第13話 あれ?俺って悪役?違うよね!?〔後編〕
「待ってくれ!!!」
焦ったような声に俺は内心うんざりしながらも
渋々と振り返る・・・するとやはり、そこには
息を切らせながら黒服Bが立っていた。
「・・・お前は・・俺の、義兄弟なのか・・・
・・何故、その事実を黙っていた。・・」
ワナワナと震えながら言う黒服Bに
死にかけながらも黒服Aはふっと小さく微笑んだ
「・・俺、は・・お前が・・無事なら・・そ、れで、良かったんだ・・
お前の・・元気、な姿が・・見れれば・・それで良かった
だ、から・・言う、必要が・・無かったんだよ・・・」
途切れ途切れながら必死に言葉を紡ぐ黒服Aの姿に
黒服Bは涙目になって此方へと走り
死にかけの黒服Aをがばっと抱きしめる。
「・・兄さんっ!!」
・・・・あれ?コイツ等、俺の存在を完璧に忘れてね?
俺、目の前だよ、今まさに爪振り下ろそうとする姿で固まっているよ!?
それに何で黒服Bはすんなり黒服Aが兄だったなんて
衝撃の展開を受け入れてんだよ順応能力高すぎだろ!?
・・・・俺は、目の前のツッコミ満載の奴らを横目で見る
「・・・兄さん!!すまねぇ!本当の事を知ってれば
兄さん一人に、こんな事させなかった!!」
「・・い、いんだ・・お前が、怪我一つ・・してないなら・・
俺・・は、それで・・満、足なんだ・・」
「・・っ兄さん!」
再び、黒服Bががばっと黒服Aを抱きしめる
・・・はいはい、もういいよ、もうツッコミ所が多すぎて俺疲れた
俺は、一先ず黒服Sの事は無視する事として先ほどの不思議現象の時に
取得したというスキルを確認する事にする
【スキル】
○ 噛み砕くLv19〔+10〕
○ 駿足Lv22〔+10〕
○ 切り裂くLv27〔+10〕
○ 飛翔Lv18〔+10〕
○ 観察眼Lv25〔+10〕
○ 氷竜の豪雪Lv0〔+10〕←NEW
○ 探索Lv11〔+10〕
○ 火種Lv16〔+10〕
○ 意思疎通Lv2〔+10〕
○ 氷の吐息Lv27〔+10〕
○ 守護者の決意Lv1〔+10〕
・・・・あれ?
・・・・何だこれ?
〔+10〕って何なんだ?
〔+10〕となった心当たりが新しいスキルしか無かった為
俺は慌てて、新しいスキルとなった“氷竜の豪雪”とやらを確認する。
・・・・すると
○氷竜の豪雪Lv0〔+10〕
《氷竜が危機に陥った際のみに発動し周囲50mを凍らせる》
〈追加効果:約10分間の間のみ全てのスキルがLv+10となる〉
・・・・・・マジでか!?
通りでスキルに可笑しい表示が付いていると思ったと
俺が一人でに納得していると何だか後ろが煩い・・・
俺が嫌々に後ろを振り向くと
そこはよく分からない物語のクライマックスになっていた。
「・・兄さんっ!嫌だっ!頼むから死なないでくれっ!」
「・・・す、まな・・い・・先に・・逝く・・」
「嫌だっ!俺を置いて先に死ぬなんて許さない!!!
俺を育ててくれた家族に会うんだろっ!俺の育った町を一緒に見るんだろ!?
だったら簡単に死ぬなんて言うなよっ!!
頼むから俺を置いて逝かないでくれよぉっ!!」
黒服Bはそう叫ぶと虫の息で今にも死にそうな
黒服Aに涙目になりながら縋り付いた
黒服Aはそんな彼を青白い顔ながら優しく微笑んで撫でている。
・・・・・コイツ等どこの物語の主要人物だ?
しかも、見事に死亡フラグ回収してんな
俺がやったとはいえ罪悪感で一杯だよ
俺が、そう思い目の前で
抱きしめあっている二人に手を出せずにいると
【新しいスキルを取得しました】
・・・・ん?
俺は、嫌~な予感に囚われつつも
恐る恐るステータスを開く
・・・・・すると
○治癒Lv0〔+10〕←NEW
・・・・おい、コレはもうあれだよな・・
俺にコイツ等治せって言ってるよな。
そういうことだよな・・・・
俺が溜息を付いている前で
未だに茶番は続いており
「頼む!!死なないでくれ!」
「・・・・す、まな・・い」
・・・あぁ、もうコレはアレだよな
もう治さなきゃいけない雰囲気が俺の中に漂っている。
俺は、渋々(内心は嫌々)二人に近づいていく
俺がすぐ傍までくるとようやく黒服Bが気付き
黒服Aを守ろうとしているのか
まるで守るように黒服Aを抱きしめた。
俺は、内心メンドクサイィィィィッッ!!!と思いながらも
全く顔に出さず無理やり黒服Bをペイッと引き剥がし
自慢の尾で押さえつける
「っ!くそっ!兄に手を出すなっ!俺達がお前に攻撃した
事は、誤る!命が欲しいなら俺の命をくれてやる!!
