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あべこべ世界へようこそ

作者: 小池田博之

 当方がこのエッセイで求める結果は『完結もしくは更新されるあべこべ作品の増加』と『あべこべジャンルの繁栄』である。



 あべこべ。


 その意味を辞書では

『あべこべ[名・形動]

順序・表裏・方向などが普通とは逆になっていること。』

 とあります。


 さて、『小説家になろう』における『あべこべ』とはどういうジャンルなのか、というと『男女観や美醜感覚があべこべな世界が舞台』である、と言って一先ず過言ではない。


 そして当方は『あべこべジャンル侵攻委員会(本日設立・現会員一名)』の初代会長として、その侵攻の一歩にすべくこのエッセイにおいてはあべこべジャンルに馴染みのない方々へ『あべこべ作品とはどういうものか』に軽く触れて頂き、既にアベコバー(あべこべ信者)となっている方々には『当方からのあべこべジャンルについて思うところ』を読んでいただきたい。





 さて、まずはあべこべジャンルについては先ほど『男女観や美醜感覚があべこべな世界が舞台』と記したが、要約するとその一文に尽きる。基本的には『価値観の逆転』である。

 作者作品によって当然舞台が現代なのかファンタジー世界なのか変わるくらいである。


 舞台が現代でも中世ヨーロッパ風ファンタジーでも紀元前でも宇宙でも共通する『あべこべ作品』の定番と言える設定は何か、次の通りである。


1)主人公が舞台となる世界では美形である。

2)生まれた段階で前世の記憶が有る、交通事故などで前世の記憶が甦る、もしくは魂が入れ替わるなどで別人各となる、など。

3)主人公の転生前の人生はいじめられていたり孤独だったりする。

4)生まれ変わって幼少からスタートの場合は己で人間関係を構築し、記憶蘇りや魂入れ替わりの場合は既存の人間関係が有る。


 2)に関して、十八禁小説サイトであるノクターンなどでは漂流者とでも言うべき着の身着のまま現代風のあべこべ世界に来る主人公も居る。がこれは現地の現代人に拾って貰って舞台設定の説明を省略した上でアハンウフンブヒヒヒヒな展開に即座に持って行くには良い手法だと言えよう。が小説家になろう、においては敢えて置いておくとする。



 ところで、1~4まで、何かと似ていないだろうか。


 言ってはなんだが、『俺TUEEE系異世界冒険無双ファンタジー』である。無双となる強さが魔法や現代知識や物理ではなく美貌に変わっただけ。


 現代が舞台かどうかで設定は多少変わってくるが、結局はモテモテ主人公(男女問わず)が『キャーキャー』とチヤホヤされるのが最大の見所と成りがちのジャンルと言える。


 現代が舞台だと


同級生『一年の○○君……男で美人なのに凄い気さくで優しい!』


 となりファンタジーだと


女騎士『むむ、誰かがゴブリンに襲われている! 助けねば!(助けた) なななななんて美少年なんだ!』


 からの~~~


主人公『(なんて美人なんだ)』


 とその世界の美醜感覚では不細工に対して思うシーンが出てくるのがありがちである。


 異世界冒険ファンタジー作品で言うところの、冒険者ギルドで絡まれてそいつを瞬殺しておきながら『俺、目立ちたくねぇのに』とほざくシーンも最早『狙ってやってんだろ!』と言いたくなる程に使い古された定番だが、どんな物語なのか読者にそれとなく知らせるには悪くない手法である。


 

 さて。当方はあべこべ作品の一書き手として、何故あべこべ作品を書き、あべこべジャンルを愛しているのか説明しよう。それは一言である。


『楽してモテたい願望が有るから』

『美醜感覚逆転だと今の立場でもモテるという設定に理由付け出きるから』


 二言になってしまったが良いやコマケェコタァイインダヨ。これ見ると遠回しに他のあべこべ好きな人をディスってるような気もするがコマケェコタァイインダヨ。




 つまるところ、あべこべ要素の魅力とはそれ『だけ』なのである。




 そこがミソでそこが楽しいからあべこべ愛好家は日々検索するのだが、現在はヒット件数の少なさに絶望するまでがセットとなる。マイナージャンルの悲哀と言えよう。




 あべこべとは料理で言うところの材料や調味料に過ぎないのである。

 



