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エピソード2 ホームシック

Episode2

登場人物

加地 伊織:主人公

池内 瑠奈:意外と騒がしい

源 香澄:意外と可愛らしい

館野 涼子:意外と積極的

難波 優美:意外と弱気


空が広い。 周りに高層建築物が無いからだろうか。 そう言えば見渡す限り山が見当らない。 それは日本人 にはとても不思議な感覚だった。  


伊織はバルコニーのデッキチェアにもたれながら、ようやく薄暗くなり始めた街の風景に黄昏ていた。


伊織:「夜10時なのに まだ明るいんだな。」



ところで部屋の中は大騒ぎだった。


瑠奈:「これ、どこで身体洗えば良いの?」

香澄:「 バスタブの中で洗うの。」


瑠奈:「ちょっとお湯出ないわよ!」

香澄:「タンク使い切っちゃったかな?  しばらく待たないと駄目かもよ。」

瑠奈:「そんなのありなの? もう、シャンプーまみれなのにぃ!」

香澄:「水なら出るだろ。」

瑠奈:「風邪引いたらどうするのよ!」



先に風呂から上がった香澄がバルコニーに避難して来る。


香澄:「やれやれ、予想以上に騒々しい女だな。」


伊織:「でも殆ど初対面でこれだけ好き放題言えるって言うのは、気が合うってことじゃ…うっ!」


缶ビール片手に伊織の隣に腰掛けた香澄は、パンツに大きなバスタオル引っ掛けただけの半裸状態だった…。


伊織、目のやり場に困る


伊織:「博士、…周りから見えちゃいますよ。」

香澄:「あんまり気持ち良さそうだからさ…、」

香澄:「あっ、もしかして妬いてるのかな?」

伊織:「そう言う訳じゃ無いけど、…常識の問題です。」


香澄、伊織の頬にフレンチキス、それから耳元で囁く


香澄:「それと、…抱いた女の事くらいそろそろ下の名前で呼び捨てにしては どうでしょう? …伊織クン。」


伊織、赤面



伊織:「び、ビールなんて美味しいんですか?」

香澄:「飲んで見れば分かるわよ。」


真っ白い肌に濡れ烏の長い髪。 あの日の温もりの記憶が蘇ってくる。



伊織:「とにかく、部屋に戻りましょう。」

香澄:「もう、…強引なんだから。」


伊織、香澄の手を引いてダイニングへ…



何故だか涼子も半裸で冷蔵庫開けている。


伊織:こいつら、わざとやってんのか?



