第4話 遅刻
翌日、朝日を浴びて目覚ましが鳴る前に響太は自然と目を覚ました。
「起きよう」
のそりと起きあがると、階下に降りる。
都はまだ寝ているらしい。響太はテレビをつけて冷蔵庫の中身をあさる。
(さて、みそ汁でも作………)
「7時30分になりました。天気予報をお伝えします」
「はれ?」
響太は目をゴシゴシこすってみる。どう見ても7時30分だ。6時30分ではない。
(…………あれ?)
「ああああ! 遅刻する遅刻するわー!!」
もはや朝の風物詩となってしまった都が急いで降りてきた。
「あれ響太、何でパジャマ姿なの?」
「寝過ごしたあああああ!」
「ええええええ! なにやってんのよぉ!」
「毎日寝過ごしてる母さんに言われたくないよ! ってなことよりまずいまずい!」
いつもは一部を除き優雅な朝なのだが、今日は朝の準備をまるでしていなかった。
(なんだどうしてこうなってるんだ? もしかしてあの目覚まし鳴らなかったのか!?)
「あうううう、えーと歯磨きしてバッグもって財布もって………」
響太がそうこう考えているうちにも、朝の時間は刻一刻と過ぎていく。
「響太お弁当は!?」
「ある分けないでしょ! 悪いけど今日はどっかで買って!」
「ええええええ! お昼の唯一の楽しみを奪うというの!」
「仕方ないでしょ今日は! って母さん服が前後ろ反対!」
「いやああああ! 息子からの愛情弁当なしはいやあああああ!」
「だだっ子かあんたは!」
響太は、とにかく母につまむものでも作ってあげようと思い、タイマーで炊いておいたご飯でおにぎりを作りラップに包む。
「ぐすぐす……。ああもう時間がない! それじゃ行ってきまーす!」
「待って母さん!」
そういうと響太は作りたてのおにぎりを投げて渡した。
「ありがと響太、って熱う! 熱すぎるよ響太!」
「冷ましてる時間無かったの! そんなことより本当に遅れるよ!」
「ああああ! 遅れるうううう!」
都はいつもの倍の騒がしさで会社に行った。
「俺もやばい本気で!」
(弁当どうしよう? とりあえずあり合わせのものでなんとかしようか)
「って量少なっ!」
普段は余分な量を作らない自分が悲しい。
「ぐぬうううううううう!」
響太は自分の部屋でのうのうとしている、職務怠慢の目覚ましに怒りをぶつけるが、事態はどうにもならなかった。
「本日は全国で気持ちの良い晴天となるでしょう」
…………テレビだけはいつも通り、平和なニュースを流していた。
「あーっはっはっは! それは間抜けだな! ぐっ、げほっ!」
「走りながら笑うと、気管に来るだろ」
走って登校中。響太が健に今朝の目覚まし誤作動を話すと、それはもう健は激笑いだった。
「こんな時間まで待たんでもいいのに」
「俺だって待つつもりはなかったよ! ただ暇だからって通りがかる女子高生に声をかけてたらいつの間にか時間が経ってたんだ!」
「うおい」
迷惑以外の何ものでもなかったろうなと、響太は健の被害にあった女子高生に心の中で謝った。
ぐだぐだやっていると地獄の登山道につく。ここまでかかった時間は約10分。
「きょ、響太長官! 前線が突破されました! もう駄目です! 兵がどんどんやら……ぐほっ!」
健が咳き込んだ。
「健一等兵! 頑張れ! 最後の力を振り絞るんだ!」
「す、すみません響太長官。自分はもうダメです………」
「諦めるな! 愛する祖国のため、我々は諦めてはならんのだ!」
力を出そうと馬鹿やってると、当然のごとく2人は体力を使い果たした。
「ぐうっ、げほっごほっ! たっ健、大丈夫か………」
「…………最後に、もう1度祖国の海を…………」
「ああ! たけるうううううううう――――――!」
結果、当然のごとく遅刻した。




