14 和解
遺跡の中へと侵入、終始無言のふたり。
通路の最奥の祭壇に到着、
周囲には、特に目を引くものは、無し。
「何も無い、な」
「ふたりで来ても駄目なのかしら」
「あんたのカレシはひとりで調査してたんだろ」
「彼は特別だから、ってカレシじゃ無いわよっ」
「なんだよそれ、カレシじゃ無いけど特別って、どんな関係なんだよっ」
「……命の恩人、かな」
「……ずるいよ、いきなり重たすぎるだろ」
自身の半生を、思い出しながらのように静かに語るスズナ。
「悪かったよ、私がやり過ぎたせいだよな」
「違うわ、今は感謝してるの」
「?」
「あなたと出会って彼に助けてもらえなかったら、私は今、ここにはいない」
「……」
「どうしたの」
「特別な彼に会いたくてたまらない恋する乙女を、会わせる方法が思いつかなくて悔しい」
「だから特別ってそういう意味じゃないのっ」
「?」
「彼は体質が普通じゃないの」
「体質?」
「見た目は全く普通の人なんだけど、なんていうのか『特別』なの」
ふむ、ここで消えたのが転送か転移かは知らんけど、なんか『特別』だったらどうにかなっちゃうかも、と。
手に持っていた絶対金属の長槍を構える。
「どうするの?」
「ちょっと、集中させて」
私が今出来る特別なこと、
今までの修練の全てを、穂先へと集中させて、
穂先を、祭壇に、触れさせる。
祭壇が、黒く、光った。




