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第21話「歌姫の迷宮・魔族」

休憩時間が死に、書きたくても書けません、泣いいいですかねorz

「アーヤ、何を作るのー?」


「・・・そうですね、卵持ってきてもらえますか?」


 尋ねるハルピリアに卵を頼み。準備に取り掛かる。


 準備といっても日本ほどの食材や調味料はないので簡単なものになってしまうが。普段から食している味噌や醤油がないと料理のほとんどを作れない。レパートリーが少ないといえばそれまでだが、味噌と醤油の万能性に嘆かざる負えない。


 そもそも大豆がこちらの世界に存在するかわからないため、味噌と醤油存在するかも怪しい。


「・・・味噌喰いてぇ・・・」


「味噌?何ですかそれは」


「豆を発酵させて作る食べ物ですよ、麹がないので作れそうにないですし、大豆もないですし・・・」


「・・・発酵?」


「菌を付着させて、食品を変化させることですよ」


「菌?」


「ええ、目に見えない程の菌がいるのですが、それを利用して、食べるものに手を加えるのです。そこまで難しいものではないのですが、原材料が手に入らないのでこちらじゃ厳しいかと」


「凄いもの食べてるんだなぁ・・・」


 遠い目をするクロードをよそに、準備を終える。あれは理解できてないだろうが出来ないものをわざわざ説明する必要もあるまい。


 材料は、米。獣肉。塩。トマトソース。ケチャップは作れないので残念ながらトマトソースにした。


 代用品だが味に関してはそれなりに美味しいので問題は、無い。


 獣肉を細かく刻み、叩く。こちらの生物は大半が戦闘生物。皮膚は厚いし、爪は硬いし、筋肉は化け物だし。で筋切りしたていどでは食べる程ではない。逆に長時間煮込めばいいのだろうが、そもそも生姜も・・・。


