第10話 第1村人?いや、災いの現況です
勢いよく洞穴を飛び出した俺は飛翔スキルを存分に活かし
どんよりと曇った大空へと羽ばたいた。
う~ん、さっきから雨降りそうなんだよね
出来れば無視したいけれど
拠点である洞穴の方に向かってるから
何もしない訳には行かないしな~
美味しそうな動物だったら是非ともハーブの
お土産に持って帰ろう!
そんな事を考えながらのんびり飛んでいると
探索スキルに探知された大きな生き物に近づいた。
『グルウァ、グルゥゥゥ~(さて、どんな動物かなぁ~)』
そして、大きな生き物の真上まで飛んだものの
俺の思考は一先ず、そこで停止した。
・・・・・・・・何故ならば
・・・・・・・・・・・なんで
・・・・・・・なんで紫なんだよおぉぉぉ!!
そこには、見事に毒々しい紫色をした
ゾウ程の大きさの“亀”がのっしのっしと歩いていた
・・・はぁ?なんで亀があんな毒々しい
見るからに食べたらお腹壊しますよ~といった
雰囲気醸し出しながら歩いている訳?
あんな不味そうな生き物食べる気しないわ!
ハーブが腹壊したら如何してくれるっ!?
そして無駄にでかいわっ!!
・・・・もういいや、一先ず無駄な殺生は極力避けるとして
あの不味そうな亀をどうやって洞穴から引き離すか
それが今、一番大切な事だ!
俺は、そんな事を考えていたものの
ふととある事に気付く
何だかあの亀後ろに変なものくっ付けてない?
空を飛びながら亀の後ろを良く見ると
ボロボロの箱?見たいなものを付けている
俺はちょっとした興味に駆られ
一気に空から急降下して地面に着地する
おぉ!亀が驚いて甲羅の中に引っ込んだww
俺は亀を放置したまま、亀とロープで繋がれた箱・・
近づいて気付いたけれど、ボロボロの馬に繋いで
旅する時に使う馬車に酷似したものだった。
・・・・マジで・・俺の中ではこの時
馬車モドキ=人が使う=人がいる!といった方程式が作られた!
早まると後でガッカリすると思いながらも
わくわくと馬車モドキに近づいていく。
俺は大き過ぎて入れないけれど
馬車モドキの後ろにある入り口を覗き込むと
そこには人?らしき二つの影が横たわっていた。
そしてこの影を見つけた瞬間、俺のテンションは
最高潮に跳ね上がったのは、言うまでもない
わーい!わ~い!
人だよ!人だっ!
☆HI☆TO☆DA☆!!
最近は、言葉も通じないような
野生動物たちと弱肉強食な日常を
繰り広げていたため人と出会う事
など無かったせいかこの時の俺は
後に振り返ると自分でも引くような
可笑しいテンションであった。
覗き込むのが面倒になった俺は、馬車の屋根を掴み
べりべりっと軽々と引き剥がす。
さぁ!どんな人が乗っているのかな~?
すると、そこには・・・・・
・・・・血まみれになり倒れた騎士のような青髪の青年と
・・その騎士に抱きしめられながら気を失っている
驚く程、肌が白い金髪の青年が二人で横たわっていた。
・・・・・・・・なんだこれ?
・・・・・・いや・・俺もっと別のもの想像してた
・・・・こんな血まみれホラー的なものじゃなくて
もっとほんわかした平和的な少年少女を思い浮かべていた・・
数十秒固まっていた俺は、再び血塗れの青年に目が行きハッとした
そうじゃないか!こんな所で固まってないで
治療しないと!コイツ血塗れじゃないか!
俺は血塗れ青年を掴もうと手を伸ばした。
しかし、手を伸ばした瞬間
不意に嫌な予感を感じ大きくその場から飛びのいた
そして、飛びのいた瞬間・・・・・
・・・・・・バチバチバチッチチッッッ!!!!!
俺の居た場所を緑色の雷が通り過ぎた・・
・・・・・・って、ハァ!?雷!?
俺が慌てて雷の発生源の方向へ目を向けると
そこには、真っ黒な衣装に身を包んだ以下にも怪しい
THE不審者!!とでも名付けたくなる人間らしき者が
2人とその傍に中型犬程度のハリネズミと
水もないのにプカプカと中を浮く金魚が此方を向いていた
そして、針がバチバチ鳴っている所を見ると
たった今、起こった雷はハリネズミのスキルだろう
思わずピカ〇ュウかよっ!とツッコミたくなったのは秘密である
「くそっ!やっとあいつ等を見付ける事が出来たのに
何で竜なんて厄介な奴がいやがる!!」
「お前っ!何で電撃なんて打ちやがった!
竜を下手に刺激するなと教わっただろう!」
「うるせぇ!そうしねぇと竜にあいつ等を
食われる所だったじゃねーか!俺達は、確実に
あいつ等の首を持ち帰らねぇといけねぇんだ!!
手段なんて選んでる場合じゃねぇんだよ!!」
「くそっ!何でお前みたいな奴と組まされたんだか!
こうなったら仕方ねぇ!竜の方も怒り狂ってる
みてえだし戦うしかないみたいだ!」
・・・・・・えっ?
・・・・何だか黙ってたらどんどん
話が進んで行くんですけど!?
俺、別に怒ってないよ!?
ただ軽く吃驚しただけだよ!?
君達もうちょっと平和的に行こうよ!
そんな俺の考えとは裏腹に向こうの
多分男2人とアニマル2匹はすでに戦う気である
・・・・・今ほど言葉が通じればと【新しいスキルを取得しました】
・・・・・・・・・・ん!?
〇意思疎通Lv0←NEW
効果:考えた事を相手に伝える事が出来る
・・・・・・わぉ!何て都合のいいって
・・・・まぁ、今は使えないだろうな・・・
Lv0のスキルなんて経験から言うとゴミ屑にも劣る性能だ
俺は、チラリと後ろの横たわっている
青年二人を見て溜息をついた
・・・俺、何でこんな事に巻き込まれているんだろ?
・・・・只、洞穴の安全の為に来ただけなのに
・・・・・ハーブ・・帰るのもう少し遅くなりそうです。
俺は、目の前の敵を見て再び重い溜息を吐いた・・
ストーリーが漸く動き始めました
後編を出来る限り早く更新できるよう
心がけます(*・∀・)/