プロローグ
りれむです。名前覚えてね。
今は6時間目。
授業、早く終わらないかな。
カッカッと先生が黒板に文字を書く。
幸い、俺は窓際の席だから、外を眺めれる。
体育でサッカーをしている女子が、声を荒らげながら走り回っている。
なんて、呑気に頬杖をつきながら外を眺めていたら、先生が僕の顔を覗いてた。
「おいおい、好きな子でもいたのか?」
僕がかっと赤面したら教室の皆が笑った。
くそう、お前の授業がつまらないんだよ。
先生が目の前にいる状態で授業終了の鐘がなった。
「はーいでは、授業を終わります、宿題は──」
俺はぐーっと体を伸ばして、眠い体を無理やりに起こした。
俺が帰りの支度をしだした時──
「なぁ海亜、好きな子できたって本当?」
俺の中に無頓着な殺意が湧いた。
───死ねよ。
「なわけ」
「えー?本当?本当に本当?」
こいつは俺の友達の森花木。
「本当の本当の本当の本当の本──」
「なーんだ、つまんねー。ちな今日遊べる?」
「ごめん、今日は無理」
「なわけ」
「俺の口癖真似すんな」
「どうせネッ友クンだろ?」
「まぁそうだけど」
なんだかんだでずっと仲良くしている友達である。ただ最近ずっと遊べてないから申し訳ないが。
「帰るねーまたねー」
「ほーいまた明日ー」
花木に別れを告げ、帰宅した。
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そう、俺、有山海亜にはネッ友がいる。
PCを開き、「アリカ」にログインする。
「よっし、ミナトさんやってる!」
彼の名は「ミナト」。戦歴は白星で埋め尽くされ、数多くの☆5アイテム、かっこいい衣装を幾つも持っている、いわゆる「古参」のプレイヤーだった。
俺はミナトさんからパーティの招待が来ていることに気づく。俺は迷わずクリック。ミナトさんのパーティに参加した。
『アリカ、今日はどのクエストをやる?』
ミナトさんから「チャット」が来ていた。
『このクエストがクリア出来ないから一緒にやって欲しいかも〜』
高難易度のイベントクエストを選択した。
『いいけど、敵が強すぎる。アリカは後ろに下がって援護をしていてくれ』
『はい!分かりました!』
俺は魔法使いのキャラ、「赤ずきん」を選択する。魔法での遠距離攻撃もでき、味方を回復することが出来る。俺はよくこのキャラをミナトさんと行く時使っている。
方やミナトさんは、大剣使用のキャラ、「阿修羅」を選択。炎属性の近距離攻撃でミナトさんの愛用キャラである。ミナトさんは以前、『近距離の火力が高いヤツがロマンだろ』と言っていた。ちなみに俺はそう思わない。
そして、ミナトさんとクエストへ出発する。
敵はナルガ○ルガ───に似ている獣のモンスターだ。ミナトさんは敵の範囲攻撃を全てかわし、着々とダメージを与えていた。
俺はというと、ナ○ガクルガの子分のいわゆる雑魚敵を処理していた。いくら雑魚敵でも俺にとってはレベルが高いので、うじゃうじゃいるから手間がかかった。
そうしてようやくミナトさんはナルガク○ガを討った。
『やった!ミナトさん、ありがとうございます!』
『これぐらい大したことないさ』
あ〜〜〜^^ ミナトさんかっけぇ^
クエストから帰ってきたあと、ミナトさんの部屋で過ごし、暫くチャットで会話をしていた。
『あんな強い敵を倒しちゃうなんて、やっぱりミナトさんは格好良いです!』
『経験の差があるだけだ。アリカもすぐ、この程度なら倒せるようになるさ』
こんな会話を続けている時、ふと思った。
ミナトさんと通話してみたいなー。
きっと俺よりずっとイケメンでイケボなんだろうな。その上ゲームが上手いなんて…。恐らくモテモテ。
俺の中でのミナトさんの人物像が描かれる。
そして、ちら、と画面を覗くと───
「マジか…」
そこに打たれていた文字は、
『なぁアリカ、通話しないか?』
俺は天井を見上げた。
なんてったってワクワクが止まらない!
知らない人と通話?そんでもって憧れの人?
ヤバいヤバい、心臓の高鳴りが。
『はい、喜んで!』
『じゃあこのボイスチャンネルに入ってくれ』
『ラジャー』
そうして、ミナトさんがいる、ボイスチャンネルに入った。
『…』
「…」
その通話は無言から始まった。
ミナトさんの声は聞きたいけど、自分も話すとなるとドキドキするなー。
そうして勇気を振り絞って、言った。
「もしもし!ミナトさんですか?」
『もしもし、アリカか?』
は?
完全にタイミングが被った。
ってか、そんなことより─────
女の人の声が聞こえたんだが。
えっ、えっ
「女ぁぁぁぁああああああ!!!???」
『男ぉぉぉぉおおおおおお!!!???』
これはネット上で始まる、ネット陽キャのミナトとの、恋愛物語である。