 鍋に油をひき、肉を焼き始める。米→トマトソースと加え。オムライスの中身を作る。


「アーヤー、もってきたーよー」


 おぼつかない足取りでハルピリアが卵を抱きかかえてきた。ハルピリアよりも少し小さいが、人が食べるににはサイズ的に無理だ。


「ハルピリア、大きすぎですよ?」


「大きい方がたくさん食べれるよ!」


「大きすぎて作れません」


「えーー」


「クロード、最大でもアレの半分程度の卵を持ってきてくれないか・・・」


「ええ、ハルピリア、その卵をかえしてきましょう」


 クロードに連れられて卵を交換しにいく。


 卵に混ぜるクロテッドクリームを出してくる。バターを作りたいが、難しいので代用。


「アーヤ、これでいいですか?」


 クロードが持ってきた卵は先ほどに比べればかなり小さいが、三人で食べるには十分だ。


「・・・よし」


 卵を割ると双子だった。


「あら、双子」


 ハルピリアは目を輝かせているが容赦なく崩す。


「ああぁぁ」


「どうしたんですか?」


「双子が珍しかったんだろー」


「そうなのですか?透視すればすぐにわかると思うのですが・・・」


「いや、透視とか使えないから」


「そうなんですか?」


「防御と逃走に使える魔法は一通り教えてあるけど」


「・・・攻撃魔法は教えてないんですか?」


「ウィンドカッターとトルネードだけですね、どちらも牽制目的ですけど」


「トルネードは普通に相手が全滅しますよ・・・」


 会話しながらも手を動かし、料理を作り上げる。


「さて、出来ました。オムライスを模した料理です」


「オムライス?」


「ええ、子供に人気の料理ですね」


「へぇ・・・」


 スプーンがないので魔刃鍛造で作り上げたナイフでトマトソースで翼を描く。


「・・・上手いですねぇ・・・」


「どうぞ、ハルピリア」


「わー!」


「クロードは何か描きますか?」


「特には、そのトマトソースも?」


「ええ、といっても、全体的に模しただけで、正確にはオムライスと呼んでいいかわかりませんが」


「・・・」


 ハルピリアはためらいなく食べるが、クロードには未知の料理は食べにくいらしい。


「すいませんね」


「いや、頂くよ。せっかく作ってくれたのだし・・・」


「・・・美味しい」


「それはよかった」


「トマトを使った料理はいまいちなのが多いのですが、これは、トマトなのですか?」


「トマトですよ。まぁ、こっちのトマトは普段僕が食べているトマトとは少し違うようですが」


「う~ん、これはお嬢様にも食べていただきたいな」


「最初に出る言葉がそれですか・・・忠誠心の塊なの?」


「いえ、お嬢様は好き嫌いが激しいので」


「ああ、子供はそんなものでしょ」


「それはそうかもしれませんが」


「子供と認めたな」


「お嬢様の前で子ども扱いすると焼かれますよ」


「謹んでクロードが言っていたと進言しよう」


「濡れ衣だ」


「まぁ、少し残ってますし、味見程度にはあると思いますので包みましょう」


「すまない」


「それに、食べ物の香りがした方が、そとで待ち伏せしてる奴らに精神ダメージを与えられそうですし」


「むしろそっちが目的にしか見えませんね・・・」



 オムライスの残りを包み、ハルピリアに別れを告げ、ダンジョンを出る。転移用の魔法陣を起動して、ダンジョンの出口付近、人がいない場所へ出る。


「・・・どうですか?」


「いるな・・・気配を殺しているのだろうが、視線を感じる」


「壁の向こうですよ?」


「確実に捕捉されているな・・・どんな原理だ?」


 ダンジョンを出ると即座に反応する。


 だが、こちらも既に戦闘態勢に入っている。


「・・・おや?僕に返り討ちにされた方々だと思うのですが?」


「わかってるなら、話が早い、貴様の賞金を、貰い受ける!」


 額に傷がある男が全員の考えを代弁してくれたのか剣を構えながらこちらに向かってくる。


「先に忠告しましたよね?」


「知ったことか!」


 距離を詰め剣の間合いに入る。


「!」


 即座に反応して男が剣を振るが、こちらの動きはとらえていない。


「欠伸が出ますね?」


 男の背後に回り込み、魔刃鍛造で作りだしたナイフを向ける。


「2度目は殺すとしっかり聞かせたはずですよね?」


「ふざけるなっ!」


「ふざけてるのはテメェらだろうがっ!」


 以前賞金を懸けられた理由は説明したのだが、それでもこちらを狙うということは、敵として処理するしかない。


「説明はした。お前たちはこちらの理由を知らずに賞金がかかっているから狙ったと思ったのだがな・・・」


 銀の腕が放つ電磁加速によって射出されたナイフが男の背を貫通し、地面に突き刺さる。


「警告はした。死にたい奴から前にでろ。全員殺してその首を広場にさらしてやろう」


「アーヤ」


「悪いな、クロードお前はここらか脱出してくれ」


「・・・わかっ」


「そうはいかないな」


 隠れていた男が姿を現す。


「どちら様ですかね?」


 こちらの疑問に最も速く反応したのはクロードだった。


「轟国の人攫い部隊の隊長様ですね・・・そして、私の友人を殺した糞野郎です!」


 言い終わらないうちから魔法を放ちながら距離を詰める。男はクロードの魔法を笑みを浮かべながら笑みを浮かべる。


 接近するクロードに反応するが、誰も手を出さず、逆に道を開けているようにもみえる。


「クロード!罠だっ!」


「!」


 こちらの言葉は理解したようだが、クロードは下がらずにさらに進む。


「っ!」


 クロードの後を追おうとしたが、どうやら、ここにいる奴らは逃がさないつもりらしい。


「・・・この程度の戦力で僕がどうにかなると・・・?」


 反応は、無い。それぞれの武器を構える。


「・・・忌々しい」


『重力の檻』


 全ての敵を地面に埋め込み、クロード追う。


 数十秒のロスだが、身体強化で肉体を強化した人間同士の戦闘。おもいのほか距離が開いたかもしれない。


 一度、足を止め、深呼吸し、周囲を探る。しかし、周囲に魔力の反応は無い。


「おい、どこまでい・・・」


 矢が飛来し、直前に自分がいた空間を通り過ぎる。


「狙撃された・・・?」


 木々のなかで?周囲には動物さえいなかったはず・・・どうなっている?


 急速に接近する魔力に反応!しかし、これは。


「アーヤー!」


 直ぐに魔力の持ち主が現れる。森の中で器用に、踊るように低空を舞う、ハルピリア。


「な、何をしているのですか!」


「変な人達が、い」


 こちらに向かって飛びながら言葉を発していたハルピリアの胸に矢が刺さる。


 反射といっていいのか、駆けだしハルピリアが地面にぶつからないように抱きかかえる。


「ハルピリア!ハルピリアっ!!」

轟国隊長「次回予告、あ、名前だせないの?次回はクロード視点で物語が進むぞ」

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