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まずは、バイキング。


 「お腹すいたろう?タニア」

 「ええ、食べましょう」


 下に名前が書いてある。


 タンドリーチキン。

 バジリコのスパゲッティ―


 それを、ゆっくり取るタニア。

 

はむはむ、

ぱくぱく


「美味しいわ」

「美味しいな。タニア」


二人はもうこのイタリアンの料理に夢中。


「これくらいかな、ごちそう様しようか?タニア」

「そうね」

「しかし、この宴は、人が少ないな」

辺りを見回しても、人がまばらだ。

「そんな、悪い宇宙船でもなさそうなのになあ」

そんなことを、言っている時、

二人はテラスに座った。


ジャーン!


そんな音がなり響いた。


「ん?」

「?なんですの?」


タニア達のいる、前方に、ライトが当てられた。


「こんばんは!みなさん!今日は我がタキロウリーゼへようこそ!」


ぱちぱちぱち、


「なんだ?ショー形式か。面白い余興だ」


そんなことを、言っているロック。


「我が船主テリューは……」


その名前を聞いて、タニアは胸が、ドキッとした。


―テリュー?貴方なのね。


タニアは、ドキドキを押さえきれない。

石のネックレスを、手の中で強く握った。

そんなタニアの事も知らないロックは、


―ふうん、なんかキザな奴だな。


そんな風に思っていた。


「テリュー・ミナル氏です!どうぞ!」


ワー!


そして現れたテリュー。それを見て、ロックは立ち上がった。


 「あ!あいつは!」


 呆然とするロック。


 「テリュー……」


 タニアは、その場で石のネックレスを首に架けた。

 

「タニア!知っていたのか?」

 

そう言う、ロック。タニアは首を慌てて振った。

 

「そうか。奴め、タニアを俺から奪おうと……」

 

憎々しげにいうロック。

 

「テリュー!」

 

タニアはテリューに向かって叫んだ。

 

「タニア!僕なら、君を君のまま愛せる」

 「テリュー」


 タニアの心が動いた。

 

「あいつ……!」

 「君にあげた石のネックレス。その原石が“君”なんだ」


タニアは、椅子から立ち上がった。

 テリューは、タニアに、


 「僕は君を原石のまま愛せる……」


タニアは、石のネックレスを見た。

ただの石。

その原石のまま愛してくれる人。それが、彼、だと。


「僕と行こう!」


 と、叫ぶと、手をタニアに向けて差し出した。


 「テリュー!」


 タニアが、走り出した。


 「待つんだ!タニア!」


 ロックが、そう叫んだ。タニアはロックを振り返る。


 「待て!俺の傍から離れるな!」

 「ロック……!」


 タニアは迷う。ここまで、自分に尽くしてくれたのは、ロックだ。

そういう事なら、自分がしようとしていることは、ロックへの裏切りだ。

しかし、


 「ロック。私!彼が!」

 「タニア……、行かないでくれ、な?」

 「ロック……、私」


 タニアは、ロックの方に歩み寄る。


 「タニア!僕と!」


 テリューが、そう叫んだ。タニアは、交互に彼らを見た。


 ―私は、どちらと行けば、幸せになれるのだろうか。



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