第25話「魔法学園・勇者のいる国」
結局、お嬢様も同行とうことで、ラヴィアナを置いてきた訓練場に戻る。
訓練場といってもほとんどの人間は寄り付かない位置にあるため、問題が起こっても対処できるはずだ。
「さしぶりね、ラヴィアナ」
シルキー達が用意してくれたのだろう、椅子に座り、優雅にお茶を飲んでいるラヴィアナ。その彼女に気配を遮断して背後から声をかけた。
声の主に気が付いたのか、声の主を確認しようとしたのか、ブリキの玩具のように首をゆっくりと回す。
「おおおお、おじょ、お嬢、さま・・・!」
「ええ、差し振りね、ラヴィアナ。行方不明になって以来だわね」
「そそそ、その、おひ、・・・おひ、お久しぶりです」
「そんなに畏まらないでいいわ、私と、貴女の仲でしょう・・・?」
「状況が分からないのですが?」
「まぁ、見ての通り、ということかしらね?」
「・・・」
ラヴィアナがこちらに目だけで訴えるが、生憎と読む必要はないので無視。
「で、なんでラヴィアナさんはこちらへ?」
「・・・ええ、・・・どこから話せばいいですかね?」
「たぶん最初から。教国に潜入してたあたりからでいいのではないかしら?」
「ええ、お嬢様、そこまで知ってるんですか?」
「知ってるわよ。あと、辛いって言って全裸でクロードのパンツを振り回して」
「あああああああああああああ」
シェリスお嬢様の発言でラヴィアナが奇声を上げながら跳ね上がる。
「ちょ、いくら何でもそれは今言う必要ありませんよねっ!」
「ないものが元気になってきたとか言ってたじゃない」
「・・・ないもの?・・・?よくわかりませんが、クロードのパンツを振り回す意味をお嬢様も知ってるってことですね?」
シェリスお嬢様は顔を真っ赤にして俯く。
「・・・あれ?僕、何かダメな事言いましたかね?」
「・・・いえ、お嬢様、ここは休戦しましょう」
「そ、そうした方がいいみたいね・・・」
「いや、本気でパンツ振り回す意味が分からないんですが」
「さて、気を取りなおして、アーヤさんの神器は、槍ですか?」
「無視しですか」
「さて、気を取りなおして、アーヤさんの神器は、槍ですか?」
「人生をリセットしおった・・・!」
「さて、気を取りなおして、アーヤさんの神器は、槍ですか?」
なかったことにするつもりらしい。
「・・・神器?何ですかそれ?」
「どこから説明するんでしたっけ?」
「話が進まないわね」
「進まない原因は主にそちらにありましたよ?」
「えーと、異界からきた勇者は基本的に神器で能力強化してますが・・・」
「持ってないですね、基本魔力とかでどうにかなりますよ?」
「・・・魔法使いって事は、杖とかですかね?腰のは魔杖剣ですよね?」
腰にあるのは魔法学園で開発中の魔杖短剣。魔法使いは基本的に剣を使いこなせないので護身用にと開発されている。杖と剣を使いこなすのが難しいので開発だけで学園の人間では言うほど試験できてないのだが。
何故自分が剣を振れるかは日本で振ったからとしかいいようがない。一応日本の勇者に教えてもらったと伝えてはいるが。
「これは、魔剣に変化してるので・・・」
「え?・・・それ、ついこの間受け取っていたものよね?」
クロードも魔杖剣をすすめられていたようだが、クロードは僕が試験的にうった剣を使っている。魔力的な機能や能力はないものの、取り回しに関しては僕の方が扱いやすいと。あと、資料のよういが面倒だと。おい執事。というしかない。
「ですよ」
「・・・早すぎるけど・・・それだけ、アーヤの魔力が桁違い。ということかしらね?」
「神器持ってないのに倒せたんですか?」
「・・・見てたはずですよね?」
「遠見の道具で見てたので正確に全てを把握しているわけではありませんよ・・・」
「・・・僕は基本的に全て魔法ですよ?魔刃鍛造も魔力で武器を作り出しているだけですし」
