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一本のビデオテープ
弘が掴んだテープには
荒々しくマジックペンで
「聖獣士」と書かれていた。
「店長これ知ってます?」
弘は金光に問いかける。
「いや、知らないなぁ‥。中国のカルト映画かな?昔は多かったんだよね。こういうの」
瓶底眼鏡を外しまじまじとテープを見ながら金光は答えた。
弘はこのテープから得体の知れない何かを感じた。青白い光のような温かくて冷たい今まで感じたことのない感覚に一瞬だが襲われた。
「興味あるなら持ってていいよ。どうせ売り物になんないし。」
金光はへらっと笑いながらテープを
また弘に渡した。
「‥‥そうします。」
何故だか弘はそのテープの中に興味が湧いていた。普段なら気にも留めないはずだが異様に少年時代のような好奇心を感じていた。
「ビデオデッキ貸してやるから
持っていきなよ流石に家にはないでしょ?」
金光は裏の倉庫を指差しながら
弘に言った。
「ありがとうございます。」