だから兄だけは!!兄だけは手を出さないでくれっ!!!』
押さえつけた黒服Bがあまりにも喚くので
ついに頭にきた俺はついに怒った。
『別にお前の魂なんていらねーんだよっ!!!
そして煩せぇっ!!治療の邪魔だ!静かにしてろっ!!」
頭ごなしに怒鳴ると黒服Bが唖然とした表情で此方を見る
・・・・ん?なんか今、言葉通じてなかったか?
・・・あ!そっか今はLv+〔+10〕の効果があったなと思い出す
俺は唖然としている黒服Bをおいて
独りでに納得すると今にも死にそうな黒服Aの治療を開始した
ボウッと俺の体が淡く発光する
すると近くにいた黒服Aもその光に共鳴するかのように
光り始めみるみると傷が癒えていくのが分かった。
黒服Aを完全に治し終えた俺は、傷が癒えたことに呆然としている
黒服A&Bのを放ってそそくさと飛び去った。
勿論、血塗れだった2人は回収しておいたが
もうコレ以上この黒服達に関わるのは嫌だ!!
俺のゲージがガリガリと削られる!・・・ん?何のゲージ?
そんなの精神のゲージに決まってるわ!!
義兄弟の再会編も涙ありの別れも俺が居ないところでやってくれっ!俺を巻き込むな!!
俺は、飛び去った後だったため心の中でだが本気で叫びまくった。
その後、癒しを求めてハーブに抱きついた後
ウザいと嫌がられて全力でハーブに逃げられたのは言うまでもない。
・・・・あ、亀の事すっかり忘れてたわ
↓コレより下《主人公が飛び去った後の黒服二人》
呆然と黒服Aが体中を見渡すものの
その体には、傷一つ残っておらず先ほどまで血塗れだったのが
嘘だと思ってしまうほど完璧に治療されていた。
「・・・・コレは・・・一体如何いうことだ?・・・」
事態がうまく理解できずにいる黒服Aに黒服Bは言葉をかける
「何か俺達助かったみてーだな」
「あぁ・・だが、あの竜は一体・・?俺の知っている竜と違いすぎる」
「もしかしたらランクSの竜だったりして」
「馬鹿か?ランクSなどもう何百年も発見されていないだろ」
「まぁ、そうだけどよ・・・」
そこまで言って二人は顔を見合わせて息を吐いた
「だけどよ、コレから如何する俺達・・?」
「まぁ、結局は依頼を失敗したんだ
もう暗殺者には、戻れないな。」
視線を落とす黒服Aに黒服Bは笑いかけた
「もう・・戻らなくていいんじゃねぇか?
・・なぁ、アンタ・・俺の育った場所を見たいんだろ?
だったらよ・・一緒に行かねぇか?」
黒服Bがそう言って手を伸ばすと
黒服Aはその手を見て戸惑ったように視線をうろつかせた
「だが・・・俺達に任務に失敗した・・時期に追っ手が来るぞ
それに・・その・・いいのか?俺なんかを連れて行って・・」
視線を下に落とした黒服Aに
黒服Bは迷っている手を掴んで引っ張りそして言った
「俺が来て欲しいんだ!
俺は、アンタが義兄弟だからってだけじゃない!
アンタと一緒なら何処までも一緒に行ける気がしたんだ!!」
真剣な表情で訴える黒服Bを見て
少し視線を迷わせたもののその手をそっと掴んだ
「・・・・俺何かでよければ・・」
その一言に黒服Bが飛びつくように抱きしめたのは言うまでもない
そしてちょっぴり遠い洞穴では、カーバンクルを抱きしめた黒竜が突然
『だからお前らって只の義兄弟じゃねぇのっ!?』
と叫び、カーバンクルに驚かれて
逃げられた事もあったのだが
この場に居る黒服A&Bには、関係のないことであった。
コレにて漸く義兄弟達が退場します
後にひょっこり出てくるかもしれませんがw
また、都合良過ぎねぇ?と思った皆様その考えが正解ですw
主人公の行く道には多くの神様の都合が含まれて居ますw
また次回は神様が出てきます!
また更新おそくてすみません><