表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

さる想像病者の幻想への反逆と虐殺罪・ジェノサイドムーダー

 

 

 頭がグルグルする。

 ただボウッとしてるだけで、無上によしなし事が頭を埋め尽くす。

 知恵の奔流が、わたしの自我すら曖昧にして、希薄にして、すべてを無に帰そうとするのだ。


 この世には、同義で同価値の事が多すぎる。

 己と等価の生命すら、絶対の価値にはなりえない。

 ならば、絶対とはありえるのか?

 ありえる、直感的に、絶対を認識できるゆえに、絶対は存在する、今己の中に。

 我、想うゆえに我あり、だ。

 わたしは、わたしを絶対として、他を完膚なきまでに否定し、拒絶し、廃絶する。

 そのことで持ってして、必ずわたしは神代、神格、神域の、絶対に至り続ける事ができると確信するのだ。


「ジェノ、起きろ、おい、起きろ」


 眠い、それに何時もながら、頭が痛い、頭痛なんてモンじゃないのだろうコレは。


「アルク、やめないか、揺らすな、、、頬ぷにすなぁ!」


 対手、が、何時までも覚醒しないわたしに対して、狼藉を働いてきたので、一気に目覚めた。


「ふにゃ」


 駄目な吐息と共に、立ち上がり。

 眼前、アルクという小憎たらしい男児に、制裁の行為に走ろうと想ったが、やめておいた。

 なぜなら、何時見ても素晴らしい見目に、毒気抜かれた。


「まだ、眠たそうにしてるな、ちょっと飲み物でも持ってきてやるか」


 こくん頷き返し、座って待つ態勢を整える。

 ふにゃふにゃしてると、また船がことりことり動き出す。

 頭が痛い、凄く痛い、いつまでも、痛いのだ。


 突然だが、わたしには死という概念が、無い。

 それは必然、自殺という概念、発想自体が存在しない事を意味する。

 なぜなら、わたしにとって、本来的に楽しくない時間など、一切合財存在しないからだ。

 あるのは、只管なる快楽的世界と、それに内存されてある、苦痛のトキ。


 頭の中に世界があるのだから、必然に当然だ、少なくともわたしにとっては。

 寄るべき世界は眼前でなく、眼後にあり、その支配者であるわたしは、きっと眼前の世界の支配者と同一に在るのだろう。

 だがしかし、代償は、あるのだろう、”コレ”が、まさに今もって感じ続けている”コレ”が、代償、そうとしか思えない。

 ”コレ”は、世界を掌に弄んでも、一向に解消されない、対価のような、全てをご和算、台無し、無に等しくする、代償なのだ。


 わたしはずっと、この代償の解消に努めてきた。

 そして何時しか悟った。

 この世界を破壊し尽くせば、この痛みは無くなる、と。

 常人には発想も出来ないだろう、背後の世界の完全なる支配者となり、”コレ”を知らなければ。

 直感よりも確かなモノ、何よりも正確な知性、論理的理性、それにより見出した。

 眼前に何も無くなれば、わたしは背後の世界と一体となり、完璧に一つになり、この痛みも無くなる、解放される。

 わたしは完全に没入し、依存しきり、真に自我をなくし、背後の世界の支配者としてだけ存在することが出来る。

 恐らくこの痛みは、巨大すぎる世界を抱える、矮小な己に掛かるプレッシャー、圧力のようなものだと類推するのだ。

 つまりは、自我を無くせば、楽になれるのだ。

 わたしは、自我を無くしたい、世界と一つになって、ただ世界を観測し、演算するだけの、そういう存在で在りたい。


 話は変わるが、自我が皆無で、世界の一部、世界を補完し補強する。

 無上拡張ネットワーク的に、加速度的に、幾何級数的に、天文学的に観測、演算する存在が、世界には在る。

 それは俗に観測者と呼ばれる、無料大数群のシステム的、無我構造神工知能非生命体。

 この観測者とは、世界を演算し、世界を隙間無く構成させる、そのような観測器的存在なのだろうと想う。


 わたしは、そのような存在を夢見る。

 自我などいらない、そんなモノは不要の長モノ以下の、唾棄するべきモノだ。

 まったく持って、必要がありえない。

 自我という主体でなく、客体で埋め尽くされた、世界そのもの、それに、其処にこそ至るべきなのだ。


 世界を破壊しつくして、わたし一人になれば、絶え難い孤独、絶対の一として、孤立するだろう。

 そのとき、わたしはわたしが、自我が無くなるほどの、真に耐えられない痛みと共に、世界そのものに昇華するのだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