ルームメイトの目利きじゃない蒐集について
私はアンティークショップの経営者、アーモンド。私にはフローレンスというルームメイトがいて、その子は自分のことを私の『親友』だと言っている。
私たちが住むのは店の上。小さな城だが、それぞれベッドルームがあるから、不便ということもない。
ある日から、フローレンスが奇妙なアンティーク品を持ってくるようになった。
「良いものを見つけたの。高く売れるわよ」
フローレンスの声は歓喜するソプラノ歌手のようだった。
「お金持ちになれるわ! 大富豪!」
人生なめてる、と言いそうになったがこらえた。
だが別の豊作があった。フローレンスの持ち込んだアンティーク品のせいで幽霊が出るようになったのだ。しかもそいつらは寝ている時にしか出てこない。「私を見て」と言ってくる干からびたキュウリ顔幽霊に、私の髪を引っ張って奇声を出すマントヒヒ幽霊。狂いそうになったが、他のアンティーク品に宿っていた女剣士の霊が助けてくれたこともあった。
どうにかしたい、悩んでいるとあるアンティーク品から白いヘビが現れた。
「この者は魔法を使うことをお勧めする」
私は寝ているフリをしたが、このヘビはかなり賢い。私の狸寝入りを見破ったのだ。
話を続けるヘビに観念して、受け答えを始めるようになった。そしてこの幽霊問題について相談した。するとヘビはとある魔法をかけた。
魔法がかけられると、部屋が安らぎの色をした光に包まれた。
「話をしてくれて感謝する……お目にかかることは二度とあるまい」
「え? 光で部屋は守られてるじゃん?」
「魔法によって我々も部屋には入れなくなった。あちらへと追いやられてしまうのじゃ」
「何?」
「さらばじゃ。達者でな」
なんて男気に溢れたヘビなんだ。これで眠れる!
「サンキュー、おじさん。あんたのこと、忘れないよ」
ヘビは顔をしかめた。
「おじさん? この者はうら若き乙女じゃ」
私は慌てて口を覆った。光はカッと強まると、徐々に消え入り、ヘビも同じように姿を消した。
言い直すタイミングもなかった。ヘビの乙女ちゃん、ごめん。
またフローレンスが新しいアンティークを持ってきた。小さいゴブリンのような幽霊が現れたが、ドアのところにある見えない壁に激突して部屋に入れずにいる。
やった! 勝った!
…
だが、そのうちゴブリンが見えない壁に爪を立て、オンオンと泣き始めた。
この世界どこに行ったって完璧なんてない。私は起き上がってドアのとこまで行き、勢いよくドアを閉めた。
コンテストのためにこれを準備しました。
すごく驚きました!最初のドラフトは2200文字もありました。
読んでくれてありがとう。この作品は他の私の話からキャラクターを借りてきました。