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消えゆくデータと忘れゆく人  作者: 山出幸宏
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データの世界へ

〈PBR〉同窓会が始まった。犬塚は酒を飲み、気分良く喋っていた。同窓会が始まって、一時間が過ぎた。楽しい時間が過ぎるのは早い。と、そんな時、部屋の電気の灯りが消えた。犬塚は何かのサプライズだと思っていた。しかし、数分経っても灯りは付かない。そう多分停電だ。今日の夜は雨が降ると、天気予報で言っていたのを思い出した。辺りはスマートフォンの灯りだけが、ポツポツと光っていた。「まじかー、落ちたー」と聞こえた。数台のスマートフォンの電源が切れたのだった。残った灯りは、少ない。何か共通点が、あるのかと、犬塚はふと思った。次の瞬間目の前が真っ暗になった。


〈PBR〉犬塚は気が付いた。「ここはどこだ…」犬塚は言った。犬塚の持ち物はスマートフォンだけだった。犬塚はラインのアプリを開いた。三百人くらいいた友達の数は、三人になっていた。三人のアカウント名は、鮫島【さめじま】、鰐渕【わにふち】、上狼塚【かみおいのづか】だ。犬塚のスマートフォンに入っていたのは、同窓会に参加していた、この三人だけだった。共通点は、苗字に動物名が入っていることに、犬塚は気付いた。しかし、辺りに人はいない。知り合いかも?には、五人いたが、聞いたこともない名前ばかりだし、知らない人たちばかりだった。犬塚はグループラインを作成し、鮫島、鰐渕、上狼塚の三人を誘った。すぐに、三人はグループラインに参加した。「どこにいる?同窓会の途中だよな?」と犬塚はグループラインに送信した。上狼塚から返事が、グループラインに返ってきた。


〈PBR〉その頃、猫田も同窓会を楽しんでいた。しかし、突然真っ暗になった。「停電かな?」と猫田が言った。その瞬間、猫田の目の前が真っ暗になった。「ここは、どこなの…」と猫田が言った。猫田の持ち物はスマートフォンだけだった。猫田のスマートフォンにライン通知が届いた。ラインのアプリを開いたが、しかしその通知内容が見れない。ラインに残っていた友達は、亀田【かめだ】、熊田【くまだ】、狐塚【こづか】の三人だけだった。狐塚からグループラインに誘われていた。猫田はグループラインに参加した。知り合いかも?には、五人入っていた。


〈PBR〉その頃猪野は、遅行したものの同窓会に参加し、楽しんでいた。突然真っ暗になった。「誰だよ、電気消したの」と猪野が言い放った。しかし、返事が無い。その瞬間、猪野の目の前が真っ暗になった。「おい、ここは、どこだ…」と猪野が言った。猪野の持ち物はスマートフォンだけだった。猪野は誰かに連絡をと思い、スマートフォンのラインのアプリを開いた。だが、そこに残っていたのは、友達三人だけだった。残っていた三人とは鹿犱【かとり】、猿山【さるやま】、狸塚【たぬきづか】だった。狸塚からグループラインに誘われたので、猪野はグループラインに参加した。知り合いかも?には、五人入っていた。


〈PBR〉その頃、大鳥も同窓会を楽しんでいた。大鳥の参加していた同窓会の会場も、電気が消えた。大鳥は無言だった。しばらくすると、大鳥の目の前が真っ暗になった。大鳥は無言だった。ただ何が起きたか、わかっていた。大鳥の持ち物はスマートフォンだけだった。大鳥はラインアプリを無言で開いた。残っていたのは烏谷【からすたに】、鷹見【たかみ】、鷲塚【わしづか】、鶏内【かいち】、豚座【いのこざ】、牛塚【うしづか】の六人だけだった。大鳥は、鷲塚、牛塚二人にグループラインに誘われた。大鳥は二つのグループラインに参加した。知り合いかも?には、五人入っていた。


〈PBR〉その頃蛇川も、同窓会を楽しんでいた。蛇川に起きたことも同じだった。突然停電し、目の前が真っ暗になった。「おいおい、勘弁してくれよ」と蛇川が言った。一番楽しんでいたので、尚更だっただろう。蛇川は、スマートフォンでラインのアプリを開いた。「げ、データ消えてんじゃん」と蛇川は言って、スマートフォンをいじっていた。グループラインを作成したのだが、作成した直後、蛇川はグループラインに誘われた。仕方なく蛇川は参加した。グループにいたのは、武虎【たけとら】、海象【かいぞう】、蛙原【かえるはら】、貝塚【かいづか】の四人だけだった。

知り合いかも?には、五人入っていた。


〈PBR〉その頃蝶野は、龍澤【たつさわ】という人物と待ち合わせをしていた。まだ、龍澤は来ない。知り合いかも?には新しく五人追加されていた。


〈PBR〉「なんだよ、ここは、いったい」と犬塚と猫田と猪野と大鳥と蛇川は、叫んでいた。


〈PBR〉各々のラインに通知が届いた。「ここは、時間が止まった、データの世界である。今まで出会った人は、忘れてもらう。だがある共通点を持った人は記憶に残しておく。」と通知には記されていた。

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