君の足
君シリーズの六作目です。
君ってさ、いつも足に毛布を掛けているよね。
ずっと床に寝そべったままで動かないよね。
ちゃんと毛布を掛けられていない点が気になるんだよね。
毛布が沈んでいる感じがするんだよね。
足が見えていない点も気になっているんだよね。
せめて足の指くらいは見せてほしいんだけどね。
僕は見えすぎているって? 確かに僕は見えすぎてすぐに中身が分かってしまうからね。まあ、中身だけで外側がないんだけどね。
それに体が硬いだって? それは仕方がないよ。僕の魅力であり、特徴なんだからね。まあ、体というよりは骨だけどね。
次のデートの時には毛布は掛けないでほしいな。どうしてかというと君の足を覚えていないからだよ。毛布を掛けている君ばかり見ているからね。
毛布がなければ君の足がどんなだったかすぐに分かるからね。
何を怒っているんだい? 愛しているのかだって? もちろん僕は君を心底愛しているよ。
足を覚えていないのにだって?
だから、君の足を思い出すために、次のデートの時は毛布を掛けないでほしいんだよね。
今からもう一度デートしようだって? うん、いいよ。
それじゃ、毛布は取ってくれるかい?
ああ、そんな足をしていたね。
すっかり忘れていたよ。
やっぱり君はそっちの方がステキだね。
ねぇ、僕の愛しいテケテケさん。
――ええ、私の愛するがしゃどくろさん。