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第13話「魔法学園・偽りの身分」

いつの間にか眠っていんたのか、ベッドから起き上がる。


「っ!」


「いきなり動くと体に良くないですよ」


 なぜか隣で横になっているシルビア。


「・・・おはようございます?」


「おはようございます。動けるようになったのですね」


 言われてみれば、起き上がれている。


「朝食の用意をしますので、もう少し休んでいてください」


 そう言い残し、シルビアはベッドから出ていく。


「・・・服のまま寝てたのか・・・」


 *


 研究室でシルビアが戻ってくるのを待ちながら魔導書を読み漁る。

 『妖精の眼』を通すことで即座に魔法を理解して使用可能にしていく。初級魔法から禁術レベルの魔法まで無造作に読み散らかされている魔導書だが、全てに共通点がある。「転移」だ。


「転移の魔法を研究していたコラプサー姉妹か・・・」


「そこまで知っていたのか?」


「えと・・・」


 音もなく部屋に侵入してきた長命種、エルフ。


「・・・エルフの方ですか、お邪魔しています」


「気にするな、皆がそろうまでしばらく待たせてもらうぞ?」


「お茶とか出せないのですが、それでよろしければ」


「構わん」


 エルフと二人とか気まずいなとか思ったが、魔導書を読んで無視する。


「・・・」


 シルビアが戻ってくるまでこちらを観察し続けていたが気にしない。



 *


「朝食持ってきましたが・・・校長の分はないですよ?」


 扉を開けてシルビアが入ってくる。手にはお盆に乗せられた食事。


「いい、飲み物だけでもくれれば」


「入れますので、少しお待ちを、クレアを起こしてくれませんか?」


「・・・どこにいるんですか?」


「ベッドで寝てたはずですけど?」


 寝室に戻りベッドを見てみる。ベッドの周りを見てみると、ベッドと壁の隙間に挟まっているクレアを発見。


「・・・クレアさん、起きてくれませんか?」


「ん~、あと、五分、五分~」


「典型的な・・・」


「ふむ」


 いつの間にか付いてきていた校長が、後ろから手を伸ばしてクレアの胸を揉む。


「相変わらずけしからんな」


「ひゃー」


 胸を鷲掴みされたせいで腕を伸ばすも壁に挟まっているので動けない。


「!どうなって!」


 クレアを引っ張り出して隣に連れていく。寝室でクレアを起こしている間にさらに人が増えている。お嬢様と執事だろう。お嬢様は普通の格好だと思うが、男が燕尾服なのだ。この場合執事だろう。


「クレア、帰ってきたなら挨拶ぐらいしなさいよっ!」


「忙しかったからー」


「それで、この男は何?」


「面倒なのが来たな・・・」


 状況を整理する事に。とりあえず、シルビアと執事。以外が椅子に座る。


 とりあえず、自己紹介と。


「キリサキアヤトです」


「「「・・・」」」


「それだけ?」


「どこまで話していいのかわからないのですが?」


 一同顔を見合わせる。


「ふむ・・・私が学園長のレムリナだ。アヤト、一応お主が勇者召喚により召喚されたことについては知っている。そして、そこの事に関してクレアあからある程度相談を受けている」


 カードを二枚胸元から取り出してテーブルに置く。


「見せてもらってよろしいですか?」


「ああ」


 一枚のカードは冒険者ギルドと書かれている。もう一枚は魔法学園の生徒証。胸元にあったせいか生温かいのは無視。処世術として必要だよね。


「これはいったい?」


「勇者だと知られるといろいろと不味い事になるからな、生徒として偽造身分を作り出す。クレアの妹としておけば問題はないだろう」


「すいません、僕男なんですが?」


「・・・そうだったな、見た目が女っぽいから間違ってしまった」


 わざとではないと思いたい。


「で、そちらのお嬢様と執事さんは?」


「私は、シェリス・レヴィ・アナスタシア。クレアのライバルであり大親友といったところかしら、まぁ勇者召喚に成功したって話は聞いていたから驚きはしないけど、まさか攫ってくるとは思わなかったわ」


 クレアをちらりと見るとほほ笑んでいる。読めない。


「私はクロードです、奴隷でありますが、シェリスお嬢様の執事を務めさせてもらっています」


「奴隷?」


「・・・奴隷についてご存じない?」


「奴隷の概念は理解しいますが、僕の世界では奴隷は全面禁止だったもので」


 現在の日本に奴隷制度はない。日本の歴史なら弥生時代ぐらいだったが、今の考えの扱いとだいぶ違うし、身売りという方が近い。まぁ、奴隷というより丁稚奉公しているんじゃないかと思う。この人は。