 当方はここで小説論らしきものを語りたい訳ではない。

 書き手によって内容も質も当然変わるのはどのジャンルだろうと同じ話である。


 故に、もっとこの材料、調味料の使い手を増やすべくこうやって生き恥を晒しているのである。いい年した社会人が真面目にこんな文章書いているなんてこの日本はもう駄目かも解らない。



 さて、最後に主張しておきたいことがある。

 

『あべこべ作品は更新停止が多過ぎる』


 と仰る読者が多い。これは統計を取れば事実やもしれない。だが、私は異を唱える、というよりも補足したい。


『あべこべジャンルの作品が少ない上に、完結作品が圧倒的に少ない、というよりもほぼ無い』


 少なくとも小説家になろうにおいてはあべこべ作品で完結済みは非常に少ない。他のジャンルと比較すべきところかもしれないが、比較したところで時間の無駄なので割愛する。


 何故あべこべ作品は更新停止しがちか。これは異世界転生俺TUEEEE系と似ていると当方は捉えている。


 先ほど述べた通り、要は作者は己が書きたいシーンを書くと満足、もしくは意識してか無意識か解らないが目的を達しているからである。

 もしそうであった時、書き手を読み手が非難出きるかどうかは別な問題である。


 ただ、『更新されない作品が多い』中での当方の主観的な印象ではあるが、主人公がキャーキャー言われ、次の着地点や目的意識が無くそこで終わってしまいがちなのである。

 キャーキャー言わせた他の登場人物や設定を掘り下げずに行けば試合はそこで終了となるのも自明の理。

 それは俺TUEEEやって冒険に出た後に更新停止してしまう異世界冒険ファンタジーと同じことである。


 最終的なゴールがキャーキャー言わせ、その結果更新停止となっても良いのであればそれもまた人生。読者は寂しさで股間、ではなく枕を涙で濡らすだけである。


 女性作者にありがちな恋愛ファンタジーを是非眺めて頂きたい。目的が解りやすい。主人公が幸せになる、愛する人と結ばれる、が最終的なゴールだ。

 そりゃ恋愛ジャンルだから当然ではあるものの、恋愛ジャンルは男性が書く冒険ファンタジーよりも全体の文章量も少なくまとまっていて目的が明確なだけに脱線が少ないため完結までこじつける猛者と書いて作者が多いのだと当方は分析する。

 あべこべも恋愛物と言えば恋愛物だが、女性向け恋愛ファンタジーと比較したときに書き手として目的や満足感を得られるポイントが大きく、それもかなり違うのではないだろうかと感じるのである。


 つまりは読者に解りやすく突きつけるかどうかは別として、その物語における主人公の目的や作者の目標が無ければ終わらすことなどまず無理なのではないかと当方は主張したいのである。

 終わらせることが全てではないが、終わりをみたいのもまた書き手、読み手ともに共通することだろうからそれもまた否定出来ない事実であると主張したい。



 結論として。


 『あべこべ』は『一要素』でしかない。そこにどんな材料を加え反応を起こすかが『あべこべ作者』の独自性なのだと当方は考える。

 何度も書くが、物語における『あべこべ』とは結果ではない。いくらカレーパウダーが有ろうとそれだけではカレーライスは作れない、いくらチョコがあろうともそれだけではチョコレートケーキは作れないのである。原因や結果を導くための構成要素でしかないのである。



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[気になる点] TSはあべこべに入りませんか、いれようよ! 朝学校に行ったら親友クラスメイト残らず性別逆転してて戸惑う主人公が、 美醜逆転で豚女に優しくされて困惑する男が、 善悪が反転して一般人が殺人…
[一言]  あべこべモノは、個人的にはジャンル成立してるとも見なせないんですよね。  「人と価値観が違うなんて当たり前じゃん」と思ってしまうので。  むしろ、多種族が出てくるハイファンタジーで、価値観…
[一言] あべこべ系作品を渡り歩いてたどり着きました。なんと言うか美醜の逆転物は、単純に恋愛物に落ち着きやすくあるはずなのに、すぐにハーレムにいこうとして頓挫、が多い印象でしたね。結局のところ美醜の逆…
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