表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/33

悪友との出会い

短編です。

いずれ続きを書く予定ですが、取り敢えずこの一話だけです。


 アントーレ騎士団に準騎士として入隊して1ヶ月が経とうというある日、十二歳のケイン・カルセウスは突然、騎士団長から呼び出しを食らう事となった。


「ケイン・カルセウス、騎士団長がお呼びだ。すぐに団長室へ行け」


 いきなり、雲の上の存在ともいうべき団長から呼び出しを食らったら、人は普通どんな事を考えるだろうか。


 ケインの場合、身内の不幸をまず疑った。

 カルセウス家はそこそこ家格の高い家だったから、その当主が身罷みまかったともなれば、当然、騎士団のトップである団長から伝えられるべきものであるからだ。


「まさか、あの父上に限って」とおののくケインは、この時点ですでに父親を鬼籍きせきに入れており、大層失礼な息子であった。


 こんな事なら、起居室に飾ってあった父の肖像画に勝手にチョビヒゲなんか描き加えなければ良かったと、ケインは入団直前にやらかした己の行いを反省し、次に自分が幼い頃からいろいろとやってきた多様ないたずらを思い出し、心中で深く父に謝った。


 ……父上の自慢の愛馬のタテガミを、散髪と称してハゲチョロにしてしまってごめんなさい。

 今、ものすごく後悔しています。



「あの……」


 意を決して、ケインは教官に声を掛けた。

 父が本当に死んだのなら、カルセウス家の嫡男として心の準備というものが自分には必要だ。(ケインは少々気が早かった)


「何だ」


「我が家の身内に何か不幸でもあったのでしょうか」


 沈痛な面持ちでそう尋ねかければ、教官は驚いたように瞠目し、「そんなんじゃない。安心しなさい」とすぐに言ってくれた。


 父が元気なのはこれで分かった。とても喜ばしい事である。

 が、ちっとも安心はできなかった。

 自分が別件で呼びだされた事がこれではっきりしたからだ。

 

 何かやらかしただろうか……とケインは己の行いについて忙しく頭を巡らせ、団長に呼びつけられる程の重大な規則違反は今のところ犯していないと取り敢えず結論付けた。

 ……してない筈である。きっと多分。


 今のところ思い当たるのは、従兄から餞別に渡された『桃色本ももいろぼん、基本編』を宿舎に持ち込み(中級編、上級編と応用編はまだ早いと言われた)、同室者らに回した件である。

 ものすごく好評で他の部屋からも予約が殺到し、現在は予約受付を行っている状態だが、それがどこからかバレたのだろうか。


 これが親にでも報告されたら最悪だなとケインは心の中で密かにため息をついた。

 父上なら笑いとばしてくれそうだが(ケインの気質は、基本父親似である)、母上は気絶するかもしれない。


 何せ母はケインを自慢の息子だと思っている。

 面倒見のいい性格で弟妹をちゃんと可愛がってやり、社交も上手で友人も多い。

 教養も武術一般も幼年期から家庭教師にびっちり教え込まれているせいできちんと身についており、騎士団の同期の中でも頭角を現わし始めているとどこからか聞きつけて、先日母からお褒めの手紙を頂いたばかりだ。


