"目醒め"と"望み"と"再会"
気がつくと、周りが火の海だった。
「はっ?」
いやまてまてちょっと待て。これは一体どういうことだ確か我はあの空間で消失したはずでもしかして生き延びてどっか別の世界に紛れ込んだのか?いやそれにしてもこの状況はおかしいだろなんなのだ火の海って!
などと高速で思考を巡らせ、ある音に気づいた。
それはカツーン、カツーンと、規則的で、かなり近くから聞こえた。
というか、自分が打たれてた。
(え?どゆことなのだ?)
すると、急に周りが赤ではなく普通の景色になった。と思ったのもつかの間、今度は水に入れられた。
ジュワッとかなり熱いものが急に冷やされた時に出る音が我の体からした。
それが繰り返されること数十回。
我は我を打っている(?)者の姿を確認することができた。
その者はなかなかに高齢な人間に"近い"形をしていた。
"近い"というのは、確信が持てなかったからだ。その者からは普通の人間のような生命の音は感じられたが、何かが決定的に違う、"違和感"があったのだ。
まあ人間であろうとなかろうと我には関係がないがな。
そして我は、自分の姿も見えた。
見えてしまった。
我は一振りの剣になっていた。
何が起きたのかわからず思考停止していると、その老人(?)がウットリと我を見つめて(ハッキリ言って気持ち悪いが…)言った。
「出来た。儂のこの生涯で最高の一振りが」
どうやら先程のは見間違いなどではなく我は剣になってしまっているらしい。
「おまえさんはこの儂、ヘパイストスの最高の一振りじゃ。おまえさんにふさわしいのは最高で最強の男、"あの者"しかおるまい。…名は…あやつにつけてもらえ。…そして」
どうやらこの刀鍛冶は死期に近いらしい。
まぁ、状況はいまだにわからんが我を作ってくれたのだ。多少の望みは叶えてやろう。
と、寛大な気持ちで聞いたのだが、
「そして、かの魔王を必ずや倒すのだ。…あの男と共に!」
は?
いやちょっと待て。
どういうことだ?どうもここは別世界などではないらしい。我の感覚で感じられる空気はまさに元の世界のものだったから。
ということは?この刀鍛冶が言っている魔王とは…
我の思考はここで遮られた。
何故なら次の瞬間、刀鍛冶が驚く行動をしたからだ。
「そのためには"力"が必要じゃな。」
そう言って、自分の胸に持っていた剣、つまり我を深く突き刺したのだ。
その瞬間、凄まじい力が我に注ぎ込まれた。
(これは、この者の魂のチカラ?)
そして、この世界で最高の剣が誕生した。
当然だ。この我が媒体となっているのだからな!
(そうだな、貴様の望み通り最強の男の最高の剣となってみせよう。)
我はそう心に決めた。
それから数日が過ぎた。
我は今、あの約束、なしにならないかなー、などと考えてしまった。何故なら
「そうか、お前が俺の剣か…」
今、やれの目の前に立っているこの男は
「まあ何はともあれ、ヨロシクな!相棒!」
あの勇者だった。
相棒ってなんだよ。
かなりマイペースになってしまっています。
スイマセン。
そして今回も短い…
次こそは、話を進めてみせる!