物体
ぺタ、ぺタ。
足が吸い付く。
それでも、臆することもなく歩くタニア。
銀色の世界が続く。
シュッ……
足を置くと、そう言う音がして、前の板が上がった。
自動扉である。
しかし、そんなこと、タニアには知る由もない。
そのまま、歩き続けるタニア。道は続く。
「?」
一か所、くぼんだ、一帯がある。
その中には、さっきの赤いボタンが付いていた。
それを押すタニア。この動作は、もうさっきのボタンで証明済みである。
カチ……。
ウウ……ウイイイン
そんな音が、建物の中に木霊する。
タニアは少し驚いた。びくっと、体に衝撃が走る。
タニアの横にある壁が開いた。
中へ入るタニア。
黒い壁から、何か、音がした。
―ウウ……
黒い壁に何かが映し出された。
アナタハダレデスカ……?
そんな声が何処からか流れた。
?
タニアは首を傾げた。
すると、もう一度、アナタハダレデスカ?と、言った。
「……私は、タニア」
コトバ、F2ニ、ジュンジル。
カタカタ……
何かしきりに動いている。
「タニアサン、デスカ」
「そう。貴方は?何処にいるの?」
「ワタシハコンピューター、デス」
「コン……?」
「ワタシハコノウチュウセン、デス」
「う、うちゅう……せん?」
「ソウデス、ワタシハ、イマ、ダメージヲ、シュウリチュウ、デス」
「修理、してるの?」
「ソウ……、シュウリ、イチ。カサイ、ヲ、チンカ……」
「色々出来るのね、貴方」
「ワタシハ、コンピューター、エレナス」
「コンピューター、エレナス?」
「ソウ、エレナスハ、ワタシノ、ナマエ」
「貴方、エレナスっていうのね」
「ソウ……、シュウリ、イチ、カンリョ」
そうエレナスが言うと、
「鎮火したの?すごいわね、テレナスさん」
「チンカ、サギョウハ、ウチュウセンノ、キホンデス」
「ふうん、そうなの?優秀さんなのね」
「ハハ、テレチャイマス……」
少し、黒い壁が赤くなった。
「ウチュウセン、キドウシマス」
「え?」
ガッタン、ガッタン……
カタカタカタ……
しきりに何処かを修理している音がする。
「?何か音がするわ」
「シュウリチュウデス」
「そうなの……?」
「ドコカ、ミテマワッタラ、ドウデスカ?」
「ううん。もう、帰るわ」
「ソウデスカ……、ザンネンデス」
じゃあね、と、扉を開けて、外へ……
「え?」
外へは出れなかった。地面がない。それに、外は青い。
「地面は?」
タニアは困惑した。
とりあえず、さっきのコンピューター室へ。
「エレナスさん?外へ出ようとしたら、地面がなかったわ」
「ソウデスカ、モウ、ソラヘデテイマスカラ……」
「お空へ?」
「ソウデス」
「どうしよう……」
島へ帰れない、と、タニアは思った。
「カンナイヲミテマワッタラ、ドウデスカ?」
「……そうね、そうする」