 これが表沙汰になったら、母上は何だか変な方向に思い詰めそうだし、何より妹たちの反応が怖い。

 兄さま、兄さまと慕ってくれている妹たちから軽蔑の目を向けられて不潔! なんぞと言われた日には、地味に打撃を受けそうだ。


 ……などと思い悩むうちにいつの間にか団長室まで来てしまっていた。

 ケインは内心、まだ心の準備が……と往生際悪く呟いていたが、中からのいらえに応じる形で仕方なく入室した。


 付き添ってくれていた教官はここで下がっていき、室内に残されたのは騎士団長とアモン副官、そしてケインの三人だけである。


 ケインは騎士団の規律に従って、団長にびしっと敬礼した。


「お呼びと伺い参りました」


 何を言われるかとケインの心臓はばっくばくだったが、そんな事は微塵も読み取らせない。

 ここでやましそうな態度をとれば、何かあるなと思われて変な余罪を引き出される可能性がある。

 ここは騎士の卵としての踏ん張りどころだ。


 何と言ってもこの騎士団長、家柄の高さで罪を見逃してくれるような真似は決してしないからだ。


 それを端的に示したのが、今も伝説として言い伝えられている、『皇族を反省房にぶち込みました事件』である。

 何でも当時、騎士団に準騎士として在籍していたアレク皇子が宿舎で大喧嘩をやらかして、駆け付けた教官らは、有無を言わせずその集団にバケツの水をぶっかけ、そのまま反省房にぶち込んだらしい。


 ……いずれ皇帝に立つのではないかと言われている、自国の第一皇子相手にである。

 その相手に容赦なくバケツの水をぶっかけた上に反省房に放り込むとは、一介の騎士になかなかできる事ではない。


 「すげえ、神かよ!」と、騎士団の中ではその漢気おとこぎに称賛の声が相次いで、「教官、半端ねえよな」というのが、見習たちが共有するぶれない認識となった。


 さて、アレク皇子と一緒に水をぶっかけられ、仲良く反省房入りした伝説の一人も今、この部屋に立っていた。

 騎士団長の嫡子であるアモン・アントーレ副官である。

 

 そのアモン副官は、まるで値踏みするかのような眼差しでケインをじっと見つめていて、やがておもむろに口を開いた。


「突然だが、この度アントーレにセルティス皇子殿下が入隊される事となった」


 ケインはぽかんと口を開けた。

 一瞬、誰それ?と思ったからだ。

 

「時期外れの入隊であり、あまり宮から出られた事のない皇子殿下なので、ある程度の配慮が必要だと考えている。

 騎士団での生活一般について指導できるよう監督生二名を配したが、もう一名は同学年生にして欲しいとアレク皇子殿下より直々のご要望があった。


 私はお前が一番その任に適しているのではないかと思っている」


 ケインは恐る恐る片手を上げた。

 

「……あの、質問をよろしいでしょうか」


 アモン副官が促すように頷いたので、ケインは一番の疑問をぶつけてみた。


「あの皇子殿下に、そもそも宿舎生活なんてできるんですか?」


 ケインが尋ねるのも無理はない。


 セルティス・レイ皇子殿下。

 非常に病弱で、お住いの紫玉宮からほとんど出られた事のない第二皇子殿下である。


 母親は長い間、皇帝の寵愛を独占されていたツィティー妃で、皇后を母親に持つアレク殿下と比べればかなり立場は弱いが、皇帝の息子である事に変わりはない。

 本来ならセルティス殿下を次期皇帝にと担ぎ出そうとする派閥がすでに出来上がっていてもおかしくはなかった。

 

 おかしくはなかったのだが、ことセルティス皇子に限っては全くそういう勢力が存在しなかった。

 体が弱過ぎたからである。

 

 冷たい風にちょっと当たったとか、外に出ている時間が長かったとか、そういう些細な理由でセルティス皇子はよく寝込まれた。

 むしろ元気でおられる日を数え上げた方が早いほどで、おそらく父皇帝ともほとんどお会いできていないのではないだろうか。


 とにかく宮に籠りきりなので、よこしまな考えを持つ貴族が接触しようと思っても、接触する機会すらないというのが実情である。

 お陰でケインなどは、第二皇子の存在すら忘れかけていた。


 そういえば……とケインは、ようやく思い出した。

 一昨日、アレク皇子殿下がけた外れの美人をアントーレ騎士団の訓練場に連れて来ていて、ものすごい噂になっていたけど、確かその女性ってセルティス殿下の異父姉ではなかったっけか……。