伊織、ソファに腰掛けてポテトチップスかじる。


伊織:「何故に酸っぱい…?」

香澄:「それビネガー入りの奴よ、慣れれば結構いけるわ。」


香澄、伊織の向かいに座る


伊織:「だから、パンツ見えてますって。」

香澄:「今更パンツくらい…」

香澄:「あっ、それともこれも着けるなと?」

伊織:「言ってない!」



涼子、香澄に張り合って同じ様な格好で 伊織の隣にふんぞり返る


伊織:「お前は早く何か着なさい!」


伊織、涼子に空手チョップ



瑠奈:「ちょっと待ってよ! ここウォシュレット無いの?」


瑠奈、再び風呂場から叫ぶ


香澄:「そんなもん日本にしか無いよ。」

瑠奈:「私ウォシュレット無いと便秘になっちゃうかも!」

香澄:「心配すんな、水が硬いから大抵は下痢するって。」


伊織、耳のやり場に困る


伊織:「英語のテレビしかやってないんだぁ…」





伊織、25時。 未だ眠れない

時差ぼけのせいだろうか、


伊織:8時間遅れだから、日本は朝の9時頃か。


当然のように、涼子が添い寝している。

涼子を起こさない様にそっとソファから抜け出し、向かい側に座りなおす。



優美:「眠れないの?」


見ると部屋の入口に優美が立っていた。


伊織:「ちょっとな、余りの女密度にあてられちゃって…。」

優美:「変態!」


優美、伊織の隣に座る

優美、伊織にもたれかかる

伊織、少し赤面


そう言えば、これほどこの美少女を繁々と見つめるのは、あの日…優美の部屋で眠る優美を眺めていた時以来かも知れない。



優美:「私達、本当にミジンコを連れて来て良かったのかな?」


伊織:「俺は、お前が遠くで危険な目に合っているのを待ってるだけの方が辛いよ。」


優美:「優しいのね、でも…」

優美:「勝ち目が見えている訳じゃないのだから。 」


伊織:「優美らしくないな、…やけに弱気ジャン。」

優美:「違和感、があるのよ。」


気がつくと優美の手が伊織の手と触れる、重なる、包みこむ。



優美:「私、貴方と離れているのが不安だった。」

優美:「貴方が日本に居て何をしているのだろうか、私が傍に居ない事をどんな風に感じているのだろうかって、そんな事ばかり気になってしまう。」


伊織、更に動悸が激しくなる。


優美:「この感覚は、なんだか変だわ。」

優美:「冷静に考えれば貴方は日本に居た方が良かったに決まっている、 貴方をここに連れて来るなんて判断はしない。」


優美:「でも何故だかこの感覚には逆らえない。 …それが違和感。」


伊織:これは新手の告白なのか? それとも違うのか? 一体何なんだ?

伊織、混乱



優美:「貴方ってあったかいのね。」


気がつくと、いつの間にか少女は眠りに堕ちた様だった。

お互いの体重を感じる。

安堵感が伊織を微睡みへと誘う。





香澄:「もしもし、そろそろ起きてくれても良いかな?」


伊織、寝ぼけ眼で時計を探す。 11時過ぎたところ


気がつくとソファで座ったまま眠ってしまった様だった。 隣には…優美が未だ眠っている。 何故だか二人はしっかり手を握ったままだった。


伊織:「あぁ、おはよう。」

香澄:「作戦会議を始めるわよ。」




香澄:「一週間に一回の発信は相変わらずオックスフォード西部から、より正確にはバイブリー近くの牧場内の建物から発信されているわ。」


香澄:「吾妻が戻ってきた話は事前に聞いた。」

香澄:「もしも日本の吾妻が偽者だったとしたら、本物の吾妻を連れ戻せばよい。 こっちはシンプルね。」

香澄:「でももし青龍が奪われたのだとしたら、…新しい契約者ごと青龍を回収しなければならないってことになるわ。」


瑠奈:「それってもしかして誘拐? 流石に駄目でしょうそれは。」

香澄:「どっちにしても快くこっち側に来てもらえれば良いって訳よ。」

瑠奈:「あなたって凄く楽観的よね。 羨ましいわ。」



優美は未だに寝ぼけ眼の様だった。 余程疲れているのだろうか?



香澄:「完全相生で全員をレベル3にして一斉遠距離攻撃で一気に片をつけるのが一番楽。 と言うか、他に勝てる可能性が見当たらない。」

香澄:「あなた何か良い知恵は無いの? 一応刑事なんでしょ?」

瑠奈:「考え中…。」


香澄:「今は青龍がレベル1、朱雀がレベル1、黄龍がレベル2、白虎がレベル3。 青龍と玄武が欠けているので相生が 続かないのよね。」

香澄:「まずは玄武を発現させるのが第一ね。」


玄武の契約者は涼子。 涼子はじっと話を聞いている様だったが…表情一つ変えないから了解しているのかどうだか今一つ判らない。



香澄:「とにかく発信源は確かめる。 罠の可能性もあるから一斉攻撃で全滅しない様に二手に分かれましょう。」

香澄:「組み合わせを変えるわよ。 私(土)と涼子(水)。 優美(金)と池内(火)。 全員揃うまで出来るだけ戦闘はさけて。」


香澄:「やつらは私達契約者は殺さないわ、伊織の身の安全を最優先に考えて行動して。」



伊織:「何だか俺は単なる足手まといみたいだけど、一体何をすればいいんだ?」

香澄:「貴方は皆のモチベーションなのよ。 はっきり言っちゃえば貴方がやられて死にそうになったら、皆死に物狂いで助けようと全力を発揮できると思うのよね。」


伊織:「そういう役?」

香澄:「後は、吾妻をおびき寄せる餌。 もっとも本物の吾妻がこっちに居ればの話だけどね…。」



伊織:「俺は、イアンに(拳を)一発入れたい。」


伊織、沸々とリベンジの炎を燃え上がらせる


瑠奈:「伊織クン、…もしかしてそっち系だったの?」


瑠奈、真剣に驚く


香澄:「どうりで昨日も夜這いに来なかったわよね。」


伊織:何、義務なの? 夜這い義務なの?


香澄:「そういえばイアンもBLだという噂が…。」

瑠奈:「きゃっ! あなた達、そう言う関係なの?」


瑠奈、瞳輝く



香澄:「冗談はさておき、早速 玄武を発現させるわよ。」


涼子、感情表現、皆無

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