第51話 最後の戦い ~後編part1~
何しろファンからは「鉄球ボーラー」と言うあだ名もついている。
ちなみに解説すると鉄のように打球がなかなか飛ばないところからついたあだ名である。)
そして5分前になり西村監督はドリームベイスターズの先発に原松豪投手を起用することを決意した。
場内は異常な雰囲気に包まれ始めている。 ランナーズファンからは「ランナーズ!頼んだぞ!」 、「あと1勝!」コールが試合前に鳴り響いている。
もちろんドリームベイスターズファンも懸命な声援をしているが声が届きにくい状態なのだ。
実況:「プロ野球ファンの皆さんこんばんは!いよいよクライマックスシリーズ・ファイナルステージも第6戦までもつれてまいりました。泣いても笑っても今日で全てが決まります!勝つか引き分けの場合はリーグ順位の流れでランナーズがクライマックスシリーズ優勝になります。しかしランナーズが負けてドリームベイスターズが勝ちますとドリームベイスターズがクライマックスシリーズ優勝になります。 果たしてどんな試合になるのでしょうか?まもなくプレイボールです!」
そしてクライマックスシリーズ・ファイナルステージ最終戦が始まった!
(プレイボール!)
僕も病院のテレビで観戦していたのだがブラックリー投手が初球から160㌔を連発するなどでドリームベイスターズ打線は手も足も出ないまま三者連続三振で早くも一回の表が終わった。
ブラックリーは全球ストレートの160㌔前後を投げまだジャイロボールは投げていない。
僕もこの豪速球には驚いてしまい言葉が出なかった。
その後試合は、先発の原松投手もピンチを抑え7回表まで両チーム無得点のまま裏のランナーズの攻撃に入っていく。
ベンチに座りスコアボートを唯は見てこうつぶやいた。
「なかなかブラックリーからバットにボールを当てることすら私、出来ていないなぁ… しかも両チーム無得点だけどランナーズはヒット7本に対し私たちはまだ1本もヒットが打てていないんだよな。やっぱり鉄球って言われているだけあるなぁ。」
そして原松豪投手は7回もマウンドに上がるがここまで99球投げており5回からフォアボールが出やすくなっているのだ。
ここで3番に代打が送られベテランの住吉選手が登場してくる。
(ランナーズ選手交代のお知らせです。 バッター代わりまして住吉。背番号60)
捕手の狩野はこう思った。
「ここで今季代打で打率6割12本塁打を打っている、住吉をランナーズは起用してきたか。ギリギリのところでも打球を強く飛ばしてくる打者だからね。とりあえずストレートから攻めていこう。」
初球、際どいところにストレートを豪は投げると打者は、快音を響かせ強くものすごい勢いで打球を飛ばしてくる。
実況の人もその打球を見守った。
「住吉の打球は、ものすごい勢いでスタンドに飛んでいきます!これは飛距離は十分です。入りました!ホームランです。ランナーズに大きな大きな貴重な一点が7回に入ります!」
豪投手は、すごく悔しそうな表情を露にした。
そしてランナーズの住吉は本塁に戻ってきて貴重な1点の先制点を挙げた。
西村監督はブルペン(投球練習場)に山本投手を準備を至急させ投手交代をするかしないかを考える。
「7回出しなぁ…これ以上点をとられてしまうとウチのチームに勝ち目はますますなくなっていくし…だけど天候も良くないから早めに点を返したいし…どうしよう。」
すると急に崎本ヘッドコーチが慌てて西村監督のところに走って来た。
「西村監督!」
「どうしたんですか!?崎本さん。何か事件でも起きたのですか?」
「はい!違った意味で事件がおきました!」
「はい!違った意味で事件がおきました!」
「一体、なんですか?」
「今、勝がこの球場に来ているんです。」
「そんなバカな!勝は入院して治療を受けているはずだ!」
「嘘じゃありませんよ!本当です!」
すると僕がついにベンチに到着した。
「嘘じゃありませんよ!西村監督!」
「勝!なぜ来たんだ!入院中なんだからゆっくり病院で寝ていてください!」
「僕も最初はテレビでおとなしく見ていました。ですがランナーズの先発は、ブラックリー投手でウチの打線はノーヒットだったので気になって我慢できなくなったので来てしまいました。」
僕は、にっこり笑いながら言った。
「ですが登板は許可できませんよ!今、自分がどれだけ危ない状態なのか分かってるか!」
「分かってます!確かにまだ心臓の状態は良好とは言えないと思いますし心臓が悪くなると自分がどうなるのかも理解しています。 勝手に病院から抜け出してきたことは皆様に謝ります。ですが投げさせてください!僕は、このドリームベイスターズを守り抜きたいんです!恩返しをしたいんです!だから最初で最後のお願いです!」