 もしかすると、弟が入団する事が決まり、それで見学に来られていたのかもしれない。


 などと、要らぬ事を考えていれば、いきなりぬっと騎士団長の顔が近付いてきた。


「最近は体調もよろしいようだ。

 騎士生活に入るのに何の支障もない、……筈だ」


「はい」

 筈なの? とケインは思ったが、口には出しては言わなかった。


「無理強いするつもりはないが、できれば引き受けて欲しい。

 お前は剣の腕も立つし、皇子殿下のご学友として申し分ない家柄だ。

 友人も多く、人望もあるようだから、集団生活に慣れない皇子殿下を庇い、お支えする事もできるだろう」


 尊敬する騎士団長にここまで持ち上げられて、「いやです」なんて言える見習い騎士がいる筈がない。

 ケインも例に漏れず、「光栄です」と敬礼した。


「是非、お引き受けさせていただきます」



 後にセルティス皇弟殿下の悪友で側近中の側近と言われるケイン・カルセウスの人生は、こうして始まった。


 



 五日後、ケインは騎士団を下見に来られたセルティス皇子殿下と初めてお会いした。


 初めて皇子と会った時のケインの印象は、うわっ人形みたいだというものだった。

 透き通るような白い肌に、二重の大きな瞳。睫毛は濃く長く、唇は淡い紅色をしていて、これほど美しい少年をケインは見た事がなかった。

 男の事を美しいなんてという言い方はおかしいけど、それ以外に形容のしようがない、まさに絶世の美少年だった。


 こんな愛らしく儚げな方がむさくるしい騎士団の生活に耐えられるのだろうかと、ケインは本気で心配になった。

 まるで掃き溜めに鶴である。


 そんなケインの気も知らず、皇子は少しはにかんで、「セルティス・レイです。よろしく」と手を差し出してきた。


 うちの妹たちより可愛いわ……とケインは正直そう思った。

 見た目がぶっちぎりで可憐だし、この方が汗臭い筋肉だるまたちの間に混ざる姿なんてとても想像できない。

 すぐに寝込まれると聞いているが、本当に訓練についていけるのか。そもそも午前中の講義に、毎日出席する事はできるのだろうか。

 

 ……などと無駄な心配していた時期もありました。


 皇子は元気だった。

 病弱と聞いていたのに、普通に飯も食い(結構、大飯おおめしぐらいだった)、講義もきちんと受け、訓練の方は今は少しずつ体を慣らしている状態だ。


 恥ずかしそうに大人しくしていたのはたった三日で、あっという間に宿舎生活にも馴染み、ご自分からよく喋られるようになった。


 病弱な事を心配して声をかけてくる同期たちに、「いやあ、騎士団の水がすごく合ったみたいで」などとほざいておられたが、口から出任せなのは明白である。


 今や、アントーレのすべての団員が確信している。

 セルティス殿下は元々病弱などではない。


 殺されるから病弱を装っていただけだろうというのが大方の見解だが、誰に殺されるか……という部分を掘り起こせば非常にマズイ事になるため、それについては皆、賢明に口を噤んでいた。


 普通であればアレク殿下の政敵となる立場のところ、セルティス皇子の異父姉であるヴィア皇女(亡きツィティー妃の連れ子で、現皇帝の養女となっている)がアレク殿下の側妃におさまったため、兄弟仲は一気に縮まったらしい。


 アレク殿下もセルティス殿下を気にかけるようになり、時折アレク殿下が姿を見せると、セルティスは嬉しそうに「兄上!」と呼んで駆け寄って行くようになった。

 

 因みに、そのセルティス殿下が世界で一番お好きなのは異父姉であるヴィア皇女殿下である。

 大層美しく儚げな容姿をなさっておられ、このヴィア皇女もまたつい二月ふたつきほど前までは、病弱を理由に弟と一緒に仲良く引きこもり生活をなさっておられた。


 病弱過ぎて一日のほとんどを寝付いておられるというお噂で、誰もそのお姿を見た事がなかったのだが、アレク殿下に見初められてその側妃となられるや、精力的に公の場にも顔を出されるようになられ始めた。


