エピソード3 性癖
Episode3
登場人物
加地 伊織:主人公
池内 瑠奈:面白キャラ
館野 涼子:玄武の契約者
源 香澄:実験大好き
難波 優美:少し距離を置いて見てる
リビングダイニングの真ん中にちょこんと涼子を座らせる。 香澄、瑠奈、伊織の3人が周りを取り囲む。 優美は部屋の隅から眺めていた。 重いガラス製のテーブルと重厚そうなソファは部屋の隅に追いやられている。
香澄:「さてと、…聖獣の発現だけど、私の場合は卵の取り込みと同時に黄龍が発現した。 実は優美の時は卵の取り込みから発現迄に結構時間がかかった。 池内はどうだった。」
瑠奈:「私も、一週間くらいかかったかな。」
香澄:「その時、どういうきっかけ、あるいはどういうシチュエーションで聖獣は出現したか覚えてる?」
瑠奈、見た目可愛らしく唇に指を当てて上目遣い
瑠奈:「確か、スーパーで買い物して…お会計でお金が足りなくって焦ってた時に、いきなりカゴの中に出現したのよね。 最初売り物かと思っちゃって、それでレジのおばさんも吃驚してたわ。」
瑠奈、見た目可愛らしく人差し指を立ててにっこり
香澄:「お前は日に日に面白キャラへの道を突き進んでるな…。」
香澄、伊織に向き直る
香澄:「吾妻の場合は、優美に襲わせたんだよね。」
伊織:「そうそう、あの時は殺されるかと思った…。」
瑠奈:「つまり、…」
香澄:「つまり、宿主に一定以上のストレス、…生命の危険だとか異常な興奮状態がもたらされると、恐らく宿主を護る為に聖獣が出現する…と考えられる。」
香澄、一応にっこり
香澄:「私の場合は、恐らく人体実験で自分がどうなってしまうか判んないって言う恐怖と、「さりな」から指定されていたオリジナルの接種方法が、ちょっと口では言えない様な恥ずかしい状況だった事が関係していると思われる。」
伊織:口では言えない様な恥ずかしい状況って何なんだ…?
瑠奈:「難波は…どうだったの?」
香澄:「「さりな」が二度目の眠りについた後、シロが出現した。」
優美、無言のまま目を逸らす
香澄:「と言う訳で、ちょっと残酷だが涼子にも少し怖い思いをしてもらう。」
涼子の前に仁王立ちする香澄。
香澄:「ごめんね。」
椅子に腰掛けたまま、無表情に見上げる涼子。
香澄、いきなり涼子を思い切りビンタ
椅子から転げ落ちる涼子。
伊織:「大丈夫か! 涼子。」
伊織、慌てる
涼子、なんだかうっとりした表情…
伊織:そうか、こいつ…M特性、
香澄:「伊織下がっていて、もしも辛かったら部屋の外に出て居ても良いわよ。」
香澄、転がったままの涼子を更に二三発!
伊織、見てられない
香澄、続いて何やら小道具を取り出す、細くて硬い針金の様なモノ
瑠奈:「それって何?」
瑠奈、目が怯えている
香澄:「スマホのSIMトレイ取り出し用のピンよ。」
瑠奈:「それで…どうしちゃう訳?」
瑠奈、ドキドキする
伊織、目をつぶる
10分経過…
香澄:「駄目か、…もしかして涼子って、こういう事されても平気な人?」
涼子、半ば放心状態、顔が火照ってる。
香澄:「作戦変更ね、痛いのが駄目なら…。」
香澄、くすぐる
涼子、必死に耐える、何だか苦しそう
香澄、脇の下から、脇腹を攻撃
涼子、悶える
香澄:「池内も手伝って、足の裏任せた、」
瑠奈:「へっ? はぁ…まあ、それじゃ。」
香澄:「それ、コチョコチョ…」
瑠奈:「コチョコチョコチョ…」
10分経過…
涼子、全身をくねらせ、涙と涎を垂らし…力尽きる。
涼子:「うぅぅ…」
優美:「全く、恥ずかしくて見てられないわね。 一体何なのこの儀式は?」
香澄:「結構真剣にやってるのよ、私。 ほら涼子だって必死に頑張ってるじゃない。」
涼子、息が荒い…どうやら少し漏らしたみたい、モジモジしている。
それでも発声もとい、聖獣発生しない。
香澄:「かくなる上は少し別のタイプの刺激を与えてみようか。 …伊織、ちょっと外に出ててくれるかな。」
伊織、ドアの外へ退場
隣の部屋から聞こえてくる涼子の切なそうな吐息…
5分経過
伊織:「一体…何を、やってるんだ?」
伊織、ついつい壁に耳をあてて…
優美:「それであなたは何をしているの?」
心臓が止まるかと思った!
優美が戸口に立っている。
優美:「香澄が呼んでいるわ、貴方に手伝って欲しいって。」
伊織、再入場
涼子、なんだか少し痙攣? してる??
伊織:「一体何があったんだ…」
香澄:「伊織、やむを得ない事態なのよ、その、涼子を抱いてみようか!」
優美:「なっ?」
伊織:ええっ、良いのか?本当に良いのか?