「・・・じゃ、神器はないってことですか?」
「そういっているじゃないですか」
「・・・動いてない神器がいくつかあったのですが・・・」
「いりませんよ」
「なぜにっ」
「勇者じゃないので」
「・・・どうしたら、勇者って認めるんですか?」
「なにがあろうと認めませんよ?」
「・・・シェリスお嬢様!何かいい脅迫案件ありません?ロリコンだとか、女風呂に乱入したとか」
「ないわ、逆に質の高い魔力でシルキーたちに狙われてるわね」
「・・・いや、脅迫しようとする事止めるべきでしょ」
「ですが、勇者の宣伝をするのが私の役目ですし・・・」
「他の勇者宣伝してればいいじゃないですか」
「他に宣伝できるような勇者がいればアーヤさんを宣伝しようとは思いませんよ」
「何気に失礼ですね・・・まぁ、そんなどうでもいいことはおいておいて」
ぐだぐだと勇者について愚痴るが脱線の勢いが激しく軌道修正に時間がかかるので概要だけをまとめる。
まず、一番重要なミシェール・コラプサーについて。
前前回戦った魔王もどきの彼が召喚される。が、勇者として不完全の為殺されそうになり逃走。
さまよっていたところを、ミシェールと遭遇。ミシェールと組み、ラヴィアナをスパイとして教国送り込む。
スパイ活動を終えて、教国から消える。
←今ここ。
ミシェール・コラプサーは気まぐれなところがあり、研究室にこもっていたかとおもうといつの間にか消えていたり、フラっと研究成果を置いていったらどっかに行く。というかんじで所在がつかめないらしい。一応生きてはいるはず。だと。
こちらの地理に関して。
まず、魔法学園を中心にして、学園北。教国。正式名称、ペンドラゴン教国。円卓かよ。と突っ込みを入れたが、円卓が分からないらしい。騎士道とかも関係ない。
勇者は二人。どちらの勇者も仲間は女性のみ。と。
教国を北に行くとあたり一面の銀世界が広がるらしい。言葉を聞く限りでは北半球的な位置と思われる。
どうやら、教国では魔力を保持している全員が勇者召喚に挑戦し、召喚された勇者とともに魔王討伐へ向かい、魔王を討伐した者が国の頭になる。ということらしい。
教国。と言うより強国?ボディビルダーも真っ青な筋肉じゃないかと。
そして、反対に南。こちらは法国。ウィルダー法国。人類以外は皆殺し。が信条。人の、人による、人のための世界。を実現するために日夜魔物、亜人を狩っている。
勇者はいないもの、ずば抜けて高い戦闘能力を持っている人間いがいるが、性格がもう酷いとか。あと、ハーフのラヴィアナ嬢は殺される可能性があるので近寄れないと。
法国をさらに南に行くと大森林。と呼ばれる森林に行きつく。魔物のほとんどはそこで生息している。そのため、法国は定期的に大森林へ侵攻するらしいが、高い戦果は挙げていない。高くない戦果を挙げている。ということか・・・。
実際に、魔物からはぎとれる皮や爪などは武器になるし、肉も食材に使えるので困窮してるということはない。むしろ、貴重な魔物の部位があるので国としてはそれなりの運営を行っていると。
教国からは魔法使いを貸し出せ。と学園長に手紙が来るとクロードがつぶやいていたが、法国は魔法学園を支配下に。だった。まぁ、魔法使いは拠点防御や殲滅戦においては破格の能力を持つためだ。と、クロードが話していた。
法国としては、殲滅後の拠点防御として欲しいのだろう。
で、東は以前、名前だけ聞いたが轟国。国のデカさだけが取り柄。みたいなダメな国で三国志状態で群雄跋扈する乱戦状態。その先に、神有国。
轟国では勇者はいないが、頭角を現している人間がいるらしいが、勇者ほどの能力には至っていない。
神有国に至っては魔法よりも、魔法と肉体を混合させた戦闘術が強いと。特に闇夜に紛れて行動する黒装束の部隊や、片刃の剣をふるって、距離を無視した斬撃を放つとか。・・・忍者と侍・・・?侍は斬撃放ちませんけど・・・どうなってんのよ。
