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宴の準備 精神的に疲れます


 国王に恋人がいる。


 その事を改めて突き付けられた。

 あの女性も、もしかしたら国王の大事な人を守る為の隠れ蓑かもしれない。フィリネグレイアやアルフレアの様に。

 それを自覚しているのに、胸が締め付けられるのは自分の国王に対する想いが変わってしまったせいだろうか。

 昨日の出来事が頭の中で何回も再生され、その度に胸が苦しくなる。

 国王は自分をあんな風に、自ら引きよせて抱きしめてくれるだろうか。

 いや。きっと自分はずっと国王の隣りを必死でついて行くだけで、国王は自分と言う存在をそのままで見はしないだろう。常に、彼にとって自分は使える駒なのだ。


 そんな事をつらつらと考えながら、今日も書庫に行く為に準備していたフィリネグレイアのもとに知らせが届いた。


「一週間後、王宮で国王主催の宴が催されます。これは婚儀の前に行なう貴族の方々への挨拶をかねていますので、参加の拒否権はありませんと国王陛下から。何かご質問はありますでしょうか」


「どうして、一週間前の今日になってその知らせが届いたのかしら」


「今までのご自分の行動を思い出されれば宜しいかと」


 無表情で返してくるミュレアにフィリネグレイアは何も言えない。

 確かに今までの自分の行動によって変な噂が流れてしまっている。もっと早く宴があると知ったらまた何かしら仕出かすのかと疑われてもしょうがないのだろうか。だが、自分は考えなしに行動しているわけではないのに。


「まあ、良いわ。落ち度が無いよう、滞りなく準備を進めてちょうだい」


 それだけを告げ、フィリネグレイアは手早く準備を終わらせて書庫へと向かおうとしたが、それをミュレアが引きとめた。


「お嬢様、今日は宴に着る衣装の寸法を測る為午前中の授業は無くなりました」


 告げられた事実に、フィリネグレイアの思考は停止した。

 彼女は今、何と言っただろうか。

 ゆっくりと身体を戻して机の上に持っていた物を置く。そしてフィリネグレイアはミュレアを見る。


「何故、今それを知らされているのかしら?」


「先程連絡を頂いたからです」


 ミュレアの答えに、フィリネグレイアは脱力した。ドレスの採寸は遅くとも2、3日前に専門店に依頼するものだ。いきなり昨日の今日決まった事ではないだろうに、何故寸法を測られる本人の元に情報が届いていないのだろうか、非常に遺憾である。

 これは国王の自分に対する嫌がらせだろうかと一瞬疑ってしまう。いや、フィリネグレイアが王妃となる事に反対している貴族の妨害だろうか。

 ここで自分が意地を張って採寸を受けなければ自分に仕えてくれている侍女や女官、採寸の為にやってくる針子の人が困るだろう。

 フィリネグレイアは深い溜息を吐き、道具を片づけ始めた。

 

 




 数時間後、フィリネグレイアの部屋にやって来たお針子によって次々と彼女の採寸が取られていく。大人しく言われるがままに身をゆだねていたフィリネグレイアだが、ミュレアには彼女の不満が手にとるように分かった。

 全ての作業が終わり、解放されたフィリネグレイアは疲れた体をソファに預け、大きく息を吐いた。


「久しぶりにすると、とても疲れるわね」


「3,4か月前にドレスを新調した際に採寸を取ったではありませんか」


 フィリネグレイアの呟きに、ミュレアは呆れた。たかがか1,2時間程度の採寸で疲れていたら宴など到底最後まで参加出来るわけがない。気づかないうちに主の体力が落ちていたのだろうか。これは由々しき事態である。

 ミュレアが眉間にしわを寄せながら自分を見ている事にフィリネグレイアは気付いた。なんとなくその理由に気付いて居住まいを正す。


「疲れたというのは精神的な意味です。それで、今日の予定はもう終わったのかしら」


「この後、ダンスの練習をしていただきます」


「どうして今さらダンスの練習が必要なのかしら」


 自分はものごころついた頃には既に家庭教師などからダンスの手ほどきを受けているというのに、今さら何故必要なのだろうか。突然変な事を言い出したミュレアを、フィリネグレイア訝しげに見つめる。


「お嬢様は最近勉強ばかりで運動をされていないではありませんか。いきなり長時間身体を動かしては宴の途中で退出することになります」


 自覚していた痛いところ事を指摘され、フィリネグレイアは何も言えなくなった。



とりあえずここまで。

一か月以上投稿しなかったのは初めてだろうか?


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