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怒られる首長

「あ、あの……どうでしょうか……?」


 僕は真っ直ぐにエミリーのところまで早足で歩いていって、ローブを羽織らせた。


「え? あ、あの? アルフ様?」


「あなたですか?」


「え?」


 僕はゆっくりと首長に振り返った。


「あなたが……僕の友達に無理やりこんな格好をさせたんですか!!」


「え? い、いや、ちょっと待ってくれ。 誤解、誤解だ!」


「あの、アルフ様!? 私、無理矢理連れてこられてなんていませんよ!?」


バァン!


 勢いよく扉が開かれて室内の混乱が加速する。最初に飛び込んできたのはフィーネだ。


「ちょっと! 大きな声がしたけど大丈夫なの? ……って! 何してんのアンタ達!?」


「違、僕じゃ!」


 お次はルーが


「なんなのダー?」


「こ、子供は来ちゃダメ!」


「わかったのダー」


 ルーが回れ右して扉の外でお座りする。なんて聞き分けの良い子なんだ!


「どうした!? ってこれは……」


 最後に入ってきたシモンさんが興奮する僕とフィーネと、怯える首長、オロオロするいかがわしい衣装の女の子達を見回し……


「そう……いう事……」


 両腕に包帯を巻いた彼は、眉間を抑えるすら出来ずに、ただガックリと首を項垂れた。





「わりぃ。アルフ。首長には後でよく言っておくから俺の顔に免じてこの場は勘弁してくれんか」


「う……ぐ、はい」


 まだ何の納得もいってないけど、この人の顔に免じられてしまえば是非もない。

 今現在「シモンさんの顔に免じて~」と言うのは僕にとって一番強いパワーワードの1つだ。


「むぅぅ、私はまだ納得いってないんだけど……」


「まぁまぁ、嬢ちゃんもちょっと落ち着け……っと。首長! アルフは危うく今生の別れになりかけた幼馴染を、命がけの決闘で取り返してきたその帰りですよ!? っのタイミングでこいつぁ悪手が過ぎるでしょうが!」


「わ、私は喜んでもらえるかと思って……」


「ったく。酒と賄賂と女遊び以外に人のもてなし方を知らんのですか……あー、すまん君たち。もう帰っていいぞ。君たちの顔は覚えておくから、なんか不当な圧力を受けたら俺の名前を出して詰め所まで来てくれ」


 シモンさんがしぶーい苦笑いを浮かべて女の子達に帰るように促す。

 っと、まぁそんなこんなでとりあえずこの場は解散となる……はずだったんだ……

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