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Step  作者: 雅猫
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休み

-休み-


仕事も決まり住まいも決まってホッとしたけど、どうして裕が一緒に働いてるのか・・・いまだに謎である。

「ホントわかんない。裕どうしてココにいるの?彼女には連絡したの?」

「連絡そのうちするよ~今は仕事に慣れないとね。身体も毎日ヘトヘトだし時間も気力なんかもないよ。」


まぁ確かに・・・朝6時前から夜10時まで毎日フルで動き回ってて私も毎日クタクタで寮に戻っても寝ることしかできない。

仕事も忙しい時期みたいでここに来てから、まだ休み1つもらえてない。

「でも彼女への連絡だけは早くしておいた方がいいと思うんだけどなぁ~」

とだけ言い残して仕事に取り掛かる。



仕事に身体も慣れてきた頃には季節はいつの間にか冬になっていた。

毎日仕事に明け暮れ、家にいた頃は大嫌いだった夜も疲れて眠ってしまって気がつくと朝という毎日が私にはとても充実して思えて楽しかった。

裕の方はというと・・・ここに来るまでのんびりしていたせいだろうか。毎日仕事があることに嫌気がさしているようだった。


今日は珍しく二人そろっての休日。

いつもは好きな時間に起きて掃除と洗濯をして1日が終わるのだが、今朝は裕の声で目が覚めた。

「おっはよ~♪今日は休みが珍しく一緒なんだぞ。早く起きろよ」

ん~・・・昨夜帰宅した時は扉にカギしたはずなんだけど、どうして裕の声がするんだろう?おかしいなぁ?

眠い目をこすって周りを見ても裕の姿はない。

あれ??夢で起こされる夢?

裕の部屋は隣・・・まさか壁の向こうの声が近くに聞こえた??


「何ボケっとしてんだよっっ!しっかり目覚ませ」

また近くで声がする・・・・・おかしい

部屋を見渡すと押入れが拳1つほど開いている。

・・・・・おかしい・・・・・


布団から出て押入れを開けてみると裕がいた。

「何してんの?!どっから入ったの?!」

裕はケラケラ笑うと押入れの天井を指差しながら言った。

「天井裏は繋がってたらしいぞ?これでいつでも侵入できるってワケだ」

オイオイ・・・不法侵入するつもりですか


「それはそうと何か用?休みが一緒だからって一緒にいる用事もないけど?」

布団を片付けながら裕に声をかける。

「今日アイツに呼ばれてるんだ。お前も来い」

「いやぁ~・・・私は彼女に何の用事もないのです。というか関係すらありませんが・・・?一緒に行く意味が分らない」

そう拒否する私を引きずるように外にズルズルと連れ出す裕。


こいつは人の話をいつになったら聞くようになるのですか・・・

きっと一生アリエナイ話かもしれない・・・・

そんな事を引きずられながら考えている間に彼女との約束の場所に到着したらしい。


彼女はまだ来てないみたい。

「ねぇ?どうして私まで一緒に来なくちゃいけないの?」

到着してから聞いても遅いと思いながらも聞かずにいられなかった。


「お前が連絡取れって言うから電話したんだよ」

「いや。だから連絡して会う事になったんでしょ?私は関係ないじゃない?」

「それが関係あるんだなぁ~」

ハッキリものを言わない裕に少しイライラしながらも続ける


「裕の家でも彼女と会話も満足にしてないのに用事って何?」

「あの。。。だからアイツと喋ってアイツ帰って来いって言うんだよ」


「で?」


「でって・・・帰らないって言ったんだ俺」


「仕事が楽しくなったの?だから帰りたくないって?」


「いや・・・あの・・・」

珍しい裕がオドオドした態度に驚きながらも続きを聞きたい。いや、聞かなきゃいけないような気がする。


「美那に惚れたから傍に居たいんだって」

ふいに後ろから声がして振り向くと裕の彼女だった。


「は?・・・・はぃ?」

突然の言葉と急に目の前に現れたのとで頭が回らない。

彼女は少しムッとしたような顔で私を見ながら喋り続けた。


「美那と一緒に居たいって言うから、そのことは本人は知ってるのか?って聞いたワケ。

そしたら何も言ってないって言うじゃない?だったら私の前で本人に伝えなさいと。そして振られたら一緒に帰ろうって話」


「ぇ?ぇ?え~~~~~っっ?!」

そんな事を突然言われてもね?裕をそういう目で見たことなかったわ・・・


「今決断して欲しいんだけど?」

彼女は私の顔を怖い顔で覗き込む。


しばらく考えてみたけれど、正直に言うのが1番だと思った。

「裕にも彼女にも悪いんだけど・・・私、・・・・」


二人の視線が突き刺さるほどに痛い・・・痛すぎる

「今の仕事ずっと続けたいと思ってる。今が楽しいの。悪いんだけど恋愛とか今全く興味ないのよ・・・」

そう言いながら顔を上げた瞬間


パン!


彼女の右手が左の頬を打った・・・いわゆるビンタってやつだ


「いったぁ~ぃ」

と突然の出来事で言ってしまったが実は痛さは感じなかった・・・


「アンタ裕を振るなんていい度胸じゃない?!」

怒ってるみたいだけど、何で怒ってるのかよく分らない。


「振って欲しかったんじゃないの?」

つい口が滑って声が出てしまった。


「振ってほしかったわよ!でも本当に振るなんてムカツク!」

彼女は結構な勢いで怒鳴ってきた。


あぁ・・・そうか。自分には裕はイイ男だからイラナイって言われることは腹が立つのか・・・

でも振られなきゃ自分が振られるのに・・・?


「あぁ・・・どっちを選んでもムカツクってビンタするのか」

あーしまった!また声に出てしまった。

私の悪いクセだ。考えていることをつい声に出してしまう。


彼女の顔がみるみる真っ赤になっていく・・・

裕が慌てて彼女を動きを制止するのを横目に

「てことで私の用事は終わりね。帰るから」

と言い残しこの場から退散することにした。


あのまま立ってたら何回ビンタされるか分ったもんじゃない。


というか私を蚊帳の外で2人で勝手に話進めてて最後だけ巻き込んでいい迷惑だ。


そのまま寮に戻るのも面白くないし、少し商店街を散歩してから帰宅することにしよう。



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