第25話 昔からの憧れ ~後編~
「サインがほしくなって直接家族と一緒に神戸ドリームベイスターズの本拠地の神戸スタジアムまで行ってみたんだ。そしたら守投手がいたので声をかけてみたら警備員の人に関係者以外立ち入り禁止って言われた。だけど守投手は来てくれて私のボールにサインしてくれてすごく嬉しくて。それから私は女の子だけどたとえ1回でも良いから一緒に戦ってみたいなって思ってそれから頑張ってなんとかドラフトの日(プロ野球選手になれるかどうかを決める会議のことである)を迎えたわけ」
「1巡目で神戸ドリームベイスターズと東京ランナーズと北海道ハイパーズの3球団から指名を受けて私は強く祈ったんだけど当たりくじを引いたのは東京ランナーズで確かに私は当時女子初のプロ野球選手誕生ってすごく騒がれたて嬉しかったんだけどその時の私はそれ以上に一緒にしたい気持ちが強くて…それから1年後望月勝投手がドリームベイスターズに前代未聞の0円契約ってテレビの速報で見てビックリして…」
「ちょっといいですか?お父さんが女の子にサインをしてあげたって田村投手だったんだって知ってお父さんにこの事話したらすごく喜ぶだろうなって思いまして…」
「まだ話さないでください!!」
「なぜですか?僕もすごく嬉しいですし…」
「話せる顔が今の私にはないよ!だって入ってから思ったんだけどあのとき断って待っていれば1年いや…2年でも待っていれば良かったから…」
「バカか!?あの時、君は入団して良かったんです。確かに僕のお父さんと同じ球団では結果的に違ったけどその分悲しい分移籍の時にこっちに来たらいいじゃないですか!!FA(フリーエージェント※しつまりは選手が基本的に自由に移籍をすることが出来る権利である)もいつかもらえますから…」
「でもその時に勝くんのお父さんが引退していたらどうするのよ…」
「まだ大丈夫だよ!今日の試合でもお父さん4回無失点の好投だったし!!」
「分からないじゃん!選手はいつケガとか特にベテランの選手だったら辞めるかも知れないじゃないか。」
「まぁ…確かにそうですね。偉そうに言ってしまいすいません。」
「いや…私こそ自分の欲望ばっかりで…そうだよね。プロ野球選手になれただけでも感謝しないといけないのにね…」
「僕のお父さんはあのときサインしたのが田村投手だったって話しても嫌な感情は持たないし必ず喜んでくれますよ!」
「そうかな…そう言ってくれてありがとうございます!! それに私は女だけど守投手みたいな選手になりたいし…」
「だったら僕には出来ないけど一つ道はありますよ!」
「なんですか?」
「投げ合いだよ!まだ君のチームと僕らのチームはこれからも戦う機会はたくさんあるよね!?」
「そうすると僕のお父さんも投げ合いが出来て喜んでくれると思うし僕には出来ない夢の試合が実現するよ!」
「でも憧れている投手と投げ合うって…そんなこと…」
「確かに不安もあってきついなも知れないけど野球をこれ以上楽しめる試合はないと思うよ!」
「そうだね…確かに投げ合えることは嬉しいよね!ありがとうございます!!」
「いえいえ!ぜんぜん良いですよ!」
「悩み相談ばかりしてすいませんでした。」
「いえいえ!謝らないでください。こちらこそ今日の試合応援してくださってありがとうございます!!」
「いえいえ♪ではそろそろ帰りますね!」
「分かりました!今日は本当にありがとうございました♪ 」
「次に会うときはまたライバルかも知れないけどよろしくです!」
「こちらこそよろしくです!」
こうして僕は、貴重なことを知った。




