築き
翠からギターを借りた桃音はその日の晩
練習に勤しんでいた…
「う〜ん全然わからない」
ら良かったのだが初っ端なからつまづいてしまっている。
まずTABふとか用語から分からない…。
パソコンの画面を見ながらう〜んと固まってしまう。
「翠ちゃんに聞いてみようかな」
パソコンの側に置いていたスマホを取り翠にメッセージを送る事にした。
調べたら出来るなどと言って直ぐに頼るのもも情けないな…という感情は桃音にはなかった。
『ギター難しくて翠ちゃんに教えて欲しいんだけど良いかな?』
と送信するも返事は無い。その日は、疲れてしまって返事がないだけと桃音は軽く思っていたが
日曜日になって既読は付いていたが返事が来ることは無くとうとう登校日の月曜日を迎える。
この時点でも桃音は特に心配している気持ちはなかったが
ある出来事で一気に心配の気持ちが込み上げる。
「翠ちゃん〜?」
翠がいる別室の扉をノックするも返事もなく開けてくれる気配が無い
何かあったのではと桃音は慌てて扉を開ける。
そこにはテーブルと無造作に置かれたイスがあった。
「翠ちゃんいないんだ…お休みかな。…もしかして体調崩しちゃったのかな!⁉︎」
桃音は別室の扉を閉め職員室へと向かう。足取りは思い。怖いという気持ちが芽生えていた。もしかしてもう会えなくなってしまう何処かでそんな嫌な予感かしていた。
「翠ちゃんお休みですか?別室にいないから心配になったのですが!」
「……あぁ一ノ瀬さんね。お家の方から体調悪いから休むって連絡あったわよ。そうそう……今日渡す書類あるから一ノ瀬さんの家に行こうとしたんだけどね、会議があるから」
「…私が代わりに持って行っても良いですか!」
「わかったわ。一応一ノ瀬さんの家にも連絡しておくね。昼休み頃職員室に来て」
教師は最初から桃音がそう言うのをわかっていたかのようにあっさり承諾した。
そして昼休み
「一ノ瀬さんの家に連絡したけど言いって言ってたわ。これ書類と住所ね」
「ありがとうございます!!」
書類と住所が書かれた紙を受け取り深々と頭を下げる。動作と挨拶が勢いありすぎた為周りの教師からもやや驚かれたのは桃音は気づいていない。
桃音は放課後帰宅してから早速翠の家へと向かう事にした。
「出かけるの?」
「うん、ちょっと体調の悪い友達に書類届けに」
「そうなんだ、あだったら…ちょっと待ってて」
母親は美容師を経営してる部屋に行き何やら持って戻ってくる。それは綺麗なイラストが付いた小箱だった。
「クッキーさっきお客さんに頂いたの。良かったら持って行って。家にあっても桃音1人で食べちゃうし」
「う〜ん確かに。ありがとうお母さん〜!じゃ行ってくるね」
受け取ったクッキー缶をリュックに仕舞い込み桃音は元気よく外へと飛び出した。住所をスマホのナビに入力し目的地を目指す。徒歩約20分の表示を見て驚いた。
(え〜結構、近くに住んでるんだ。もしかして叔母さんと会ったことあるかも。あれ?なんか本当に見たことある気がしてきた…けど。う〜ん)
歩みを進めながら考えていたが思い出せない。勘違いかと桃音は思い出す事を諦めた。すっかり桜が散ってしまった並木を歩き別の事を思い浮かべる。
(そういえばもうすぐゴールデンウィークなんだよね〜…何か予定あったら良かったんだけどな〜)
友達も家族と旅行に行ってしまうので友達との予定も無かった。そして桃音は家族と出かける予定も無い。
ーしばらくし歩いて翠の家へと到着した。
「ここが…翠ちゃんのお家…!?すごい大きい!お城にあるような門もある〜翠ちゃんやっぱりお姫様なのかな」
門から少し遠くにある家を見ながら想像力を広げていたが我に変えりインターフォンを押した。
「は〜い。桃音ちゃんね、今行くから」
インターフォン越しの叔母さんの声と共に門が開かれる。
「すごい!自動ドア!?」
などと驚いているうちにだいぶ距離のある家の扉から叔母がやって来た。そこに翠の姿は無い。
「叔母さん、お久しぶりです。翠ちゃんは。体調まだ悪いんですか?」
深々とお辞儀をしてから尋ねる。
「ん?あぁ、先生からそう聞いてるのね。身体の方はなんとも無いんだけどね。まとりあえず上がっていって」
