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16 扉
部屋を出ると、うす暗い通路。
出てきた扉と全く同じ扉が、目に見える範囲で、ズラッと。
右を見ても左を見ても扉だらけ。
人の気配は……無さげ。
「気配を探っても無駄よ。さすがのあなたも彼の気配を感知するのは、たとえ目の前にいても無理ね」
マジすか。
「だから『特別』なの」
カレシ自慢ヤメレ。
とりあえず、出てきた扉に槍で傷をつける。
私が扉の前で槍を構えて、おぶさったスズナが扉を開ける、
を、かれこれ何回繰り返したのやら。
「扉、何個開けたか、覚えてる?」
「とっくに忘れたわよ」
良いコンビですね。
次の扉を開けたら最初の扉まで戻ろうぜ、って言いかけた時、
「終点かしら」
通路の行き止まり、遠くに見えるのは大きな扉。
確かに終点ですね。




