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霊の心  作者: タナカ
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第36話 転校生?


 いつも通りの登校時間。


「おっす」


 住宅街の、いつもの家(住吉さんとか言う人の家)のそばで待っている(たける)を見つけた。


「なんか、健と話すのは凄い久しぶりな気がする」

「なんだそりゃ」


(いろいろあったからかなぁ………)


 深春は何か用事があるらしく、少し早めにどこかに行ってしまった。

 猫吉はなぜか深春が胸に抱えて持っていかれてしまった。

 母さんはいつもより早めに、余裕をもって出て行った。深春が休業しても、いろいろ仕事はあるらしい。


「それより聞けよ響太! 深春ちゃんが………深春ちゃんが…………」

「ああ。休業宣言を出してたな」

「何故だ深春ちゃーん!!」


 うおーん! と街中で泣き叫ぶ健。


(深春が家にいることは、絶対に言うまい。言ったら確実にコイツに殺される)


 響太はそう胸に誓った。








 教室につくと、いつもより教室内がざわついていた。


「ビッグニュース!! 転校生が来るらしいよ!!」


 髪を振り乱しながら紀子がものすごく嬉しそうにA4のビラを渡してきた。

 新聞の号外だった。『転校生ってどんな人?』という見だしと共に根も葉もない転校生像が紙面いっぱいに書かれていた。

 響太の後ろの席で、真面目な顔してビラを見ている結城がいたが……


(………見るだけ時間の無駄だと思うが)


 『転校生論』とかうさんくさいことが書かれているビラの情報を信じろというのがそもそも無理な話だった。

 ………が。


「何!? 美人か! 俺らのクラスか!? どーなんだ!!」


 くわっと目を見開いた健が、興奮した様子で紀子に問い詰めた。


(さっきまで落ち込んでいたんじゃなかったのか)


 響太はしらけた目で健を見た。


「………どこのクラスかは知らない。男か女かも分からなかった」

「…………なんだ。ほとんどわかってないんじゃないか」


 ビラに目を通していた結城が、落胆したようにそう言った。


「美人なはず美人なれば美人なんだそーなんだ!!」

「………いや、話聞いてる?」

「うはははははは!」


 健は紀子の話も聞いてないらしく、ひたすら妄想を爆発させながら笑っていた。


「完全にあちらの世界に逝ってしまったな………」

「かわいそうに」


 紀子と結城は、ちーん、と二人で健に黙祷をした。


(………しかし、転校生か)


 響太は、もしやという考えが抜けなかった。


(………深春じゃないよな?)


 いやいやまさか。昨日の今日で転校なんてしてくるはず………と、何度も否定しようと考えたが、響太は冷や汗が止まらなかった。


(もし転校生が深春なら大騒ぎに………………って待て)


「転校生?」

「そうだよ、どうしたの?」

「いや………別に」


(そうだ、転校生だ)


 響太はほぼ忘れかけていたが、深春はもともとこの学園の在学生なのだ。

今更ここに転校してくるわけがない。 


(………じゃあ誰なんだ、転校生って)


 響太が首を傾げていると。  


「はーい! みんな席についてー!」


 と、ぴんとはりつめた気配を身にまとった、紺色のスーツを来た女性教師が教室に入ってきた。


(…………………ってえええええええ!!) 


「「えええええええ!!」」 


 響太は口をあんぐりと開けたまま、その人と面識のある紀子と健は指差しながら露骨に驚いた顔をしていた。 


「村田くんと、元山さん。驚くのもわかるけど、そろそろホームルームだから席についてくれる?」


 そこにはいつもの気の抜けた様子など微塵も感じさせない雰囲気があった。

 山田都。

 響太の母親がなぜか響太の担任教師になったのだった。









記念すべき第1話の文章スタイルが、旧来の読みにくいスタイルのままになってたことに今更気づきました。orz 直しておきましたのでご心配なく。

  

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