西はいくつかの王国と連邦。西の端にあるのがエスター王国。コラプサー姉妹の住んでいた国で自分が召喚された国でもある。他の王国でも勇者召喚に挑戦しているらしいが、成功したのは今のところエスター王国だけ、と。
連邦はいくつかの小国が合同で召喚を行い、こちらにも二人。こちらは二人とも女性。と。連邦の守りが固くて接触出来ないと。
教国二人。連邦二人。エスターで自分を含めて八人。・・・最低で十二人も勇者がいる。
「最低でも十二人。多くないですかね?」
「神器の数だけ召喚可能なはずなので、まだいる、と思います」
「ゴキブリか・・・」
「というわけで、一人魔法学園にいながら冒険者ギルドで任務受けてるアーヤさんが接触しやすく、宣伝しやすいんですよ」
「消去法ですね」
てへぺろー。と笑うが、怒りの方が沸きそうだ。
「まぁ、でも、アーヤ・コラプサーは勇者ではないって宣伝してくれるならかまいませんが」
「私の活動全否定ー!」
「そもそも、宣伝する理由が分かりませんが?」
「もちろん勇者として活躍してもらうためですよ!」
「は?」
「神器の特性でして、受けた願いが強いほど勇者の力が増幅されるんですよ」
「なんでまたそんなことに」
「歌姫の迷宮で、歌姫からある程度聞いていると思いますけど?あ、お偉方は大方知ってますよ。魔王が瘴気に呑まれ、集めた瘴気を払えるのは勇者の神器だけだって」
「・・・そういうシステムか」
「ええ、そういうシステムです」
「・・・瘴気を別の目的で利用するとこは可能?」
「目的によりますが」
「元の世界に戻る」
「無理です」
「・・・納得のいく理由を」
「そんな殺気まき散らさないでください・・・私ってばか弱い美少女ですし」
「クロードと殴り合いしても平気だっただろ」
「あれは疑似魔道生命体だからですよ」
「・・・無理な理由は」
「あちらが科学技術に発展した世界で、こちらが魔法技術に発展した世界だからです」
「そして、世界を管理する神の気まぐれによって袂を分けられている」
「・・・」
「そう睨まないで、古い文献にそう書いているだけで真実はわからないわ」
「・・・ラヴィアナは科学技術についての造詣が?」
「いえ、疑似魔道生命体の一部にそちらの世界の技術が使われているそうです」
「なるほど・・・では、こちらの世界に科学技術を発展させるのは可能か?」
「不可能ではないですが、難しい。と、思います」
「そうか・・・」
「一番確実な方法は、魔王を討伐して、神に願う。でしょうね、というわけで、アーヤさんにあう神器を」
「あはは、絶対にNO!で。そんな事するくらいなら、神の前に行ってぶん殴ってやるね!」
「・・・」
「まぁ、それなりに、有意義な話し合いでしたね」
席を立ち、テーブルから離れる。
「えっ、ちょ、待ってください」
「まだ何か?」
「勇者として魔王を倒そうって思わないんですか?元の世界に戻れるかもしれないのに?」
「かも。でしょう?でしたら、まだ、クレア・コラプサーに賭けますよ。死ぬかもしれない魔王を殺し合いをしたあげく、帰れません。じゃ、こっちの気分が悪い」
「・・・そ、それだけの理由で?」
「ええ、神が何か知りませんが、人を駒のように盤面に並べるような奴とは組めない・・・そうだろ?」
こちらに向かって急速に接近する魔力反応。南の森の方から接近してきていたが、ありえない速度で地を駆け、街を抜けて、ここまでたどり着こうとしてる。
『魔刃鍛造・銀の腕』
両腕を覆う銀の腕から先制で衝撃波を生み出そうとしたが、目の前に姿を現した巨体に手を下げる。
「おや、犬じゃないですか」
訓練場に現れた魔力の持ち主は依然助けた狼だ。
GWの休みが二日しかなかったし、その前の連休三が日とかいう鬼畜




