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瑞月堂へようこそ!(瑞月の読書遍歴)  作者: 瑞月風花


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ファンタジー特集Ⅰ

なろう出版と言えば、異世界転生や転移ファンタジーが有名です。

だけど、瑞月さんは、なぜかそれ以外を引き当ててしまうことが多い人。しかも短文タイトルに手を伸ばしてしまいます。全部読んでタイトルに秘められていた意味に頷くあの快感が大好きなのです。

今日は卸元であるなろう出版の倉庫の整理を手伝いに来ています。そして、いつも通り倉庫の奥へ古い本を運ぶための段ボールを持ち上げました。するとその途端に底が抜けて……悲鳴が聞こえるかと思いきや、瑞月さんが座り込んで埋もれた本を手に取っていました。

「えぇー、どうしてこんなに面白いのに埋もれてたの~っ」と。

瑞月さん、自分の好みに合う面白い本を引き当ててしまったようです。


☆☆☆ファンタジー特集Ⅰ☆☆☆


☆「竜の谷にて」

https://ncode.syosetu.com/n5605ha/

作 結城暁 様

5,824文字(短編)


なろう的ファンタジーは期待しないで下さい。主人公は弱小蜥蜴ヒュー。噛みつく力だけが秀でています。そして、それを利用して竜の卵を食べようとする彼より大きな蜥蜴たち。

眠っている竜にそっと近づき、卵に歯を立てたヒューの後から大きな蜥蜴たちが卵を食い散らかし始めます。

だけど、竜が起きてしまうのです。少し大きな蜥蜴たちは一目散に逃げてしまい……。

さて、残されたヒューはどうなるのでしょう???

しっかり読ませるお話です。蜥蜴君の男気と竜の器の大きさが気持ちいいお話です。



☆「老いた狩人」

https://ncode.syosetu.com/n2042hg/

作 三屋久 脈 様

3,029文字(短編)


このお話はいぶし銀という言葉がぴったりなのです。静かに淡々と年老いた狩人の生業が書かれています。淡々と書かれているのですが、どこかマタギなどを思い浮かべてしまう国語の教科書に載っていそうなそんな雰囲気すら感じられる、落ち着いたファンタジーです。

ローファンタジーと書かれているのですが、舞台が現実世界ではなさそうなので、私的にはハイファンタジーなんじゃないかなぁと思います。とにかく大人のファンタジーなのです。



☆「始まりの国 ー水の娘ー」

https://ncode.syosetu.com/n8647ip

作:いちめ 様

すごい!の一言に尽きます。

ウェブ小説に慣れていると読みにくいかもしれません。文章はつめつめ。1エピソードも長い。

だけど、読まされてしまったお話なのです。いますぐ書籍で!と叫びたくなりました。

主人公はアシュラという少女です。敵国の父を持ち、その容姿は敵国を彷彿させるものでした。だから、彼女の住む集落で、奴隷の子にまで差別されるくらいに虐げられて生きています。彼女を支えるのは彼女の母のみ。

だけど、自分のせいで不幸になったと思ってしまうその母の献身に、アシュラは母すら鬱陶しいものにしか思えません。

そんな彼女も成人するための儀式を迎える年頃になりました。その儀式を受けなければ人権を持てないくらいの大切な儀式です。それなのに、その儀式が受けられなくなるという事態にまで追い込まれてしまったのです。

その事態に関わっていたのがシュウレという青年です。このシュウレとの出会いが彼女に大きな変化をもたらせたのです。とにかく、5話まで頑張って読んでみてください。抜けられなくなりますから。

抜けられなくて、深夜に読み耽ってしまいました……気を付けてくださいね。文字数は7万弱です。



☆「ソード・ミーツ・ガール」(旧「継ぐ人」)

https://ncode.syosetu.com/n1813iq/

作:埴輪庭 様


家族を失った元騎士団長のサイラスは、その家族との別れの痛みから逃れるために酒に逃げて過ごします。彼のことをよく知る仲間たちは、何も言いません。

そして、彼のその職業は『探索者』

彼の住む町には大きなダンジョンがあり、そこを探索することで生計を立てているのです。

とても地に足付いたファンタジーです。彼に関わる探索者たちとの出会いと別れが、そこにある無情な日常と絡め合わせて描かれていて、その中で「様々な生きる勇気」をもう一度つかみ取っていくようなお話でした。いぶし銀な感じの奥の深いお話。派手で豪華な見せ場はありません。だけど、確かに生きている登場人物でした。ぜひ、GW後半のお供にどうぞ。


☆☆☆


トントンと肩を叩かれて、はっとした瑞月さん。

見上げた場所には呆れたお顔。

「す、すみませんっ。あの、この本もらっても良いですか??」

気に入った本をちゃっかり抱きかかえ、なろう出版の倉庫番さんに尋ねます。

「内緒だよ」

訳知り顔の倉庫番さんはクスクス笑いながら、答えてくれました。

「感謝します!」

元気に返事をした瑞月さんは、また段ボール箱を運び始めました。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 今回はファンタジー特集ですね。ご紹介の作品、どれも紹介文にとても惹かれて、読んでみたくなります。いつもありがとうございます。 短文タイトルで、全部読んでからタイトルに秘められた意味に頷く…
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