第2話 「前代未聞の0円契約 ~後編~」
「申し遅れました。俺は、西村 哲といいます。神戸ドリームベイスターズの二軍監督をしてます」
「そうなんですか! 知らなかったのでびっくりしました! 」
「まぁ。俺は、二軍監督ですからね。望月さん、では早速しますね。守備は投手ですか? 」
「はい!基本的には、投手ですね」
「では、こちらで投球テストをするからこちらにどうぞ」
「はい!分かりました」
「まずは、ストレートから投げてみてください!スピードを測定しますので」
それから僕は、肩慣らしをしてからマウンドに立った。
「では、行きます」
それから僕は、ボールを投げていく。
(シュッ!)
同じくテストを受けに来ていた打者は、何とか打つがファウルとなった。
監督は、厳しくこう松浦野手に言った。
「何してる!139㌔だぞ!なぜそんな球が打てないんだ」
「違うんです!早く感じるんですよ。監督! 」
不思議そうな表情をしながら西村監督は、僕にこう言う。
「望月!さっきのボールをもう一度投げてみろ! 」
「分かりました! 」
僕は、さっきと同じボールを投げていく。
(シュッ!)
打者は、空振りしたと同時に西村監督は驚いた表情をする。
「こ、これは、ジャイロボールだ!確かにスピードは140㌔でまだまだスピード的にはプロではないが魔球が投げられる以上このチームの新戦力候補から外せないかも知れないな」
ゼロで良いなら俺がプロ野球協会の社長と話をつけておくから!」
「ありがとうございます!頑張ります」
すると西村監督は、僕に確認をしてきた。
「オーナーは許可したけど本当に年俸0円だよ!いいか? 」
「はい!育成契約できるなら僕は、構いません」
「では、これが契約書だ!これに名前と住所を書いたら契約できる」
「分かりました」
こうして僕は、育成契約とはいえ前代未聞の「0円契約」をしたのである。