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来るべき時(1)




パクッと一口食べると甘みとそして、果物の中に入っている甘みを含んだ水分が口いっぱいに広がる。


「んーーーー!!

ゴドフィンこれ美味しいわ!!」


フルーツ屋さんへ寄ると、フルーツを買ったお礼にとサービスにフルーツを一個オマケしてくれたのだ。

私が食べているフルーツは何処か遠い国の果物で名前は「ナシ」というらしい。その緑色でゴツゴツした皮から考えられないほど、シャクシャクとすぐに食べれるし、何より甘いのだ。


んふふ。

お父さまに知られたら怒られちゃうわっ

…でも、食べながら歩くの悪いことしてるみたいなのにすごくドキドキしてるわ!

私もいけない子になってしまったのね…!


ゴドフィンを見ると、貰ったお魚と買ったフルーツが入っているバケットを持ちながら、呆れた顔で私を見てくる。


「シャーロット様、思ってることが顔に出ています。食べ歩きしている自分に酔うのはやめて下さい。」


「あら、いいじゃない。

だって、とても美味しいのよ!

ゴドフィンにも食べさせてあげたいけど」


「じゃあ、

一口くださればよろしいのでは?」


「 この”ナシ”は私の物だから、

もうひとつの”ナシ”一緒にお城で食べましょうよ。」


すると、ゴドフィンは『そんなに食べるのか』というような長いため息をしてもう何も言わなくなった。

こういう時長年一緒にいると思ってることが

分かっちゃうのが嫌よね。



そう思って息を少しはぁと吐いた時






まるで、何か良くないことが起きたみたいに

街の非常事態の時しかならない中央塔の警鐘が鳴り響いた。


その瞬間今までキラキラとそしてガヤガヤと

賑やかだった市場がいきなりまるで夜がいきなり来たみたいに静かになった。

ドクンッと心臓の音が急に大きくなって

来てそれが尚更緊張を煽ってるみたいだった


お願いだから…

私の能力に関係することじゃありませんように。


何で何も聞かされてないのに、自分の力や吸血鬼の事だと考えてしまったのかは自分でも分からない。それでも何か嫌な予感がするの


「シャーロット様…」


「ええ。

ゴドフィン すぐに城へ帰るわよ!」


私は不安でパニックになるスレスレの人々でごった返している市場の道をたくさんの人を避けながら城を目指した。

後ろからゴドフィンが、しっかりとついてきていることはちゃんと分かってた。


お願いだから…どうか


『氷の能力がこの世界に現れると、吸血鬼との全面戦争が再び起こる』


アナベルの伝説のようにはならないで。






いつものように、城の厨房の裏口からこっそり城の中に入って何食わぬ顔でお父様がいつもいる書斎に向かおうとする


ゴドフィンが慌てたように


「シャーロット様!陛下に会うのでしたら

着替えなくては!!」


と慌てて追いかけてきて言う

その忠告を無視して”庶民の服”のまま書斎に行こうとすると、いきなり腕を掴まれて

手繰り寄せられる


「早くしないとっ!!

何が起こったか聞かなくちゃっ!」


「リコラ王国の王女がそんなものだと思われるのは私は嫌です。貴方はそんなものではありません。だから着替えになってください」


ゴドフィンがあまりにも真面目に言うから

仕方なく自分の部屋に戻ってゴドフィンが仕立ててくれたミディアムドレスに着替え直す


全体が薄いピンクで、ウエストのところには

大きなオレンジ色のリボンが巻かれている。

私の好みにすごくあっている。だけど…

それどころではないのだ。


着替えた瞬間に私は駆け出す


「あ!シャーロット様!!」


今度は腕なんか掴まれずに書斎にパタパタ駆ける。本当は城の中では駆けてはいけないんだけども。今はそんなことかまってられないんだから。



書斎の前に着くと

トントンと軽くドアをノックをしてから


「お父様?私、シャーロットです。

入ってもよろしいですか?」


と言った

いつもなら、『お入り』と優しい声が聞こえてくるのに今日の返事は何も返ってこなかった。


…お父様、何処へいってるの?

