おっさん☆特集Ⅰ
ぐーっと伸びをした瑞月さんは、昨夜の出来事を思い返していました。
なんと、流れ星を見たのです。大きさ的には火球と呼ばれるほどの大きなもの。
恋愛ものをたくさん読んでいたから、もしかしたら、そんなロマンチックなことが起きたのかもしれません。
そんな風にうっとりしていると、常連のジャージさんがやってきました。
「みずっちゃん、何かお勧めある?」
ジャージさんはなぜか、みずきの「き」を発音しません。それでも瑞月さんはにこにこと「そうですね……」と考えます。
「そうそう、昨日隕石すごかったよね! 見た?」
…………。
「見ましたよ!」
ちょっと不機嫌な声で差し出したのは、すてきな「おっさん」の出てくるお話でした。
☆「満月の夜、おっさんはあたしに会いに来る」【ヒューマンドラマ】
https://ncode.syosetu.com/n4723ik
作:水泡歌 様
なんだか不思議な関係なのです。でもなんだかとても良いのです。
約束するでもなく、決めたわけでもなくそのほろ酔いのおっさんは、満月の夜にビールを持って現れます。
おっさんは、帰り道に彼女がベランダにいなかったら、そのまま帰ると言っていますが、いつもちゃんとビールは二缶。彼女もそろそろ来るかな?の時間にはちゃんとベランダで外を眺めて。
どちらかが止めれば終わってしまう、そんなふたり。春霞のような、月の光の魔法のような。
まるで夢を見ているかのような、そんなほろ酔い夢気分な、そんなふたりに世間の疲れを癒してもらえる、素敵なお話でした。
☆「梅太郎と人魚」【その他】
https://ncode.syosetu.com/n6595dn
作:keikatoさま
人魚を釣り上げてしまったお話なのです。612文字で。
もうね……。人間ってね(笑)
どうしておっさん?と思われましたら、ちょこっと足を運んでみてください。
色々笑ってしまいます。
☆「崖から落ちた家族の手を掴む 片手に配偶者 片手に子供 両方は引き上げられない どちらを助ける?」【純文学】
https://ncode.syosetu.com/n7801ij
作:Q輔さま
このお話、おっさんと言っては申し訳ないのですが、お父さんが出てきます。
本当に究極の選択ですよね。そして、崖じゃなくても、一度は尋ねられたことありません? 悩みますよね……。でも私はやっぱり子どもかなぁ……。子どもを見殺しにしてしまったら、きっとその後、旦那さんとも離婚しそうな気がしますし。でも、このお父さんの理屈は奥が深い気がしました。ある意味処世術だし、ある意味誰も傷つけないような……そして、父としては確かにと思ってしまうような……。
皆さんはどう思います? そして、どう答えます?
☆「自称《死神》のおっさん」【ホラー】【怖い度:2・5】
https://ncode.syosetu.com/n9731gi/
作:平民のひろろさん さま
確実にホラーかと思います。怖がらせようとしているかと言えば、そうではないと思います。怖い人は怖いかも。でも読み終わるととてもしんみり悲しくなるんですよね。なんだろう、ハッピーエンドなんですけど……。
駅の構内にいる自称死神のおっさんと、そのおっさんに食べものを持ってくる優しい青年サラリーマンのお話です。
その死神のおっさんは青年の持ってくる食べものをとっても美味しそうに食べます。サンドイッチにウナギ弁当、お酒におつまみ。いつしか、青年はそのおっさんのことを友達として思うようになり……。
おっさんの「もう来るなよ」の言葉がとても切なく響きます。
ジャージさんも素敵なおっさんになりますように……星に願っておきましょう。