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霊の心  作者: タナカ
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プロローグ



 ………ココロとは、一体なんなのだろう?

 人は常にこのココロの作用でものを考え、感じ、記憶し、そして忘れていく。

 時に脳や心臓にあるといわれるものだが、未だにそれがどこから来ているのか、確固たる結論は出ていない。

 自分にとって一番身近であるにもかかわらず、これほど分からないものは無い。

 自分にとって一番よく扱うものにもかかわらず、これほどコントロールの難しいものは無い。


 4月7日。月曜日。


(と、今日はこんなとりとめのないことを考える日でありましたとさ)


 と考えながら、響太はずずず、とお茶をすすった。


 山田響太。

 3月28日生まれのおひつじ座。

 母親と二人暮しで、父親は響太が幼い頃に他界している。

 毎日忙しそうに働いている母親にかわって小さな頃から家事全般をこなしている、割としっかりした青年である。

 メガネはかけておらず、運動神経、成績共に並。

 性格はどちらかというと物静かで、髪は特にいじっておらず、背も同年代と比べて少し高いといった程度。

 ………つまりは、家ではしっかり者だが、学校では特に目立たないという人間である。

 響太は今、キッチンでテレビをつけっぱなしにしながら、ゆっくりと自分で作った朝ごはんを食べていた。ちなみにご飯と味噌汁という、純和風。

 そうしていると、テレビからポップな音楽が流れてきた。


『おひつじ座のあなた! 今日の運勢はなんと大吉! 特に恋愛では、うまくいけば運命の人と巡り会えるかも!』


「運命の人、ねぇ」


(これが本当なら全国のおひつじ座は運命大安売りだな。うわー、信憑性ねー占い)


 と文句を言いながら、響太はぽりぽりタクアンを食べていた。 


(朝飯を食べながら、テレビを見る。これぞ朝の醍醐味)


 そうほんわかした幸せを感じつつ、ぽけーっとしていると、


「キャー、時間がないー! って、いやーー!」


 どだだだだだ! と階段を駆け下りる音がし、同時にずどどどど、と階段を滑り落ちる音がした。


(はぁ……………いつも通り、せわしない人だな)


 響太はいつも通り騒がしい母親を見て、ため息をついた。


「あたたた………ちょ! 時間が本気でまずいわ! 響太! この時計狂ってないわよね!」

「1秒たりとも狂ってない、正確無比な電波時計だから、それ」


 このめちゃくちゃ焦っている人は山田都、いちおう響太の母親である。

 会社ではどうか知らないが、近所では美人の未亡人(コブ付き)として有名である。性格も、朝は時間にルーズな子供みたいな人だが、普段は冷静でいつも余裕を持ったクールビューティー、らしい。


「獅子座は金運最悪だって。焦ってお金落とさないようにね」

「うん! 響太も気をつけてね」


 とか言いながら都はキッチンの上に置き忘れている財布に見向きもしない。


「母さん。言ってるそばから財布忘れてる」

「えっどこどこ!」

「机の上!」


(……………毎日遅くまで仕事してるから仕方ないかも知れないけど、朝のこれはどうにかなんないのか?)


 と、響太は呆れ半分諦め半分で母親の奇行を眺めていた。


「よし! 準備オッケー!」

「弁当忘れてる!」

「えっええっ、あー!」

「まったく…………」


 どったんばったんしながら、都はようやく準備を整えたらしい。


「母さん、これ朝飯」


 響太はラップで包んだおにぎりを投げる。


「ありがとう! 行ってきまーす!」


 こうして、都はどったんばったん騒がしくしながらも、元気に出て行った。


「………ホントに、毎日毎日。よく飽きないな」


 チラッと時計を見る。時刻は7時40分。ゆっくり準備しても、十分学校に間に合う時間だ。


「さて、俺も準備しようか」


 朝食の後片づけをしようと、響太は重い腰をあげた。








これは、昔ラノベの賞に応募しようとして、途中で力尽きた作品です。今回の掲載を機に、完成できればいいなと考えております。

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