「そうなんですか、良かったです。すごい大きい家ですね」
庭にはガーデニングや池がある。しかし見た感じガーデニングは花壇に花が無く椅子やテーブルが置いてあるだけで池には水が無いなど機能性は皆無。放置されている感じだ。
「ここ親が住んでた家なんだけどね、介護施設に入居して空き家になったから私が住むことにしたの」
「そうだったんですね。私の家ってこういうの無いから新鮮です!」
「あら、そうなの?」
「はい、お庭も無いです!」
何故か元気にそんな宣言をしてしまったところで庭を抜けて家に到着。
「さ、上がって」
「お邪魔します、家の中も広い〜!」
玄関先から広い廊下が見える。その間にいくつもの部屋があるようだ。桃音は叔母の後ろをついていく。
そして迎えられた部屋はリビングのようだった。キッチン側に食卓らしきテーブルがあり、もうひとつの空間には大型のテレビとソファが置かれていた。とにかく広い。
「ソファにかけてて今飲みもの出すから。ジュースで良いかしら?」
「はい大丈夫です!ありがとうございます」
また深々とお辞儀をしソファへとかけそしてカバンから書類とお菓子を取り出す。
少しして叔母さんがジュースを持ってきてソファへとかけた。
「これ書類とお菓子です」
「ありがとうね。さっきの話し気になるでしょ?」
「翠ちゃんの気持ちの問題ですか…?」
「そう。あの子ね前の学校であったことどうしても
まだ忘れらないみたい。進めないのよね。……やっぱり結局環境を変えても」
「前の学校…何があったかは聞かない方が良いですよね?」
「私は構わないけど。聞く?」
桃音は少し考える。理由は気になったがやはり翠が話してくれるまで待つ事にした。
「いえ、翠ちゃんが話してくれるまで聞かない事にします」
「そう?……ねぇ桃音ちゃん。これからも翠と関わりたい?抱えてる事知ったとしてなんとかしてあげようって思う?」
「私は翠ちゃんの力になれるならなりたいです!それと翠ちゃんといるのは楽しいです。私は一緒にいたいです。あ、でも翠ちゃんはどうなんだろ…」
「わかった。大丈夫そうね。翠も一緒にいたい気持ちはあると思うわよ。まだ他人…桃音ちゃんに対して怖いと思うところはあるだろうけど。本人に聞いた方がはやいか…」
叔母はリビング近くの扉を見てからそちらへと向かう。桃音の事を手招きで呼び。逃げないように静かに開けると。
「やっぱりいた」
「翠ちゃん…!」
「…なんでわかったの」
「何となくかな。入ってくれば良かったのに」
叔母の言葉に翠は反論するでも無く俯いて黙ってしまう。
そんな空気を変えるよう…桃音自身は空気を変えるという自覚は無かったが。
「翠ちゃん会えて良かった」
桃音は嬉しそうに翠の両手を握る。
「…うん。…ごめん私ライ◯の返事出来てなくて…ギター私で良かったら教える」
「本当!?ありがとう。ライ◯の返事は返せる時で良いからね」
翠は小さく頷いてから小さな声で途切れるように精一杯切り出した。
「桃音ちゃん…私…桃音ちゃんと…友達になりたい。…良い?」
「もちろん、良いよ!友達になろう〜。嬉しい」
桃音はもう友達と思っていたが、翠にとってはまだその段階になっていなかったようだ。
それから泣きそうになる翠に桃音はどうしたら良いか慌てながらも抱きしめた。
「とりあえず一安心ね」
そばで見ていた叔母は
クラスに行けてないこと、桃音がまだ翠の過去を知らない事などまだまだ課題は多い故のとりあえずだったが桃音が居ればこの先大丈夫だという気持ちになった。
ー
その日の晩叔母のスマホに電話が来た。
「翠大丈夫なの?元気にしてる?」
翠の母親からだ。開口一番に心配の気持ちをぶつけられた。
「お姉ちゃん心配しすぎよ。もう翠は大丈夫。友達も出来たし」
「友達…?その友達大丈夫なの?騙したり…」
「私も話しだけど全然そんな子じゃないよ、今まで色々な子を見て来た私が言うんだから。安心して」
「ねぇ、もうすぐゴールデンウィークでしょ?一回翠連れて帰ってきてよ。その友達も連れて」
「わかった、わかった言っておくね」
言いつつすっかり伝える事を忘れる叔母
翠の母から催促の電話が来るのはゴールデンウィークの終わりかけの事だった。