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竜の異世界での過ごし方  作者: たろっと
異世界転生編
2/17

第2話 ご飯って過酷だったんだね

・・・・突然だが


俺は今、森の中で人間の時と同じように器用に

動かす事が出来ない小さな手で懸命に木の(つた)を編みこんでいる。


『グルルルル~(結構出来てきたな~)』


(つた)を編みこみながら呟く俺の前方には

鋭い角の生えた兎・・・否、兎モドキが

尻尾をフリフリと振りながら草を美味しそうに食べていた。


そんな兎モドキの姿に

俺は多少の怒りを覚えながらも

無心に(つた)の編みこみに専念する。


何故、俺が竜になったにも関わらず(つた)を編んでいるのかというと

それは、約数時間前に遡る・・・・・



・・・・・・数時間前



俺は、竜に生まれ変わるという事実に暫し呆然とした後

近くに俺の親らしき竜がいない事から

コレから如何するか、そんな事を考え始めた時だった。


・・・・ぐるるきゅううぅぅ・・・


突然、お腹が鳴る・・・

生まれてから何も口にしていない事に

気付いた俺は、近くに生えていた良く分からない

桃色の林檎に似た果物を見つけ、ガプリッと齧る・・・・しかし


『グアッ!グルウゥッ!(うわ!マズっ!!)』


口に入れた瞬間あまりの不味さに、気持ち悪くなり

俺は慌てて ペッ! と林檎モドキを吐き出した。


『グルゥ~、グキャァァ(うぇ~、口の中が気持ち悪い)』


暫しの間、不味さに悶えてから

そのまた近くにあった、青色の梨に似た果物を齧る


そしてその結果・・・・・・不味くとても食べれる物では無かった。


再び不味さに悶えた後、

俺は幾つもの果物を試してみるものの

すべて食用といえる味をしておらず惨敗・・


どうしようかと悩んでいる時


俺はたまたま見付けてしまったのだ・・・あの兎モドキを!

果物が駄目なら次は肉だとばかりに

兎モドキを確認した俺は、まず走って捕まえようとしてみた。


しかし・・生まれて間もない俺は飛ぶ事はおろか

走っても全く速度が出ないように感じる


結果、必死に走っても全く追い付けず

すぐに走り去ってしまう兎モドキ


兎モドキマジ早い!

スーパーカー並みの速さだよっ!


その後姿を見て、暫し落ち込んだ後

俺は、走って勝負を挑むのは駄目だと判断し

不意打ちという手段を思いついた。


一般では卑怯だの卑劣だの言われても

此処は弱肉強食の自然界だ!不意打ちも頭脳戦の一つであって

決して悪い事ではないとばかりに

次に見かけた、兎モドキを木の陰から狙う・・


しかし、近くに来た兎モドキを倒そうと

俺が飛び出した途端、何と奴は頭に生えた角で

俺を攻撃してきたのだ!


『グアァァァァ!?(うわぁぁ!?)』


突然の反撃に固まってしまう俺

そして近づく兎モドキの鋭い角・・・・・しかし


   パキィィィィン!!!


俺の黒い鱗に兎モドキの角が当たった瞬間

兎モドキは何かに弾き飛ばされ

俺から少し離れた地面に無様に落ちた。


『グアッ!!??(えぇ!!??)』


俺が驚いている間もなく、離れた場所に弾き飛ばされた

兎モドキは震えながら一目散に俺から逃げてゆく


『グッ!グアァァ!?(えっ?マジ今の何!?)』


俺は慌てて自分の鱗を見るものの

鱗には、全く異常は見られなかった。


『グウアァァ?(何だったんだろう?)』


多少の疑問を残しながらも

不意打ちは危険だと学習した俺は

次の作戦を考えるものの、中々考えつかない・・


しかし、獲物をいかに安全に捕まえる方法を考えている時ふと、思ったのである

・・・・・・・人間の時の記憶を活用すればいいじゃないか・・と


俺の記憶にあった、獲物を安全かつ簡単に捕まえられる方法

それは、人間が古代から使用してきた狩猟法・・・・・罠を仕掛ける事である!


こうして俺は、その辺の木から(つた)を抜き取り

罠作りを開始して今に至るのである!



・・・・・・そして現在


『グルゥ!グアァァゥ!(よし!完成だっ!)』


俺はどうにか作り上げた罠を機嫌よく仕掛ける

ソレはお粗末だが、通った動物の足にロープが絡み

動物を動けなくする、といった性能の罠であった。


罠を仕掛けた俺は、罠の近くの茂みに隠れ

兎モドキが来るのを今か今かと待つ・・


・・・・・・しかし


『グァ!グルゥ!グルウァァァ!(あぁ!もうっ!何で出てくる気配さえしないんだ!)』


兎モドキは罠を仕掛けるまで

探す必要も無い程、沢山いたくせに

罠を仕掛けた途端、一匹も姿を見せる事が無くなってしまった。


『グァ~グルル、グルゥアア?(あぁ~腹減った、本当にどうしよう?)』


キュウキュウと鳴くお腹を(さす)りながら

あの死ぬほど不味い果物でも無理やり食べようかと本気で考えた時であった


    がさがさっ!!


草を掻き分ける音がなり

ピョコっと小柄な兎モドキが現れる・・


突然現れた兎モドキに俺は罠に掛かるかもと

ドキドキしながら期待をして待っていた


耳をピクピク動かしながら動き回る兎モドキだが

残念ながら俺が仕掛けた罠に近づく兆しもない


そして、ヒョッコリと歩く方向を変え立ち去ろうとする兎モドキだが

お腹を空いて、限界の俺はソレを許さなかった。


『グアアアァァァァァ!!!!(逃がすかぁぁぁぁ!!!!)』


小柄な兎モドキなら捕まえられるかもと思い

逃がしたくない一心で草むらから飛び出す俺・・


・・・しかし

そんな俺の突然の攻撃を兎モドキはヒラリと避け

別の方向に走り出してしまった。


『グアァァウ!!(しまった!!)』


俺は逃げられると内心焦ったが


「きゅうううううぅぅぅぅ!!」


突然の兎モドキの悲鳴に驚いて悲鳴の方向を向くと、そこには

罠に奇跡的に掛かった兎モドキがジタバタ逃げようと暴れていた

どうやら、逃げた先に罠があったようだ

マグレではあるが、獲物がかかり俺は大喜びで飛び跳ねた。


『グ、グオォォ~!グルルゥ~!(よ、よっしゃ~!!(ようや)く捕まえた~!)』


・・・・しかし

物事は成し遂げてから気付くものがあると言うが

俺はその時、気付いてしまった。


『グルル?グルゥゥゥウウ?(あれ?そういえばコイツどうやって食べるんだ?)』


この壮大な大自然・・勿論火などある筈もなく

せっかく、捕まえたこの兎モドキを如何するのかを

また長々と悩むことになった俺であった。





・・・とある山奥、そこでは黒竜が獲物を捕らえ

   喜びの雄たけびを上げていたのだが

   その獲物がこの世界で最も逃げ足が速く数が少なく

   大人の竜でも捕まえられた者は数えられる程と言う事は

   まだ小さい黒竜はまだ知らない事である。

鱗の件については後に出てきます

また、主人公は黒竜チートで幸運体質なので

奇跡と呼ばれるものが普通に連発します。

今回の兎さんも奇跡的に捕まえれたパターンです!

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