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人はなぜネッシーを見るのか?

作者: 豪陽

ネッシー、イエティ、ビッグフット、

キャティ、オゴポゴ、モーゴウル、

河童、ツチノコ、イッシー、ヒバゴン、

オラン・ペンデク、ニューネッシー。


呪文を唱えているわけではない。

未確認動物、いわゆるUMAの名前である。

UMAとは、目撃されたという証言、時には写真や動画すら撮影されるが、その存在が確定されることのない謎の生物である。

時々面白おかしくマスコミで取り上げられ、続報もなく有耶無耶にされて、人々の間には曖昧な印象と噂だけが残る。

確たる証拠が極めて少ないにも関わらず、人々のロマンの対象となっているのがUMAであると言えよう。


小生は恥ずかしながらUMA特にネッシーの大ファンである。

子供の頃、プレシオサウルスに似たネッシーの絵をよくチラシの裏に落書きしたものである。

長じてネッシー関係の文献を読み漁り、ネッシー湖畔に設置されているウェブカメラの監視に多大な時間を費やしたものである。


ネッシーはネス湖周辺の道路が整備された1933年以降、多く目撃証言が寄せられるようになり、目撃写真も撮られるようになった。

1934年のウイルソンによる写真は、ハクチョウのようなシルエットであまりにも有名だが、60年後にインチキであることが明らかになった。

しかしそれ以外にも、1930年代から1960年代にかけて魅力的なネッシーの写真が撮られている。

1951年のスチュアートによる写真は3つのこぶが映っていることで有名であるし、湖畔のアーカート城とともに映っている1960年のマクナブの写真も名高い。

1960年には研究家ディンズデールにより動画が撮影されている。

1975年のボストン応用科学アカデミーによる水中写真も有名である。


一方で、ネス湖には誤認するような自然現象と既知の生物が多い。

ネス湖の地形条件では波が複合して、あたかも水面上にこぶが動いているように見えることがある。

流木が流れていくのを誤認した可能性もあるし、湖面を行きかうボート自体やその立てる波をネッシーのこぶと見間違えることもあろう。

また水鳥、カワウソ、鹿、海から遡上したと思われるアザラシもネス湖で目撃されている。

これらがネッシーとして誤認された可能性も大いにありそうである。

意図的な証言や写真のねつ造もあったことだろう。

現代の映像解析技術によると、証拠写真、動画についても誤認の疑いが濃くなっている。


ネス湖には地質的にネッシーの隠れるような洞穴もなく、大型動物の一族を養うだけの生物量は存在しないと言われている。

ネッシーが生物種としてネス湖で繁殖するのが難しいということだ。


1962年のケンブリッジおよびオックスフォード大学のチームによる聴音ソナーでの調査、1987年のオペレーション・ディープスキャンによるネス湖全域でのアクティブ・ソナーでの調査、いずれもネッシーの存在する兆候はなかった。

特に後者は24台のボートにソナーを載せてネス湖の併進させるという大規模なローラー作戦であった。

残念ながらネッシーの存在について否定的にならざるを得ない。


では、人はなぜネッシーを見るのだろう?

自然現象や既存の生物による複合的な誤認説を受け入れた上で、尚も問いたい。

なぜなら目撃者の証言には畏怖と奇妙なディーテールがあるからである。

これは小生の主観に属するが、何か本当に奇妙なものを目撃したのではないかという印象を受けるのである。


スコットランドの魔術師のせいだとか、異世界への入り口がネス湖にあるとか、愉快な説もある。

人間の無意識の願望が実体化したのだとか、人間は自分の見たいものを精細に見る能力があるのだとか、そういう説明もあるだろう。

ここまで来ると「小説をお書きなさい」と言われるような気がする。

本稿では次のような言い方に留めておこう。


人はなぜネッシーを見るのか?

人は夢を見るものであり、人は夢と同質のもので織りなされているから。



小説を書こうとして、つらつら書いていたら随筆になってしまいました。

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