恋愛特集Ⅲ♡(異世界恋愛編)
随分と過ごしやすくなってきて読書の秋にはちょうど良い、そんな秋空が広がっています。
瑞月さんは今日もお店の前を掃除して、本にハタキをかけて、ふと玄関に視線を向けると、お店の前に少し寂しそうにしている女の人を見つけてしまいました。
商店街にあるお豆腐屋さんの若女将です。
「どうされました?」
実は、瑞月さんこの女将さんが寂しそうにしている理由を知っているのです。
「また、怒っちゃったの……」
はい、夫婦げんかですね。痴話げんかともいいます。
「そうなのですね……とりあえず、これでも読んで気持ちを落ち着けてみてくださいな」
瑞月さんが彼女に渡したものは、異世界の恋愛小説。現実逃避にはちょうど良いかもしれません。
♡~♡~♡~♡
♡『私にベタ惚れだった婚約者が結婚式前日に記憶喪失になって「君を愛することはできない」と言い出しました。……本当にいいの?』
作: 結生まひろ さま
https://ncode.syosetu.com/n5173jd/
記憶喪失の彼、とても大切な人がいたということだけ覚えていて、目の前の彼女のことはまったく覚えていないんです。彼女はとても複雑でしょうね。彼の愛は本物なのに、その愛が幻想の中の彼女になってしまったのですから。
だけど、そんな彼女も悲しんでばかりではないのです。婚約者の彼を見守りながら、彼の記憶が戻るように、願います。
彼が記憶喪失になってしまった理由の花に向かって。
とってもかわいいお話でした。もちろん、ハッピーエンドです。
♡『【連載版】抜け殻を愛してしまった』
作:木山花名美さま
https://ncode.syosetu.com/n8113jn/
皆さま、恋は盲目と言いますよね。
このお話に出てくるリエタは男性顔負けのやり手の商人。もっと仕事がしたいと、恋になんて興味がありませんでした。だけど、初めて恋をするのです。彼女の目の前に現れたのはお見合い相手のイヴェルノ。とても綺麗な顔立ちで、まるで絵画の中から出てきた理想の王子様でした。そのガラス玉のように澄んだ瞳に見つめられるだけで、胸が高鳴ります。
そんな彼女の初恋。そして、結婚・別れまでが描かれている物語。
短編では明かされなかった幼馴染みのハリーフの献身が、もうね……せつないやら愛おしいやらで。
あ、ハリーフって、葉っぱって意味?と思っていたのですが、どうなのでしょう?
さて、どうしてそんな風に私が思ったのか知りたい方は、もちろん作品クリックで( *´艸`)
(ハリーフはアラビア語で『秋』を意味する言葉からだそうです)
♡『十二時の鐘が鳴ったあと』《ネトコン12一次通過作品》
作者: こまの柚里さま
https://ncode.syosetu.com/n4324ik/
ヒロインの邪魔をする悪役令嬢。
やきもちが行き過ぎて、全部裏目に出てしまう。
あの子が悪いのよ。みんなの前で恥を掻けば良いのよ。
だって、大好きな私の彼を奪っていっちゃうから。私が彼の隣にいるべきなのに。
こんなに頑張ってきた私を捨てて、どうしてあの子を選ぶのよ。
で、思いません?
彼女を悪役令嬢にしちゃったのは誰かって。
だけど、本当に運命の人ならば、彼女を悪役令嬢になんてしないものなのです。
彼女の良いところをちゃんと知ってくれているから、離れたりなんてしないのです。
限界になった彼女の話にも耳を傾けてくれるものなのです。
このお話はシンデレラのお話をモチーフにしたお話。本家シンデレラでは描かれなかった王子様の婚約者第一候補ご令嬢のお話です。
魔女が与えた魔法はきっかけという魔法。シンデレラは栄光へと変え、彼女は何に変えるのでしょう?
魔法の後にガラスの靴はもういりません。(レビュー文より)
♡~♡~♡~♡
「瑞月さん、ありがとう。水が冷たいことくらい認めてあげなくちゃね……記憶喪失になられても、苦しくなられても、嫌われちゃってもこまるもの」
なんとなく、よく分からない理由が並べられていますが、どうも彼女は彼女なりに納得したようです。
「だけど、瑞月さん、お豆腐は冷水なのよ。氷水でも良いくらいなんだから」
……あぁ、確かに水道水も少し冷たくなってきているから……。旦那さんは寒がりだったはず……。
とりあえず、首を傾げながら微笑んで彼女を見送りました。
「解決したみたいでよかったです」
『秋の空』と『乙女心』だけど、乙女心の方が芯があるようでした。
広告を越えた先には作者たちが大切にしている物語の数々を並べた本棚バナーがあります。
バナークリックで、素敵な物語に出会えるはずです。
第12回ネット小説大賞一次通過作品も含まれています。