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優雅に踊ってくださいまし  作者: きつね
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幼女の夢は踊り出したい

あるところに、ひとりのげんきなおんなのこがいました。


おんなのこはいつも空をみあげて、雲はどうやってういてるのかしら?とかんがえていました。


またべつのひ、おんなのこは海をみて、お舟はどうやってういてるのかしら?とかんがえていました。


またまたべつのひ、おんなのこは山をみて、どうしてときどき色がかわるのかしらとかんがえていました。


あるひ、おんなのこには弟ができました。いつも泣いてる弟をみて、どうしていつも泣いてばっかりなのかしら?とおもいました。


おんなのこはいつもいろんなことがふしぎでした。


そんなふうにまいにちをすごしていたら旅人がむらにやってきました。


おんなのこは旅人にたずねました。


「どうして旅をしているの?お家はないの?」


旅人はとつぜん質問してきたおんなのこにおどろきながらもこう答えました。


「世界にはぼくらの知らないことがいっぱいあるんだ。ぼくはそれを知りたいから旅をしているんだ。旅をしていろんな人と出逢って、お話をいっぱいすると知りたかったことを教えてもらえることがあるんだ。」


「世界にはどんなひとがいるの?」


「世界には肌の色や言葉が違う人がいるんだ。王様や王子様、お姫様だっているし、貴族もいる。先生もいれば生徒もいる。きみのお父さんのように畑で食べ物を作る人もいれば、牛や羊を育てて乳や肉を売る人もいる。学者もいるし、商人もいるんだ。良い人ばかりでなく、悪い人だっている。

とにかくいろんな人がいろんな事をして精一杯生きているからこの世の中は回っているんだよ。

ぼくはそういういろんな人たちと話をして、いろんな事を知りたいんだ。だから旅をしている。」


おんなのこはその後も旅人さんにいろんなことを聞きました。おんなのこはその代わりに、村でのくらしを聞かれるままに話しました。



おんなのこはいつもいつもふしぎをいっぱいかかえていました。おとうさんにきいても、おかあさんにきいても、そんちょうさんにきいても、ちょっぴりはおしえてくれるけど、だれもおんなのこのふしぎのぜんぶにはこたえてくれませんでした。


おんなのこのふしぎにこたえてくれた旅人さんは、おんなのこの知りたいことをちょうどよく教えてくれたのです。おんなのこは旅人さんにあこがれました。


「わたしも大きくなったら旅にでる!」


おんなのこのそんな言葉をきいた両親は大笑い。


「おまえは女だからね。旅は無理だよ。

私たちが決めた相手と結婚して子どもを産むのが女にとっては一番の幸せだ。」


おんなのこは悲しくなりました。女の子だから無理だと決められたことを。自由が許されないことがあることを。夢を笑われたのを。ふしぎの理由をもう知ることができないかもしれないことを。

それでもおんなのこは旅に恋こがれました。


それから何年か経った月明かりの晩、女の子は家を出ることをきめました。宝物をいっぱいかばんにつめこんで、準備しました。


つぎの日の朝、まだみんなが寝ている時間にこっそり家をでて村の入り口にむかいます。するとみなれた人をみつけました。


「いくのか?」


大好きな幼なじみのお兄さんがそこに居ました。


「うん。色々みたら帰ってくるよ!帰ってこれたら…ううん。何でもない!」


「おまえだけだと心配だから俺も一緒に行ってやる。」


女の子はとってもおどろきましたが、幼なじみと一緒にいられることがとっても嬉しかったので、一緒に行くことにしました。


そうしてふたりで仲良く小さな村から旅立ちました。


女の子と男の子はあちこちへ行きました。ときには事件にまきこまれそうになりましたが、一生懸命逃げたり、助けてくれた人がいたり、力を合わせて解決したりと、なんとか無事に過ごしました。

そうしていろんなひとに出逢って行けば、旅人さんが言った通り、女の子が持っていたいろんな不思議の理由が分かりました。


知りたかったことを知ると、また別のふしぎがでてきます。女の子と男の子はいつまでも一緒にふしぎのこたえを探し続けました。


いつしか女の子は国一番の物知りさんになり、男の子は誰かを守れる強さを持つ国一番の騎士になりました。


ふたりは村にたまに帰っては村人にいろんな話をし、身を守る術をおしえました。

すると村は知識のおかげでどんどん豊かになり、安心して暮らせる街になりました。


男の子と女の子はまだまだ知りたいことを知るために旅を続けていましたが、いつしか互いを唯一無二と認めて結婚し、街一番の仲良し夫婦になり、子どもにも恵まれました。



子どもが産まれてからは、子どもを加えて旅をしました。

一緒に行く人数は増えたり、減ったり。

変わらないのはふたりの笑顔だけ。



二人の間に生まれた子どもたちは、不思議をいっぱい持つ子になるのか、それとも誰かを守ることができる強さを持っている子なのか。誰もが楽しみにしていました。


長い長い年月を過ごしたころ、ふたりの子どもの巣立ちがやってきました。


大きくなった子どもが言うには…ーー






『ねえねえ、テオ兄ちゃま!ティナ、この女の子みたいに旅をいっぱいしていろんな人に会ってみたいわ!』


『ティナがいなくなると寂しいから、僕も一緒に連れてってくれるかい?』


『もちろんよ!いっしょならきっと楽しいわ。』


『良かった。僕はティナが大好きだからずっと一緒にいられるのは嬉しいな。』


『わたしもテオ兄ちゃま大好きっ!約束よっ!

あのね…テオ兄ちゃまと結婚もできるかしら…?』


『もちろん!ずっと一緒に居ようね。』


『ええ!結婚するなら、テオ兄ちゃまと私はずっと…ーー』

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