第1話 来年に向けて ~前編~
「いよいよ!!今年のプロ野球も最終戦になりました!!神戸ドリームベイスターズはシーズン順位は最下位になってしまいましたが8月中旬から監督が西村監督に代わってから26試合15勝9敗とチームは良くなり来年は期待が出来そうです。さあ~9回裏2アウトピッチャーはベテランの望月投手です!」
テレビを見ていた僕は、一言つぶやいた。「あぁ…僕も試合に出たかったなぁ…まだシーズン終わっていないのに」
するとお母さんは、僕にこう言ってくれた。
「少しは体の事を考えなさい。西村監督と原松さんが病院に一緒に行ってくれた時に言ってたでしょ!?それ以上今投げたら野球が出来なくなるよって!」
「確かにそうだけど…せっかくプロ野球になれたのになぁ」
(ピンポーン!!)
「どうしたんだろう!?こんな夜に…お父さんは今試合に登板しているから違うし」と思いながら僕は、玄関のドアで聞いてみた。
「はい!望月ですが」
「私、神戸ドリームベイスターズのコーチ兼マネージャーの原松です!」
そして僕は、ドアを開けた。
「唯ちゃん!どうしたの?」
「実は西村監督に頼まれて来たの。望月くんが落ち込んでいたりしていないか心配で今日見に行ってあげられるのは私しかいないからって言われて来たんだ!」
「そうだったんだ!わざわざ来てくれてありがとう!」
「ぜんぜんいいよ!私もすごく心配だったからね」
するとお母さんがこう言った。
「さっきから勝が野球中継見ながら早くみんなと一緒に試合に出たいなぁ~ばっかり言っていて困ってたところだよ!わざわざ来てくれて原松さんありがとうございます!」
「いえいえ!こちらこそいきなり連絡もなしに申し訳ないです」
「ゆっくりしていってくださいね!」
「お母様ありがとうございます!」
「3週間前に私たちと病院に行ったばかりじゃないか!確かに早く試合に出たい気持ちは分かるけど肩をさらに痛めたら野球が出来なくなるよってお医者さんも言っていたでしょ?」
「確かにそうだけど…だけど完全に良くなるまで安静と定期的の治療が4ヵ月程度でリハビリが2ヵ月の計算で約6ヵ月くらいって言っていたけど半年だよ!半年って来年の3月って開幕に間に合うか分からないし」
「気持ちは分かるけど手術にならなくて済んだんだから良かったと思わないといけないと思うよ。一緒に頑張ろう!」
「そうだね!!唯ちゃんの言うように手術にならなくて済んだんだからまだ幸いだと思わないとね!いつもありがとう。頑張るよ!だけど退屈するなぁ…練習も出来ないし」
実況:「ストライク!!バッターアウト!試合終了!神戸ドリームベイスターズ、リーグ最終戦望月投手の完封勝利で最終戦勝利でシーズンを締めくくりました!」
「すごいな!!やっぱり!今年7回目の完封勝利だ!」
「そうだね!さすが望月くんのお父さんだね。前回が18勝目って言っていたから19勝目だね」
実況:「ミスター望月と言っても過言ではありません!!奪三振数こそは103と減ったものの25登板19勝3敗で防御率1,21と6年連続の防御率1点台プラス5年連続最多勝でシーズンを終えました!!このあとヒーローインタビューがあります!しばらくお待ちください」
「僕もいよいよ来年はお父さんと一緒にマウンドに上がれるんだな」
「そうだね!私も選手になりたいなぁ」
「理由は今シーズンいっぱいは二軍で調整をしっかりして来シーズンに向けて頑張りたいからって狩野捕手も青山選手も言ってたよ!」
「そうなんだ! 確かに調整は大事らしいからなぁ」
「よかったら明日私と一緒にお出かけしない?気分転換に!」
「でも唯ちゃん!!お仕事忙しいんじゃないのかな?」
「私は大丈夫だよ! 秋季キャンプまでは私のお仕事は特にないからね!」
「そうなんだ!!それだったら唯ちゃん1年間忙しかったと思うから休んだ方がいいよ!」
「そう言ってくれてありがとう!でも私は勝くんの力になりたくて」




