第14話 第一村人?いや、やっぱり面倒事です
ふぅーこんなモノでいいかな?
俺は、洞穴に戻った後
連れ帰った重症者二人を治療しそっと藁のベットに寝かせる
・・・しっかし良く見るほど訳あり感満載だよな~
あの二人の暗殺者といいこの騎士風の青年といい
俺の予想的には、この肌凄い白い金髪の子が狙われてるんじゃねーかな?
なんか着ている服が高価なモノって感じだし
見た目がもう女の子が好きそうな王子様だしなー
俺がこんな事考えている間にも
完全に治った二人の上をハーブがぴょんぴょん跳ねて
楽しそうに遊んでいる・・・ってハーブ!
その人達の上はぴょんぴょんしちゃいけません!!
・・・その後は約十分程ハーブを捕まえるのに全力を注ぐ俺であった。
『グルルルゥ、グガァァア(それにしても、普通に連れて来たけれど如何しようこいつ等』
俺だったら目が覚めたときにこんな真っ黒で目つきの悪い竜が居たら
絶対気絶するな・・・いや確実にするな
しかし、もう怪我も治したんだし何処か黒服みたいな奴らに
見つからないような場所まで運んで終わりでいいんじゃないか?
これ以上面倒ごとに巻き込まれるのもどうかと思うし
・・俺が、ソコまで考えた時であった。
「・・・ん・・・うぅ・・ん」
眉を寄せながら金髪がうなり声を上げたかと思うと
その目をゆっくりと開けながら横たわった体を起こした
その瞳は金髪に似合いそうな深い青まるでサファイアのようだ
青年は何処かぼんやりしていたものの隣で眠る青髪の青年を見て驚き
此方を見てまるで石像のように固まった。
・・・うん、その気持ち分かるよ
いつの間にか知らない所にいて周りを見たら
怖いドラゴンだものね、そりゃ怖いな
「・・・黒・・竜・・?・・何故・・如何して?」
・・ん?如何したんだ?
青年はその瞳が目から零れ落ちてしまうのでは?と
思ってしまう程、その目を大きく開いて俺の事を凝視する
固まる青年と俺と寝てる青年・・・どうしようか
チラリとこの状況をどうにかしてくれとハーブを見るものの
ハーブはハーブはわざと眠ったフリをしている・・・くそぅ!助けろよ!
・・・一体如何したらいいのか?約数秒程考えた後俺は気付いた
そういえば俺には、“意思疎通”のスキルがあるではないかと
この前の“氷竜の豪雪”の効果の際に“意思疎通”を乱用していたのが良かったのか
まだ滑らかとまではいかなくとも少しは話せるようになったのだ。
『おい、青年・・俺の、声が、聞こ、えるか?』
・・うん、やはり会話がぎこちなくなってしまう
俺がそう“意思疎通”のレベルを上げなければと思った時であった
ドサッ!
何かの音が聞こえ其方に目を向けるとソコでは
青年がお化けでもみるような目で俺の事を見ている
・・・そりゃ言葉話す竜って怖いよな~俺がしみじみと思っていると
ザザザッ!
ん・・・あれ?
突然の何か慌てたような音を聞き
音のほうを見ると青年が俺に向かって
慌てて寝ていてクシャクシャだった身なりを整え頭を下げていた
・・・・・え?何で?
「まさか高位の契約獣の黒竜様とは知らず申し訳在りません
どうやら見たところ私達は助けて頂いた様子
何とお礼を申し上げていいのか・・・」
青年は先程まで状況を理解していなかったのが嘘のように
背をピンッと伸ばして俺を見据えてくる。
・・・って何この変わりよう
君さっきまで俺に対して凄い驚いていたよね!?
何が切欠で此処まで人が変わるんだよ!
そう、俺が驚いているとき
「・・・・・ん・・」
ふと、青髪の青年が身じろぎをする
その瞬間、今まで真面目な表情で俺を見ていた
金髪の青年が、慌てて青髪の青年の傍に駆け寄った
「ライハード!しっかりしろっ!!」
そう涙目で青髪の肩を揺するが・・・って
何かガクガク揺すりすぎて顔白目剥いてるけど彼大丈夫?
イケメンが白目ってかなり残念な顔になってるけど
「おいっ!如何したんだ!?ライハード!
私の騎士たるお前が私より目覚めが遅くて如何する!
黒竜様もお前が目覚めるのを待っておられるのだぞっ!
さっさと起きないか!」
いやいや、別に俺まってないよ
それにライハード君だっけ?
もう彼もう少し寝かせておいてあげてよ
ガクガクされ過ぎて白目+涎でてるから彼
・・・だが、一向に止める気配のない彼に
俺は、一つ心の中で溜息を吐き声を掛けた
『いい・・寝かせて、おいて、やれ』
俺のそんな一言に
金髪の彼は、目を輝かせ
ぱっとライハード君から手を離す
「なんと慈悲深きお言葉!
流石は、黒竜様です!
このエルヴェル感激致しました!!」
・・・うん、キラキラした目でコッチ見るのはいいけど
ライハード君大丈夫?君が手を離したから
頭が地面に落ちて鈍い音が聞こえたけど・・
俺は、床で白目+涎を流して倒れている
ライハード君の無事を祈りながら
再び心の中で大きく溜息を吐いた
あぁ、彼らはやはり
面倒ごとの部類であるのかもしれない・・・と
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
黒竜と青年2人が出会った時から
さらに数週間がたった頃
・・・エキスペル王国でのこと
此処は、エキスペル王国の王城
そこの謁見の間では、国王とその家臣
そして冒険者ギルドの有能な面々が顔を合わせていた
「では、頼んだぞ
これは、国の一大事でもある
必ずやこの任務を成し遂げてくれ」
国王は厳しい顔つきで
冒険者ギルドの面々の顔を見回した
「はい、我ら冒険者ギルドは必ずや
この任務を成し遂げて見せましょう」
ですからご安心を・・・といったのは
ガイア・・・この国の首都であるラエザルの
冒険者ギルドのギルドマスターである。
また、謁見の間に集まる
冒険者の中にはレイヴァンの姿もある
国王はガイアの言葉を聞き
確かに任せたとばかりに
大きく力強く頷いた。
「あぁ、任せたぞ
必ずや見つけ出してくれ
わが息子エルヴィルと
その騎士ライハードを」
国王の願いは謁見の間に重々しく響くのであった。
長々と更新が途絶えすみません!
お久しぶりの更新です!