第11話 あれ?俺って悪役?違うよね!?〔前編〕
今回の話では主人公が悪役サイドに見えるかもしれませんww
・・・・・はぁ~(溜息)
・・俺本当に何でこんな事に巻き込まれているんだろ?
俺は、再度目の前の黒服達を胡乱に睨む
黒服たちは、俺に向かって今にも走り出そうとしていた
「全く、お前と組んでこの日程後悔したことはない
しかし竜しかも黒竜に挑むなんて
勝機はあるのか?まだ子供で幼いといっても
俺らに勝ち目などない相手だぞ
俺らの契約獣で追い払えるかも分からない」
愛らしい金魚を傍らに控えさせながら
黒服の一人(此処ではAと呼ぶ)はもう一人のハリネズミを傍に
控えさせている黒服(此処ではBと呼ぶ)に語りかけた。
ん?今何か聞き捨てならない単語が
・・・・・・・・って、えぇ!?子供!?
俺ってまだ子供だったの?確かに生まれてまだ
そんなに経ってないけど、俺ってもう大きさは
中型トラック程度は軽くあるよ!?
それで幼いって・・・・竜ってドンだけ大きくなるんだよぉ!?
軽く思考が何処かへ飛んでいたものの
突然の嫌な予感に思考はすぐ引き戻された
咄嗟にその場から飛び退く
すると先ほどまで俺が居た場所で
小さいながらも威力がありそうな小爆発が起きた
土煙が当たり周辺に巻き起こる。
「あぁ?勝機だぁ?そんなものねーよ
だが、俺は此処で引く事なんて出来ねぇ
病気の家族が家で待ってんだ!
何としても生き残って帰ってやんねーと
俺は、まだまだ死ぬ訳にかいかねぇんだよ!
お前だってそうだろ?」
ハリネズミを連れた黒服Bは仮面で顔は見えないものの
唯一見える口元を挑発的に歪ませて笑う
その傍でハリネズミは不思議な灰色の光を
体から発生させて小刻みに体を震わせていた。
「まぁ、そうだな俺も暗殺なんて
クソみたいな仕事はコレで止めて
故郷にいる恋人と結婚するって決めてんだ
此処で意地でも生き残ってやるよ」
もう一人の黒服Aが決意を固めたように言った瞬間
傍でプカプカ浮いている金魚が淡い水色に輝き始める
・・・・・・・・っえ?何これ?
何かコイツ等死亡フラグ自分から乱立させてんだけど
しかもコイツ等の会話聞いてると俺が悪役みたいに感じるんですけど!
えっ!?違うよね?こいつ等暗殺者みたいだから
こいつ等の方が悪役なんだよね!?
そう考えている間に黒服A&Bたちの
死亡フラグ乱立作業は終わったようだ
「さあぁて!始めるか!お相手の竜も
待ちくたびれているみてーだしなっ!!」
黒服Bがそう叫んだ途端傍らに控えていた
ハリネズミの灰色の光が集まり大きなボールの
ような光の結晶を作り出す。
「きゅいいいいいぃぃぃぃぃぃっっっ!!!!」
ハリネズミが大きく奇声を発するとともに
灰色の結晶が凄まじい速さで飛んできたため
俺は、咄嗟に左側へと転がり避ける
・・・・・その瞬間
・・・・ドオオオオオオォォォォォォォォォン!!!!
先ほどとは比べ物にならない程の
巨大な爆発とともに爆風が吹き荒れた
・・マジかよ!さっきの爆発はコレか!
