第9話 時間って経つのはやいよね
今回は、最初から軽い戦闘が入ります
また、主人公のスキル上げ時間はダルいので
かなり省いてお送りしますw
スキル上げはいつか番外編にて書きます
かなり薄暗くなった夕暮れ時の森の奥・・
そんな森の奥深くの背の高い草に隠れ
一匹の薄汚れた狼が目の前の獲物を狙っていた・・
狼の目の前には毛並みのいい
何とも美味しそうな緑色のリスが
もきゅもきゅと果物を頬張っている
狼はこの数日間、何も食べていなかったため
目の前のリスを何としてでも食べようと
涎を垂らしながら身を屈めた
リスは狼に気付いていないらしく
何とも暢気に果物幸せそうに頬張っている。
狼は周りに邪魔をしそうな生き物が居ない事を確認すると
意識を目の前のリスに集中し・・・・
・・・獲物を狩るために一気に駆け出した・・
「きゅうっ!?」
目の前のリスは突然出てきた狼に驚いて
ポトリと手に持っていた果物を落とす・・・
狼は自分の空腹を満たすために
その鋭い爪をリスに向かって勢い良く
振り下ろした・・・・・・しかし
その鋭い爪がリスに届く寸前に
薄汚れた狼の体は大きく吹っ飛んだ
どざぁっ!!
大きな音を立てながら吹っ飛んだ狼は
慌てて何が起きたかを確認するために
体に響く鈍い痛みを無視して辺りを見回す・・・
するとそこには、黒い鱗を持つ生き物がいた
狼よりも遥かに大きいその生き物は
体勢を立て直した狼に休む間を与える事無く
猛烈な勢いで突っ込んでくる
狼が慌てて黒い生き物の突進を避けると
スドォォォンッ!!
今まで狼が居た場所にあった大きな木が
見事にへし折られて大破していた
『グルルルルゥゥ』
黒い生き物は狼が避けた事を
小賢しいとばかりに不満そうな声を上げると
狼に向かって翼を広げ飛び上がった。
しかし、それを見ていた
狼は自分と相手の圧倒的な実力の差を悟り
リスの事を諦めて逃走を始めた
命が一番大切であり、たかがリスなどという
小物の為に死ぬようなリスクは負えなかったのである
しかし、必死に森の中を駆ける狼だったが
突如、自身の上に大きな影が映る
それが何かを理解した途端に
狼は地面に勢いよく叩きつけられた
狼が顔を上げると、そこには黒い生き物が
鋭い牙を覗かせながら
その血のように赤い目で此方を睨んでいた
そしてその牙が近付き、首へと当たる・・
・・・・・狼の意識があったのはそこまでだった・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
狼を仕留めた黒い生き物・・竜である
ユーヤは大きく溜息を吐いた
・・・・うん、マジで吃驚した
ちょっと、俺が水を飲みに言ってる隙に
ハーブまた、襲われてるんだもんなー
実を言うとハーブを狙ったのは今までに
この狼だけでは無かった。
顔が3つが生えた熊モドキや
翼が6本もついている鷹モドキ
2本ならともかく5本もの尻尾が生えた山猫など
色々な動物モドキがハーブの事を狙ってくるのである
何これ!動物ホイホイかよっ!とツッコミを入れたのも
今では少々懐かしい、しかし
逆に狙われているハーブには悪いのだが
逆に俺としては狙って来てくれる方が都合がよいのだ
何故ならば・・・・・餌が自分から来てくれるのだ!
『グルッグルル~(狩りに行く手間もないし便利だよな~)』
仕留めた狼を上機嫌にハーブの所まで持っていくと
そんな思考がハーブにも伝わったのか
ボフッ!
モッフモフの尻尾で勢い良く頭を叩かれる
別に痛くも何ともなく逆に柔らかくて気持ちいいぐらいである
暫くボフボフと俺を尻尾で攻撃していたハーブだったが
攻撃に効き目がない事を悟り恨めしげに此方を見ながら
再び果物に手を伸ばし始めた。
ハーブ・・・太っても知らんぞ
俺は、そんなハーブを横目に
仕留めた狼をゆっくりと氷の吐息で狼を凍らせてゆく・・
実をいうと今までの流れでお分かりだろうが
この氷の吐息のスキルを手に入れてから
再び数日程、時間が経っている
その間、何してたのかと言えばスキルのLv上げである!
しかしこの世界では使えば使う程スキルのLvは上がる!だがっ
ただ、飛行スキル上げるためにジャンプと
超超低空飛行の繰り返しを延々と見て面白いだろうか?
それゆえ、スキル上げの事は今は置いておこう
そして、俺のこの数日の練習の末!ついに手に入れたのだ!
○ 飛翔Lv18
《1時間、空を自由に飛ぶ事が出来る》
・・・・・1時間などと制限付きではあるが
注目するのは空を自由に飛べるという所!
・・・そうっ!空を飛べるのである!!
*大事な事なので2度言います*
今、思えば地面から1メートルの雑魚スキルを
良く此処まで成長させたと自分でも自画自賛である
因みにこのスキルはどれ程高く飛べるかなどは
Lvによって変わるらしい
また、生活の面では
竜に生まれ変わったせいなのか成長が異常に早かった。
しかしコレは中々喜ばしい事である!
あの子竜状態からようやく俺は脱出したのだ!
もう大型動物にも立ち向かえるぜ!
あの兎に苦戦していた頃が懐かしい・・
・・・まぁ、未だにあの角付き兎モドキは
滅多に捕まえられないのだが・・・・
俺は、しみじみと思いながら狼を凍らせ終わると
満腹でコロコロと転がっているハーブをつれて
暫くの間、拠点にしている洞穴へと向かった。
どうやらハーブを狙った熊モドキの住処らしいが
今はもう、俺とハーブのご飯へと消えているため
俺達が変わりに占領しているのだ
俺は凍った狼を食料貯蔵庫に入れておく
案外、氷の吐息は便利でこうして凍らせれば
夏でも安心&腐らない!の冷蔵庫代わりになるのだ!
マジ便利だよね!
俺は洞穴の隅で毛繕いをしている
ハーブにチラリを視線を見やる
兎のように両手で顔をもしょもしょと毛繕いしている
姿は何ともいえない可愛さがある
しかし、ハーブは何ともいえない可愛さの反面
全くもって侮れない奴であるのだ
俺は自分のステータスを見てから大きく溜息を吐いた
○ 観察眼Lv23
俺は、この観察眼を覚えてから
ハーブのステータスの秘密を暴こうと
必死にLvを上げてきたのだ!・・・・しかし
『グガアァァァ~(何で見れないんだよぉ~)』
何度試してもハーブのステータスを覗く事が出来ないのだ
目の前ではコテン?と首を傾げて此方を見るハーブ
可愛いが同時に何だか憎たらしい・・・
しかし、コテンと首を傾げていたハーブだったが
その大きな耳がピクンッ!と大きく揺れる
『グゥ?グルゥ・・・(ん?どうし・・・)』
不思議に思い問いかけようとしたが
その理由はすぐに分かった、俺の探索スキルが
何か大きな生き物を察知したらしく
ゆっくり此方に向かっているという事が知れた
しかし、何か可笑しい・・・・
大きな生き物は、何処か覚束ない足取りで
此方の方角にフラフラと向かっている・・・
俺は、ハーブに此処で大人しくしている事を
よく言い聞かせると、大きな生き物の居る方角に
勢いよく翼を羽ばたかせながら飛び出した・・・
次回は続きから入ります
主人公が漸く飛べるようになったので
次回からはストーリーを進めたいと思います