 もしかすると皇女殿下も健康優良者だったんじゃね? と団員たちは思ったが、こちらについてもわざわざ口にするような者はいない。


 


 さて、自称病弱なこの第二皇子、騎士団の生活にもすっかり順応し、日々の生活を満喫されている。

 一応皇子殿下なので、ケインも時々思い出したように敬語は使っているが、平気で頭を小突こづけるくらいにはセルティスの存在に慣れてきた。


 ある時セルティスの体をしみじみと見ながら、「筋肉がついてきましたねえ」と感心すれば、「だろ?」と嬉しそうに自分で小さな力こぶを作っていた。


「今までだって体を鍛えたかったけど、病弱設定だったからあんまりできなかったんだよね」


 やっぱりそうだよなと納得していると、「だって、そういう設定にしとかなきゃ殺されるじゃん」とセルティスは鼻歌混じりに続け、言っちゃったよ、おい……と内心でケインは呟いた。

 暗黙の了解で、みんなスルーしてたのに。


 因みに同室の監督生二人は、聞かなかった振りをしていた。

 賢明な対応だ。



 セルティスと呼び捨てにしろって言ったのはセルティスだし、最初は畏れ多いなんて考えていたケインだが、本性を知った今となっては殿下と持ち上げる気にもなれない。


 口を開けばまあ喋る喋る。

 最初はにかんでいたのは、ちょっと人見知りがあるかららしい。


「私は後ろ盾は全くないけど、その方が操りやすいって思う奴は絶対いるだろ?皇后腹で優秀で人望もあって、側近にも恵まれている第一皇子がいるんだから、平民の血を引く第二皇子なんかに目をつけるなよと私なんかは思うんだけど、馬鹿な奴はきっといるし。だから、宮から出るなってずっと母上に言われてたんだ。


 宮に閉じこもりのせいで同性の友達はいないし、本当につまんなかった。まあ、毎日姉上と一緒だったからそれは良かったんだけどね。姉上の事は大好きだから。

 あ、姉上も私と同じで健康そのものなんだ。もう気付いてるかもしれないけどさ。ほら、姉上はすごくきれいじゃないか。下手に姿を見せてたら誰に見初められるかわかんないし、下手な奴に目をつけられたら面倒だからって、一緒に宮に閉じこもってたんだ。


 姉上はそこそこ生活を楽しまれていたけどね。私はとにかく宮殿の生活が窮屈だった。騎士団に入りたかったけど、ロフマンとかレイアトーを選んだらアレク兄上至上主義者に暗殺されそうだし、かといってアントーレに入団もできないしさ。

 このままどこの騎士団にも入団できずにいたら、ごく潰しまっしぐらだろ?それだけは嫌だって焦ってたら、姉上が兄上の側妃になる事が決まったんだ。優しい姉上は私の事をアレク兄上に頼んでくれて、だからようやくアントーレに入れたって訳。

 ねえ、それはそうと、姉上が兄上に嫁ぐって、こんな経験する奴ってあまりいないと思わない?」


「それ以上に、こんなによく喋る人間に会った事に驚いています」

 



