15 スズナ
成功、かな。
「何、今の殺気」
隣には、スズナがへたり込んでる。
「今の私に出来る『特別』なことって、あれくらいだから」
「死ぬかと思ったわ」
「チビった?」
「……見たいの?」
「そんなのカレシに見せろよ、えろクノイチ」
今いる場所。
真っ黒で小さな部屋、天井だけ薄ぼんやりと明るい。
大人がふたり寝っ転がれるくらいの狭さで、なんか、落ち着く。
四方の壁に見える変化は扉がひとつあるだけ、出ようとすると、
「置いてかないでよっ」
スズナはへたり込んだままって、
「もしかして、腰が抜けちゃった?」
「あんな殺気を近くで浴びたら、子供だったら死んじゃうわよ」
マジすか。
この場合、いつも近くで浴びていてなんともないマクラがスゴいのか、それとも『女神』の力がスゴいのか。
っていうか、さりげない大人自慢ヤメレ。
「早くおぶってよ」
マジすか。
どれ、えろクノイチは重くありませんようにって、
うひゃぅ、柔らけぇな、
あったかくやわらかくて、なんか何もかもどうでもよくなっちゃうくらい気持ちよいですよ。
なにこれすごい。
「なんか子供におぶさっているみたい」
「……置いてくぞ」
「早く行きましょ」
やっぱりコイツ、宿敵でいいや。




