2026-03-12
お前の喋り方は出自が割れる。
ここでの流儀を覚えるまでは、外で喋るな
とりあえず服あたりつまんでろ
俺が急に動いたときは離せ
キョウカは頷いて、ウルミの背中側の布をがっつり掴んだ。ウルミは呆気にとられつつも、そっとその手を掴んだ。
服の裾か、袖口にしてくれ。
そうします。
キョウカの話し方は無法エリアでは目立つ
しかし、生活するなら対策をせねばならない
ひとまずキョウカは、ウルミの指示に従った。
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社会勉強行くぞ、ついてこい
ウルミは買い出しにキョウカを連れ出すようになった。キョウカのイメージでは、無法エリアには人間が転がっていそうだったが存外そうでもなかった。
ウルミに聞けば、生きていようが死んでいようが売れるものは早々になくなるとのことだ。
キョウカが転がされてから、長らく放ったらかしになっていたのは珍しいことなのだろう。
ウルミに拾ってもらえたのは幸運だった。
買い出しでは、濾過されていない水を手に入れた。
食料はウルミがどこかからか持ってくる。恐らくキョウカへの社会勉強に含めるつもりのない手段を使っているのだろう。
もしくは、キョウカがウルミからは離れられない状況にして逃がさないための一手。
ウルミは拾ってしまった少女を持て余してはいたが、遵法エリアでの知識を手に入れることができた。
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ご主人様
キョウカがウルミに呼びかけるが、ウルミは反応しない。
次は服の裾をつかんで、もう一度呼んだ。
ご主人様
ウルミは振り返ると、キョウカが自分を呼んでいたことを把握した。
お前を正式な奴隷したつもりもない
お前の主人でもない。
では、どのように呼べばよろしいでしょうか。
ウルミは少し息を吸って考えた。
兄貴とでも呼んでおけ。
その方が俺の舎弟だと分かるし、自然や。
兄貴
で、何の用?
はい。今後の私の身の振り方について伺いたく存じます。
外で喋るな。今じゃない。
帰ってからにしてな。