涼子、唇を突き出し両手を広げてウエルカム体勢
伊織:「いや、駄目でしょう…これじゃ、」
香澄:「ちっ!」
伊織、突然ひらめく
伊織:「そうだ目隠しはどうです?」
涼子、何故かカバンから目隠しを取り出してくる
伊織:「やっぱり持ち歩いてんのな…それ、」
伊織、涼子に目隠しをかける
ゾクっとしたのは他の皆の方
香澄:「今、確かに反応があったわ。」
伊織:「あ、後、手錠とか無いかな。」
優美:「あなたは一体、普段涼子と何をやっているの?」
涼子のカバンをあさると、手錠はないがロープが出てきた
伊織:「お前 、何に使おうと思った訳?」
伊織、そう言いつつ、涼子をロープで縛る
涼子、視界と両手の自由を奪われて…無言のまま吐息を漏らす
そうして…涼子の首に、何かが巻きついているのが見えた。
それがゆっくり解けて、床に落ちる。
それは、仄暗い井戸の底の様な、薄墨の様な、黒い水色の…ヘビのビジョン。
香澄:「これが、…玄武か。」
香澄:「優美!」
香澄が号令をかけると同時に優美の足下から、白虎のビジョンが飛びかかる。
床に堕ちたヘビのビジョンを踏みつけて…電撃を加える!
玄武、もだえる?
玄武、もだえ苦しみのたうつ快感に酔いしれている??
暗黒の性格?
目隠しをしたままの涼子もまた、玄武とシンクロして震える。
香澄:「涼子、聞こえているかしら?」
香澄:「あなたのビジョンには一体何が出来るの?」
涼子、肩で息をする、涎がこぼれ落ちる。
そうして、テーブルの上のペットボトルが…溶けた。
熱可塑性樹脂が熱で溶けたのではない。
それは、内容していたスパークリングウォーターに溶けたらしかった。
当然容器を失ってこぼれでた水はテーブルに… そうして、ガラスのテーブルが…溶ける。 更に水は床に、…今度は床も溶けていく。
まるでどこかのSF映画で見た様に諸々強い酸に溶けるかの様でもあるが、少々状況が違う。
何の匂いも、泡も、熱も発しないで、ただ、水に全てが溶け込んで行く。
涼子の水は…それが十分に汚れるまで、何でも、全てを溶かしていく。
それだけではない、空気中の水蒸気を集めてどんどん水を補充する。
床がビショビショになり、そして大穴が空いて行く。
香澄:「OK、もう良いわ。」
そうは言っても直ぐには止まらないらしい。
その湿り気はやがて部屋にいる香澄達にも伝染する。 着ている物が…溶け始めた。
香澄:「涼子〜、止めてくれるかな。 このままじゃ皆死んじゃうかも知れないんだけど〜。」
黄龍がスタンバイする。 いつでも涼子を殺せる体勢。
伊織:おいおい、それは駄目だろう…!
そうして、ようやく溶解がとまる。
瑠奈:「あちゃー、後で怒られるかな?」
床には大穴が開いた。
香澄:「こんな事は私達には出来っこ無い事でしょ! 文句言って早速部屋を取っ替えてもらわなきゃね。」
伊織:流石、博士! 頼りになる。
香澄、恐る恐る「水」にボールペンを浸けてみる。 何も起こらない。
香澄:「とりあえず、7割水で出来てる人間を殺す事は朝飯前のようね。」
その日の昼食は香澄の運転でパブへ。
香澄がさんざん文句を言ったから、帰る頃には新しい部屋が用意されている手筈だった。 なんでも、床が腐っていた…と言う事にしたらしい。
涼子は疲れきったのか、伊織にもたれかかって眠っている。
瑠奈:「本当、某魔法学校の物語ってこんな雰囲気だわよね〜」
瑠奈、パブの雰囲気に感激
瑠奈:「ちょっと香澄、あなた運転するのにビール飲むわけ?」
香澄:「こっちはワンパイントまでOKよ、自己責任の国だから。」
瑠奈:「私は日本の警察なんだから、駄目に決まってんじゃない。」
香澄:「固いこと言わないでよ、大体 馴れ馴れしく人の事 香澄 なんて呼ばないでくれるかな?」
瑠奈:「良いじゃない、友達になろうよぉ。 …じゃあ私だって飲むわよ、昼間っから!」
ナカナカ注文取りに来ない
伊織:「なんだか見捨てられてる気分だな。」
優美:「とにかくこっちの人はのんびりなのよ。 あせったら負けよ。」
やがて、スタータが運ばれて来る。
香澄:「はっきり言って、イギリスの料理は味しないわよ。 塩と胡椒は各自で調整、あとモルトビネガーも重要…。」
伊織:「まあ、そこそこいけるじゃん。」
香澄:「伊織、この店探すのに苦労したのよ! 後でもっと褒めてよね。」
何だか、とても楽しい気分になる。
こんな感じで2日目が過ぎて行く。 …取り立てて違和感も感じないまま。