「クロードは家族の治療費を稼ぐために自分を売ってな、たまたま私が買ったのだ」


 普通に身売りでした。


「・・・治療費を稼ぐというのなら、売るよりも回復魔法を修得したほうが良かったのでは?」


「魔法の修得にはそれこそ歳月がいる、本人の才能もある。クロードは学園では最強の氷水系統の使い手だよ」


「なるほど、回復は不得手というわけですね」


「ええ、お恥ずかしながら」


 お嬢様は顔で選んだのか、才能で選んだのかどちらにしろ、いるところにはにいるんだと。


 最後にクレア・コラプサー。エスター王国で聞いていたとおりだった。


「クレアさんに聞きたいことがあります。勇者召喚はあなたの意志なのでしょうか?」


「・・・ええ、召喚するするつもりはなかったのだけど」


 行方不明の姉を探す為に勇者召喚の魔法陣を組み上げた。しかし、勇者を召喚するつもりはなく、失敗に終わらせるつもりであった。

 ただ、勇者召喚の魔法陣に魔力を流した際に、死にかけていた僕を見た為に、勇者召喚の魔法でこちらに連れてきた。と。

 なれば、こちらは命を救われた形になる。どうにか恩返しできればいいのだが・・・。


「アヤトは帰りたいのでしょう?直ぐに、とはいかないけど、私の魔力が回復すれば、召喚魔法陣を逆算して帰還することも可能なはずだけど」


「それ、危険性はどの程度ですか?」


 勇者召喚した際を召喚師二十人で勇者八人。一人では無理だと思う。ましてや、召喚後クレアさんは魔力枯渇により一日以上寝込んでいたはず。


「・・・」


 答えは無い。といことはかなりの危険が伴うはず。


「・・・ところで、エスター王国の方の様子はわかりますか?他の勇者がどうなっているのか知りたいのですが」


「復興作業ばかりだと」


「最後に僕を襲った人間たちとの戦闘は?」


「全員捕えたらしいわ」


 全員捕縛ってことは問題ないってことか。・・・うまく利用されたか?


「さて、アヤトの生徒証を作るが、名前はどうする?」


 偽名なら本名に似せておいた方がいい。間違って返事しても問題ないようにするためだ。


「アヤでいいなじゃない?」


「女性の名前なのでダメなんじゃないですかね」


「じゃ、アヤで決まりね」


「人の話聞いてましたか?クレアさん?」


「性別も偽装するべきだと思います」


 シルビアが爆弾を投げ込んだ。


「なるほど、一理あるな」


「ないですよ学園長」


「そうか・・・」


「アーヤでいいんじゃないですか?」


 クロードがいい感じに助け船を出してくれた。


「アヤって間違って呼んでも問題なさそうですし」


 船体に穴があけられていた!味方のふりした敵か。


「ふむ」


 こちらの返事を聞くまでもなくアーヤ・コラプサーと刻まれる。


「学園長ー?」


「悩んでも時間の無駄だろう?」


「まぁ、そうでしょうが・・・」


「さて、一応これで魔法学園と冒険者ギルドの身分が出来た。ギルドの依頼は学園内でも請け負うことが出来るが、詳しい話は街の方の冒険者ギルドで受けてくれ」


「まじすか・・・」


「ああ、それと、いくつか依頼をこなしておいてくれ、クレアと再会するまでは別のところで暮らしていた。という理由で足取りを調べられることはそこまでないと思うが、一応、こちらの世界の住人である。と思わせるためにも依頼をこなしておいて欲しい」


「・・・わかりました」


「では、ここいらで解散だな、こちらの方で書類等の手続は済ませておく」


「性別が女性になってないことを祈りますよ?」


「ああ、問題ないぞ?」


 目をそらしながら退出する学園長・・・。ほんとに大丈夫だよな?


「では、お嬢様、クレア様もお疲れのご様子、あまり長いしては疲れも取れませんので、部屋に戻りましょうか?」


「しかたないなー、クレア、アーヤ、また来るぞ?」


「ええ」「どもー」


「しかし、食事が冷めてしまいましたね、温かいお茶を入れますよ?」


「ええ、お願い」「助かります」


 簡易キッチンでお茶を入れるシルビア。


「・・・クレアさん」


「な、なにかしら?」


 椅子から立ち上がり、頭を下げる。


「命を助けていただきありがとうございます」


「・・・ごめん」


「謝らないでください。クレアさんの判断があったから、僕はここにいるのですよ」


「でも、帰れないかもしれないわ」


 席に座り、食事に手を付け始める。


「その時は、その時ですよ。帰還について、危険のない方法で帰れる方法は、ありますか?」


「それは・・・」


「先ほどははぐらかしましたが、教えてください」


「・・・」


「危険なしでは帰れないのですね?」


「まぁ・・・」


「質問を変えましょう、召喚を行う側の負担はなんですか?」


「魔力よ」


「・・・それだけですか?」


「それだけよ。召喚に必要な魔法陣を用意したら、あとは魔力を魔法陣に込めて発動させるだけ、魔法陣が発動するのに必要な魔力が足りるか足らないかの問題よ」


 言うだけなら簡単そうだが、魔法陣を用意っていってもそこがかなり難易度高そうだけど。


「魔力はどんな感じですかね?」


「召喚対象によって増減するわ」


 召喚魔法に対しての説明を受けていく。


 召喚対象により魔力は増減。

 命の宿らないモノ程簡単に召喚可能。ただし、別世界のモノだと途端に難易度が跳ね上がる。


 別世界とつなげるところが最初の関門。

 次につなげた先の召喚対象物を選ぶ事が二つ目。都市一つ、街一つも呼び出すことも可能だろうと。ただし、それなりの大規模な人員が必要。

 最後が対象物をこちらに呼び出して固定化する。

 固定化がうまくいかないと元の世界に戻る。放置してたら戻れる。というのは希望的観測か。


 構造が複雑なものもこちらに呼び出す途中で壊れる可能性があると。


 地球にあってこっちの世界にないものは駄目と。


 制約に引っかかると確実に失敗するので、陣の用意は特に念入りにするらしい。


 自分で帰還の魔法陣を用意できないかと思っての質問だったが、結論から言うと無理としか思えなかった。

シルビア「次回予告!突如ギルドに現れた謎の天才美少女魔法使いアーヤ!悪い事する人は欠片も残さずデストローイ!お楽しみに」


アーヤ「この次回予告は嘘しか言ってません!」

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