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我はスライム! ~とあるスライムによる学園観察日記~  作者: おきくと二郎
【第2章】「王立魔法学院のオス個体たちの求愛行動がヤバすぎて理解不能だった話wwww」
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【第7話】告白

 学院生活を観察して一週間。俺はついに人間の最大の謎に直面することになった。

 『恋愛』である!

 今朝、中庭でとんでもない光景を目撃してしまったのだ。

 一人の男子学生が、女子学生の前で膝をついて、手に花束を持って、何やら必死に話している。

「僕と...僕とお付き合いしてください!」

 おおおおお!これが告白ってやつか!

 俺は植え込みの陰からじっと観察した。

 男子学生(以下、オス個体A)は顔を真っ赤にして震えている。女子学生(以下、メス個体A)は困ったような、でもちょっと嬉しそうな表情をしている。


「え、あの...突然すぎて...」

「僕、君のことがずっと好きでした!一目見た時から!」

「でも、私たちまだあまり話したこともないし...」

「話しましょう!いくらでも!僕のことを知ってください!」


 うーん、これは興味深い行動パターンだ。

 オス個体Aは、メス個体Aとほとんど交流がないにも関わらず、強い求愛行動を示しているようだ。これはどういう原理なんだろう?

 俺たちスライムの場合、求愛は相手との接触時間に比例する。長時間一緒にいて、お互いを理解してから交際に至る。

 でも人間は違う。「一目見た時から」って言ってる。視覚情報だけで求愛衝動が発生するのか?

 それとも、人間の「好き」って俺たちスライムの「好き」とは全然違う概念なのかもしれない。


「お返事は...いつでもいいです。でも、僕の気持ちだけは伝えたくて...」

 オス個体Aの行動を分析してみよう。

 まず、花束という贈り物を用意している。これは多くの動物に見られる求愛行動だ。オスがメスに価値のあるものを提供して、自分の能力をアピールする。

 次に、膝をつくという服従的な姿勢。これは自分が相手より下の立場であることを示している。つまり、相手を上位者として認めているわけだ。

 そして、言語による感情の表明。これは人間特有だな。他の動物は行動や鳴き声で求愛するけど、人間は複雑な言語を使って内面を表現している。

 でも一番興味深いのは、成功の可能性が低いにも関わらず、この行動を取っていることだ。

 メス個体Aの反応を見る限り、受け入れられる可能性は五分五分といったところ。それなのに、なぜオス個体Aはこんなリスクの高い行動を取るんだろう?


 もしかして、人間の恋愛には合理性以外の要素が大きく関わってるのかもしれない。

 感情が理性を上回る瞬間があるとか?

「私...少し考える時間をもらえますか?」

「はい!もちろんです!一週間でも一ヶ月でも!」

「ありがとう。お気持ちは...嬉しいです」

 おお、メス個体Aが時間を要求した。これは拒絶ではなく、検討するということだ。

 つまり、即座に判断するのではなく、時間をかけて相手を評価するつもりらしい。

 これは賢明な戦略だ。衝動的な判断よりも、慎重な判断の方が長期的な関係には適している。

 でも、なぜ人間は恋愛においてこんなに慎重になるんだろう?

 他の動物なら、気に入らなければすぐに別れればいい。でも人間の恋愛には、何か特別な重みがあるみたいだ。


 もしかして、人間の恋愛は単なる繁殖行動じゃないのかも。

 もっと深い、精神的な結びつきを求めているのかもしれない。

 告白現場を観察した後、俺は図書館に向かった。恋愛について、もっと理論的に理解したくなったからだ。


 図書館で「恋愛学概論」という本を見つけた。人間は恋愛まで学問にしてるのか。すげーな。

本によると、人間の恋愛には段階があるらしい。

第一段階:「一目惚れ」- 視覚的魅力による瞬間的な好感

第二段階:「片思い」- 一方的な感情の高まり

第三段階:「相思相愛」- 双方向の感情の確認

第四段階:「交際」- 継続的な関係の構築

第五段階:「結婚」- 社会的な結合の確認


 なるほど、さっきの告白は第二段階から第三段階への移行を試みる行動だったのか。

 でも興味深いのは、この段階が必ずしも順番通りに進むわけじゃないということ。

 時には第一段階から第四段階に飛んだり、第三段階から第二段階に戻ったりすることもあるらしい。

 複雑すぎる!

 俺たちスライムの求愛なんて、「接触→相性確認→交尾」の3段階だけなのに。

 人間の恋愛は、まるで複雑な魔法の儀式みたいだ。

 でも、なぜこんなに複雑にする必要があるんだろう?

 本を読み進めると、答えが見えてきた。

 人間の恋愛は、単なる繁殖のためだけじゃなくて、長期的なパートナーシップを築くための行動なんだ。

 子育て、生活の共有、精神的な支え合い...色んな目的がある。

 だから、相手を慎重に選ぶ必要がある。外見だけじゃなくて、性格、価値観、能力...全部を総合的に判断しなきゃいけない。

 そのための複雑なプロセスが、恋愛の段階なんだな。

 すげー合理的じゃん!

