦ったけどバッジを奪うので精一杯だったの!!なのに貴方は余裕風に避けてたし、それもギリギリで!あんな風にするにはどんな練習を!?」

それでも止まらず、私は話し続けた。

「だから、落ち着けって!!」

私はそいつに頬をぐいっと引っ張られ、やっと我に帰った。

「落ち着いたか?」

やっと、静かになった私にそいつは尋ねる。

「落ち着いたけど!質問に答えて欲しいわ!!」

私はさっきの言動に恥ずかしさを覚えながらも、気にしてない素振りで聞いた。

なのに、そいつはニヤッと笑って、

「そうだな。もし、また会ったら教えてやってもいい。」

そんな言葉を残して、歩いていってしまった。



何なんだ!あいつは。

私は苛立ちながら、帰っていた。

まあ、あそこで興奮して引き留めた私が悪かったんだけどね。

でも、確かにすごかった。アルフレッドの剣さばきもだけど、あいつの動き方がすごく綺麗だと感じだ。

口は悪いけどね!!

何か、口悪いのに強いから、自分の中であいつをどう思ってるのか分からなくなる。

だって好印象と悪印象どちらも大きく残ってるんだよ!?

はぁ、まあいい。

あいつは、とにかくいけすかない奴だ!!

私はそう定めて、屋敷の敷地内へと入る。



すると、何だか屋敷がバタバタしていた。

あれ?何かこんな事前にもあった気がするんだけど?

そう思いながら、別館へと入っていった。

またまた、侯爵家で何かあったようです…。

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