 セルティス殿下は世間知らずだった。

 入団した翌日、初めて天文学の講義があった日にセルティスは何故か無口になっていた。


 あの頃はまだ、セルティスの事を見た目通りの大人しい少年だと思っていたから、急に元気がなくなってケインは心配した。

 何か悩み事だろうかと声を掛けるタイミングを計っていたら、部屋に帰るなり、向こうから質問された。


「天文学の教官は何かのご病気だろうか」


「は? 病気?」

 ケインは首をかしげた。


「自分には、ごくお元気そうに見えましたけどね」


「つまり……」

 セルティスはひどく言いにくそうに目をそらせた。


「つまり?」


「……髪がなかった」


 ふごっと変な声がしたので振り返ると、部屋の隅で監督生二人が必死で笑いを堪えていた。


「ええと、単なるハゲですけど」


「ハゲとは何だ」


「見た事ないんですか!?」

 ケインは目を丸くした。


「ここに来るまで引きこもってたから、余り人を見た事がないんだ。

 紫玉宮には年取った侍従が三人いたけど、みんな普通に毛が生えてた。

 団長も副団長も昨日の教官もケインと同じように髪があるし、準騎士であんな頭をしている人間はいないだろ」


 準騎士は十二歳から十六歳なので、まだ薄くなっている奴はいないだろう。


 そういや、昨日の講義の教官はそれなりに毛がふさふさしていたなとケインは思い出した。

 でも、修辞学の教官はてっぺんの薄さを横髪でごまかしている気はするけど。


「男には、年を取ると髪の毛がだんだん抜けていく人間が、結構な確率でいるんです」


 殿下は驚愕した。ここまで驚くとは、ケインの方が驚きである。


「ええと、何をしたらそうなるんだ」


「詳しい事は知りませんけど、父親や祖父が毛が抜けるタイプだと、そうなる確率が高いですね」


「……父上には髪があった」

 真剣な顔でセルティスは呟いた。どうやら自分の髪の行く末が気になり始めたらしい。


「ところで前皇帝に髪はあっただろうか?」


「さあ」


 ケインはお会いした事がないのでわからないし、髪があったかどうかなんて別に興味もない。

 セルティスが縋るように監督生を見つめると、二人は重々しく頷いた。


「ございました」


 セルティスはほっとしたようだ。

 他に何か言い忘れてる事はなかったっけ? とケインは頭を捻り、ある事を思い出した。

 

「こういう状態を禿げると言うんですが、実はこのハゲには二通り種類があるんです」


 また変なところで驚かないためにも、きちんと伝えておくべきだろう。


「二通り? あれ以外の禿げ方があると言うのか?」


「天文学のクタン教授は正面から順調に禿げあがっていますけど、正面や横を残しててっぺんだけが薄くなるタイプもあるんです」


「嘘だろう……!?」

 セルティスは信じ難いという風に首を振った。


「てっぺんだけがなくなるなど……。そんな事が本当に起こり得るものなのか」


 監督生二人が必死で笑いを噛み殺している横で、ケインはあっさり頷いてやった。

 

「皇宮の晩餐会とかに出席されたら、あっちにもこっちにもてっぺん禿げがいますから、そのうち慣れるんじゃないですかね」

 

「……勉強になった」


 セルティスは重々しく頷いた。知識欲が満たされて、どこか満足そうだ。



 そんなこんなで、セルティスは本当に箱入り息子だった。

 紫玉宮で男と言えば年を取った侍従だけで、後は母親に姉に侍女たちばかり。

 だから男女の営みについても全く知らずに育っていた。


 監督生の目を盗んで、こっそり『桃色本、基本編』を見せてやった日には、「新しい世界だ」とセルティスはものすごく感動していた。

 閨事ねやごとについての知識がないばかりか、こういう本がある事も知らなかったらしい。


 こんなんで大丈夫かとケインは思った。

 こう言っちゃなんだが、子作りだって、皇族の大切なお仕事である。

 ここはひとつ国のために一肌脱ぐかとケインは思った。


「中級編、上級編、応用編もあるにはあるんですけどね」


 お年頃のセルティスは俄然がぜん興味を示した。

「見せろ」


「でもさすがにそれは宿舎に持ち込みにくいし」

 初級編なら見逃してもらえるかもしれないが、中級編以上ともなれば完全にアウトだろう。


「うちに遊びに来ます?」


「行く」

 即答だった。


 皇族に新しい世界を教えてしまったケインである。






どうでもいい情報ですが、「大国の第二皇子は......」でセルティスが妹マイラ皇女に教えてやった知識は、実はケインから仕入れたものです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] どうでもいい情報、やっぱり〜と納得したから、そんな事ないでーす(笑)
[一言] マイラ皇女がハゲを気にするのは皇帝の血筋なんですね(笑) しかも、偏ったハゲ知識を与えた犯人がここでいたとは…www
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