驚いてハリネズミを見ると
体を震わせて何か反動に耐えるように歯を食いしばっている・・・
どうやらこの爆発を何度も巻き起こせるようではないらしい。
厄介なスキルを持つと思われるハリネズミを倒そうと
俺が、ハリネズミに意識を集中した途端
真横から水柱が襲ってくるのが見え
慌てて空へ飛び上がった。
飛び上がった空から真下を見れば
黒服Aが水を操っているのが見える
・・・何だか異世界に来て
初めてリアルな自分意外が使う
魔法を知った気がする。
そんな事をしみじみと思っていると
黒服Aが傍らにいる金魚に指示を繰り出す
その瞬間、黒服Aの操っていた水が
量・勢いともに増加し、空中を飛ぶ俺の周りを包囲し
まるで檻の様に四角い箱になった。
それを見た黒服Aがチャンスだ!とばかりに
黒服Bに叫び黒服Bも分かったとばかりに頷く
それと同時に黒服Bがバチバチと
必殺技感漂う電気を放電し始めた。
・・あぁ、何か魔法とか使う漫画によくあるパターンだよねコレ
片方が敵の動きを止めてもう片方が敵に攻撃する的な
でもアンタ達と同じで俺も此処で態々負ける訳には
行かないんだよね!拠点で俺の帰りを待つ
可愛い癒しが俺を待ってるんだからな!
俺は大きく息を吸い込むと
スキル(氷の吐息)を発動した
俺の吐く氷を纏ったブレスにより
周りの水がパキパキと凍り始める
「っ?何だとっ!?氷属性だとっ!?」
「不味いっ!水が凍らさせて
魔法の制御が出来ないっ!!」
黒服達の悲鳴のような声を無視し
俺は氷の檻の柱を折り楽々外へと脱出する。
そしてハリネズミとその横の黒服へと狙いを定めた
コレと目標を定めた俺の行動は速い
瞬く間に黒服Bの横に移動すると
その胴体に長く自慢の尾を叩き付けた
グェェッ!!とカエルの潰れたような声を出しながら
遠くへと投げ飛ばされる黒服B
まだ死んではいないだろうが
この隙に主人が吹き飛ばされ呆然としている
ハリネズミの傍へ全力で駆けぬけると
翼を羽ばたかせ風を巻き起こす。
最初は必死に踏ん張っていたものの
風の勢いに負けて中に放りだされるハリネズミ
俺は、中に放り出されたハリネズミの柔らかい腹に
狙いを定め鋭い爪を振り下ろした。
切り裂くのスキルによって強化されている
俺の爪はハリネズミの柔らかい腹を易々と貫いた
周囲にまだ温かい鮮血が飛び散る
俺も近距離攻撃だったため鮮血を随分浴びてしまったが
(異世界転生者への慈悲)という罪悪感を軽減させる
能力によって返り血を浴びても何とも思うことはなかった。
・・しっかし、この能力なかったら
マジ俺この世界来てすぐ死んでたな~
そんな事を改めてしみじみと思う
幾ら竜に転生したと言っても元の中身は人間で
しかもろくに魚もさばいた事のない大学生だ
そんな奴が突然異世界に来て殺し合いなんて
出来る訳がない、だがこの能力のお蔭か
血を浴びても俺は特に何も思うことはなかった
人間としては、終わっているかもしれないが
今の俺の人生ならぬ竜生?を謳歌するためには
この能力は必要不可欠だろう。
・・随分と思考が何処かへ飛んでしまっていたが
今は、戦闘中だと慌てて俺は我に帰る
ぬちゃぁ
気味の悪い音を立てながら俺の爪が
ハリネズミの腹から引き抜かれる
俺が返り血を滴らせながら周りを見渡すと
そこには、呆然と此方を見る黒服Bが佇んでいた。
その後ろには、何かに絶望したような表情を浮かべる
黒服Aとそんな黒服Aを守ろうとしているのか
黒服Aの前に浮かび此方を警戒する仕草をしせる金魚がいた。
俺は、静かに奴らを見据える
さあぁぁて
誰から
相手して
殺ろうか?
俺は密かにそう微笑んだ
如何しようw主人公がすごい悪役チックにww本当はもっといい子なんです!
ただ加護(異世界転生者への慈悲)は思考を悪役寄りにさせる
効力を持つ・・・・苦し紛れの裏設定として付け足しておきますw
そして全国のハリネズミ好きの皆様申し訳ありません!
本当はもっと優しく倒す予定でしたが狂ってしまいました。
戦闘は出来うる限りアニマルズには優しく倒せるように
心がけていきますww