 でも同時に、感情的でもある。理性だけじゃ説明できない部分がたくさんある。

 この理性と感情のバランスが、人間の恋愛を面白くしてるのかもしれない。

 午後、食堂でオス個体Aを発見した。

 友達に囲まれて、さっきの告白について報告している。

「どうだった?」

「うーん、保留かな」

「それって脈ありじゃない?」

「どうだろう...でも、嫌がられてはないだろ」

 面白いのは、オス個体Aが一人で悩んでるんじゃなくて、友達に相談していることだ。

 恋愛は個人的な体験だけど、同時に社会的な出来事でもあるんだな。

 友達のアドバイス、周囲の反応、社会的な評価...全部が恋愛に影響する。

「俺だったら、もっと仲良くなってから告白するけどな」

「でも、先に気持ちを伝えるのもありだよ」

「相手の性格にもよるよね」

 友達同士で恋愛戦略を議論している。恋愛にも戦略があるのか。

 これって、集団知を活用した問題解決だな。一人では思いつかない解決策を、みんなで考える。

 人間の社会性がここでも発揮されている。

「でも、一番大事なのは気持ちだよ」

「そうそう、テクニックじゃない」

「でもテクニックも大事でしょ」

 気持ちとテクニック。これも興味深い対立だ。

 純粋な感情を重視する派と、効果的な方法を重視する派がいる。

 でも実際は、両方必要なんだろうな。気持ちだけあっても相手に伝わらないし、テクニックだけでは心が動かない。

 人間の恋愛は、本当にバランスの芸術だ。


 夕方、また中庭を通りかかると、今度は別のカップルを発見した。

 こちらは既に交際が成立しているペアらしい。手をつないで、楽しそうに話している。

「今度の休日、一緒に街に行かない?」

「いいね!どこに行こうか?」

「君の好きな場所でいいよ」

「じゃあ、本屋さんと喫茶店かな」

 こちらは平和だ。お互いの要求を調整しながら、共通の活動を計画している。

 これが第四段階の「交際」なんだな。

 告白の緊張とは全然違う、安定した関係。でも、だからといって退屈じゃない。お互いを思いやって、楽しい時間を作ろうとしている。

 でも、ふと疑問が浮かんだ。

 この二人は、ずっとこの関係を続けるつもりなんだろうか?それとも、いつかは別れることもあるの?

 人間の恋愛って、永続的なものなのか、一時的なものなのか?

 俺たちスライムの場合、パートナーとは基本的に永続的なものだ。でも人間は違うかもしれない。


「君といると、毎日が楽しいよ」

「私も。こんなに幸せでいいのかなって思うくらい」

 今は幸せそうだけど、この感情はずっと続くんだろうか?

 時間が経つと、お互いに飽きたり、別の人を好きになったりしないの?

 恋愛の永続性と変化性。これも人間の恋愛の謎の一つだ。


 夜、寮に戻ったオス個体Aの部屋を覗いてみた。

 一人でベッドに座って、何やら考え込んでいる。どうやら、同室のルームメイトは出払っているらしい。


「本当にこれでよかったのかな...」

「もっと時間をかけて仲良くなってからの方がよかったかも...」

「でも、気持ちは本物だし...」


 告白後の心理状態を観察できるのは貴重だ。

 不安、後悔、希望...色んな感情が混在している。

 行動を起こした後の感情的な反応も、恋愛の重要な要素なんだな。

 そして、一人になった時に本音が出る。昼間は友達の前で強がっていたけど、本当は不安でいっぱいなんだ。


 人間って、本当に複雑だ。表面と内面、建前と本音。色んな層がある。

 恋愛は、その複雑さを更に増幅させるんだな。

 一日の観察を終えて、俺は人間の恋愛について初歩的な理解を得た。

 恋愛は、単なる繁殖行動ではなく、長期的なパートナーシップ構築のための複雑なプロセス。


 感情と理性、個人と社会、永続性と変化性...様々な要素が絡み合っている。

 そして何より、恋愛は人間にとって非常に重要な体験らしい。

 幸福の源でもあり、苦悩の原因でもある。

 俺にも、いつかこんな感情が芽生えるんだろうか?

 スライムだって恋できるのかな?

 まだよく分からないけど、もっと観察を続ければ理解が深まるかもしれない。

 明日はどんな恋愛ドラマが見られるかな?

 人間の恋愛観察、これは俺の新しい専門分野になりそうだ!


【キャラ詳細】

名前:エルヴィン・ハートウェル(オス個体A)

年齢:16歳

学年:魔法学院1年生

種族:人間

出身:王都近郊の小さな町

魔法属性:風(中級)

性格:純真、一途、ちょっと天然

特技:料理(お母さん譲り)

弱点:女の子と話すと緊張する、方向音痴

好き:静かな場所、本を読むこと、お母さんの手紙

嫌い:大きな音、人ごみ、虫

口癖:「えーっと...」「そうだね」

家族:両親と妹一人(父は農夫、母は村の治療師)

夢:故郷に帰って、みんなの役に立つ魔法使いになること

現在の悩み:学院の授業についていけるか不安

恋愛経験:今回が初恋

告白スタイル:正面突破型(勇気だけで勝負)

スライム評価:★★★★☆「純粋でいい奴。でも恋愛は不器用」

■魔法

・風魔法レベル:初級〜中級

・得意魔法:そよ風(リラックス効果)、風の刃(攻撃魔法)

・苦手魔法:大規模な風魔法(制御が難しい)

・特殊能力:動物と意思疎通できる(風で気持ちを感じ取る)

■人間関係

・親友:同室のルームメイト3人

・憧れの人:図書館でよく見かける先輩女子

・ライバル:特になし(競争より協調を好む)

・苦手な人:大声を出す上級生


■日課

6:00 起床(早起きが得意)

6:30 朝の散歩(風魔法の練習)

7:00 朝食(必ず友達と一緒)

8:00-12:00 午前の授業

12:00-13:00 昼食(中庭でお弁当)

13:00-17:00 午後の授業

17:00-19:00 図書館で予習復習

19:00-20:00 夕食

20:00-22:00 友達と談笑、手紙を書く

22:00 就寝(規則正しい生活)

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