表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者: こここ
PR
8/27

朝の楓

言うなればこれはもどかしさだ。

心の隅に芽生えていた小さな苛立ちが今加速する。

脚が地面を蹴り体を浮き上がらせる。

着地した足裏でまた地面を蹴る。

空気をいくら吸い込んでも肺が不十分だと訴える。

腕を振るとナイロン製のジャケットが発てる音が少し耳障りだ。

安物のランニングシューズでも柔らかい土の上ならばそこそこ役に立つ。

早朝の草原に響く楓の走り込みはいつの間にかただがむしゃらに体躯を前進させているだけとなっていた。

ポケットに入れていた携帯端末機が時間を知らせていた。

徐々に速度を落とし立ち止まる。

草むらにしゃがみこんだがすぐに身を投げ出した。

燃え盛る全身に草の露の冷たさが心地好い。

まだ走りたい気持ちがあるが時間的にそうもいかない。

荒い呼吸を繰り返しながら見上げた空は薄い水色だった。

今日も晴天だろう。

楓は起き上がりため息をついた。

管理棟関係職員並びにその親族は境界探索の抽選から外されるらしい、そんな噂を耳にしたのはいつだっただろうか。

両親の任務期間を短期にしてもらえるのではないか。

その切実な願いが水晶病市民対応所への入所の動機になった。

しかし管理棟直属でもない地方の一職員にその恩恵は与えられなかった。

あやふやな噂に期待するべきではなかった。

落ち込みはしたが入所を志願した理由は他にもある。

独立帰還者の地位向上だ。

つまりは藤を取り巻く環境を少しでも良くしたい。

しかし先日のスズの言動で思い知らされた。

この半年の間で具体的に何ができただろうか。

このままあの場所で働き続けて自分は何ができるのだろうか。

歩きながら考えるがこれぞという妙案は浮かばなかった。

市外と市内を分ける柵の前に来た。

手を掛けると軋んだ音を発てながら開き楓を市内へと帰した。





閲覧数が0が長く続き(当たり前なのですが)少しでも読んでもらいたいと思って中途半端なところで更新してしまいました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