聞きたいことが山ほどあるのに…

そう思って書斎のドアの前で考え込んでいると


「シャーロット様?

…陛下に何か御用でもあったのですか??」


とたまたま通りかかったメイドが私に声をかけてくれる。書斎の前で腕を組んで考え込んでいたら声はかけてくれるとは思うけど。


「ええ。お父様に今すぐ会いたいんだけど

何処にいるか知ってらっしゃる?」


「陛下なら、只今大臣達との緊急会議を行なってるところだと思いますよ。」



緊急会議…

会議なんて、どこでやるの…?

思い浮かぶ場所がどこにも…



ん?待って。

確か一つだけ…



…誰もいつも使わない、城の東側の二階に

確か大きな部屋があった。今思うと大きな長いテーブルや沢山のイス、そして沢資料が入った本棚がたくさんあった気がする…


あそこなら部屋を知っている人しか来ない


そう思うと、身体が勝手に動いていた


「ありがとう。助かったわ!」


そう振り返りながら言うとメイドは優しく微笑んで、手を控えめに振ってきた。

まるで『いってらっしゃい』というように



何でこんなにも、私 必死なんだろう

本当に なんの確証もなんにもないのに

でも、ここで私話を聞かなければ後悔する。

そんな気がするのだ


お婆さんから貰った手袋をしっかりとはめて

ギュッと手を強く握った。


大丈夫 深呼吸すれば、力は落ち着くから。

自分で能力は抑えられるんだから。







城の東側の二階の大きな部屋の前につくと、

やっぱり扉も大きくて、白かった。

扉に耳をくっつけなくたって、人が喋っていることは分かった。…でも内容が分からない


「うーん。どうしましょう」


堂々と出て行って『出て行け』とお父様に言われたら、もうそれこそ何も聞けなくなってしまうわ。


お父様、国の事になると真剣すぎて人が変わってしまうのよね。


こうなったら、



こっそり聞くしかないっ…!!



私はほんの少しドアを開いて中をみてみた

すると、案の定大臣達がテーブルを挟んで座って向かい合っていて、1番奥にお父様が悩まし気な顔をして座っている


お父様…なんだか大変そう…


すると大臣達が重々しく喋りはじめた



『国民に、この事を公開しなくてはいけないと思うのですが。』


『こんな事、国民に話したらそれこそ

パニックになってしまうぞ!!』


『ですが…!

国民には知る権利があります!!』


『………』


こんな事って何…?

でも、大臣達がこんなに頭を悩ましてることなんだから相当な事が起こったのね。


すると、お父様が喋りはじめた



『…国民には、知らせよう。


吸血鬼達が入った氷が溶けはじめてしまっていることを』




その言葉で私の嫌な予感が的中してしまった事が分かった。



まさか…

あの氷は伝説では、『永遠に溶けない氷』と言われてるのに。

それに50年も溶けてなかったのに、何故今なの…?


『吸血鬼の研究者はいるのか…?』


とお父様が大臣達に聞く


”吸血鬼の研究者”…

私もこれは噂で聞いたことある。表では普通の職業につき裏では吸血鬼の研究を進める人のことだ。噂で聞いたことあるくらいだから

ほとんど都市伝説化してしまっている。


『それが…この国にはもう研究者はいないのです。』


いない…?どういうこと…?

私はいつの間にかペタリと床にしゃがみ込みながら見つからないように覗き、また聞いた


すると、お父様は驚いたように目を見張った


『なんと….家系が絶えてしまったのか?』


すると、1人の大臣が


『…吸血鬼研究者のマクタガート氏は約三年半前に急逝してしまい、家系は絶えてしまった訳ではありませんが…』


とそこまで喋って行きなり口が重くなり喋るスピードが急激に遅くなった


『なんだ?どうしたというのだ?』


とお父様が聞き返すと


その大臣は意を決したようにしっかりとお父様の目を見て言った



『…マクタガート氏には息子がいましたが

3年前この息子、キアは9人もの人間をたった19歳で斬殺しており西の牢に今は入っています』





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