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いつもようにルシアの待つ塔へとやって来たダレス。だが、分厚い雲に月明かりは閉ざされ、お互いの顔も確認出来ないほどの闇夜だった。
「先日はお花をありがとうございました。マルタに聞いたのですが、あの花は『ニーレンベルギア』というのだとか。花言葉は『心が和む』だそうです。」
「心が和む、か…」
花言葉には興味もないダレスだったが、あの花に運命的なものを感じずにはいられなかった。
(確かにこの娘と一緒にいるだけで心が和む。知らず知らずのうちに、俺はあの花に導かれていたのかもしれん。)
「あと…ニーレンベルギアにはもう1つ花言葉があるらしいのですが⋯」
「?」
「あ、やっぱり今のは忘れてください。たいした意味じゃないんです、本当に!」
ルシアは何を言い掛けたのだろう…ダレスが首を傾げた瞬間、一陣の風が吹き抜け、月がようやく姿を現した。
「ル、ルシア…!?」
ダレスが驚いたのは無理もないことだった。彼女の両目には大きな包帯が巻かれていたのだ。
「驚かせてしまって申し訳ありません。実は先日、腕の良いお医者さまに眼の治療をしていただいたのです。」
「治療だって…まさか…」
「はい。私の眼、見えるようになるんですって♪」
ダレスが一番恐れていたことが現実になろうとしていた。




