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第二十五話

「――お二人の素晴らしい笑顔の途中で恐縮ですが、ご主人様」


麻袋に転生者からくすねた何かを入れたツカサが、冷静に眼鏡を押し上げる。


「ルカ様の『不殺ルール』を遵守した結果、この金髪転生者は、数分後には目を覚まします。プライドをへし折られたチート転生者が全力で向かってくるとなれば、この前の二の舞です。この街を破壊する前に……鮮やかに高飛び(トンズラ)をキメるべきかと」

「違いない。俺も気絶パンチが一発で決まったことに驚いているくらいだ。長居は無用だな」


俺は頷き、アイリとルカの手を取って円陣を組んだ。

 ツカサも大金が入っている麻袋を背負いながら、空いた手で俺の手首を掴む。


「ご主人様。この自由都市から東へ約五百キロ、山脈を越えた先の永世中立国に、『湯煙都市ユーグラド』という世界最高峰の温泉保養地があります。そこの最高級リゾートにピントを合わせております。今回のテレポートはお任せください」

「温泉! 美味い飯と温泉っすよ師匠!!」


ルカが尻尾を振る犬のように目を輝かせる。


「ツカサ、すべて任せる。みんなツカサにつかまれ。あとルカ、いつも通り絶対防御を展開だ」

空間跳躍テレポート、起動します――会場のみなさま、ごきげんよう」


ツカサが優雅に一礼した瞬間、俺たちの足元から眩い魔法陣が展開される。

 空間が歪み、俺たちの身体は光に包まれ――俺たちは自由都市から完全に姿を消したのだった。


* * *


ポーン、と。

 竹筒が石を叩く、鹿威し(ししおどし)のような風流な音が響いた。


「……着いたな」


俺たちが降り立ったのは、綺麗に手入れされた日本庭園のような中庭だった。


「うおおおぉっ……! めっさ平和! そしてめっさ良い匂いがするっす!」


ほんの数十秒前までいた、血と欲望と土埃が充満するスラム街とは真逆の空間。

 空気が澄んでおり、ふわりと鼻をくすぐる硫黄の香りと、どこからか漂ってくる極上の出汁だしの匂いが、空きっ腹を強烈に刺激するらしい。嗅覚がほとんどない俺の代わりにルカが解説してくれていた。


ルカが歓喜の声を上げ続け、庭をピョンピョンと跳ね回る。


「……すごい」


アイリも、ポカンと口を開けて美しい温泉街の景色を見渡していた。

 ここに来るまで、彼女はずっと全身を隠すローブを被り、息を潜めて下を向いて歩いていた。

 だが今は違う。薬指に嵌めた『幻影の指輪』と、彼女自身が掌握したスキルのおかげで、もう誰の目も気にする必要はない。

 夕日に照らされるアイリの素顔は、普通の町娘のようでありながら、内面から滲み出るような自信と安堵でキラキラと輝いていた。


「さあ、ご主人様。今日は私たちが稼いだ正当な報酬カツアゲマネーで、この街で一番高いスイートルームを貸し切りましょう。美味い飯と、極上の温泉が我々を待っています」


ツカサが麻袋をポンッと叩き、満面の笑みで中庭から続く豪華な旅館の入り口を指差す。


「ああ。今日はもう、誰も戦わなくていい。限界まで休むぞ」


俺の言葉に、三人が満面の笑みで頷く。

 理不尽な世界で命をすり減らしてきた俺たちにとって、初めて手にした、本物の安息の夜が始まろうとしていた。


* * *


旅館の最上階、貸し切りのスイートルーム。

 ふすまを開けた先の広い和室には、俺たちがこれまでの人生(前世含む)で見たこともないような、極上のファンタジー飯がズラリと並べられていた。


「うおおおぉぉっ! 霜降りのオーク肉ステーキ! 幻の清流魚のお造り! これ全部、私たちが食べていいんすよね!?」

「ええ。悪党の皆様からの温かいご支援カツアゲの賜物です。存分に経済を回しましょう」


目を輝かせてステーキに食らいつくルカと、優雅に高級な酒を傾けるツカサ。

 俺も箸を手に取り、美しく盛り付けられた肉を一切れ口に運んだ。

 ……温かい。そして、肉の柔らかい食感が分かる。


「ナオキ、どう? 美味しい?」


隣に座るアイリが、期待に満ちた上目遣いで尋ねてくる。

 俺は少しだけ申し訳なく思いながら、正直に首を横に振った。


「温度と、食感も少し分かるようになったんだが……味覚の神経は、まだ完全には戻ってないみたいだ。嗅覚もまだほとんどないしな。それもあってか、味はほとんどしない」

「そっか……。治癒魔法のレベル、もっと上がればいいんだけど」


アイリがシュンと眉を下げて、自分の箸を止めてしまう。

 せっかくの美味い飯だ。彼女には心から楽しんでほしい。俺は少し思案した後、一つの解決策アイデアを思いついた。


「……アイリ。ちょっと、試してみたいことがあるんだが」

「ん?」

「俺の魔力で『極細の魔法のライン』を作って、お前と俺の舌の神経を繋ぐ。そうすれば、お前が感じている『味覚』の電気信号を、俺の脳で直接共有できるかもしれない」

「――――えっ」


アイリの動きが、ピタッと止まった。


「あの、ナオキ? 舌と、舌を、繋ぐって……」

「ツカサの右目に俺の【超視覚】を繋いだのと同じ原理だ。だがあれから随分コントロールがうまくなったから痛みはないし、魔力でできたラインは目に見えないし、物理的な距離があっても問題ない。お前が美味いものを食えば、俺も美味いと感じられるはずだ」


俺が至極真面目に論理的な説明をすると、アイリはボンッ! と音が鳴りそうなほど顔を真っ赤にして、両手で顔を覆った。


「そ、それって……っ! すっごく、その……えっち、じゃない……!?」

「ん? そうか? 別にそうは思わないが。嫌なら、ルカかツカサに――」

「だ、ダメェッ!!」


俺が言い終わる前に、アイリが物凄い勢いで身を乗り出し、俺の服の袖をギュッと掴んだ。


「わ、私がやる! ぜっったいに私と繋いで! 他の女の味覚なんて共有したら許さないんだからね!」

「……お、おう」


涙目で必死に訴えかけてくるアイリに圧され、俺は頷いた。

 俺は指先から、肉眼では見えないほど極細の『魔法のライン』を生成し、俺の舌先と、アイリの舌先の神経へとピンポイントで接続する。


「よし、繋がった。アイリ、何か食ってみてくれ」

「う、うん……っ」


アイリは顔を真っ赤にしたまま、震える手で箸を持ち、一番分厚いオーク肉のステーキをパクリと口に含んだ。

 アイリがモグモグと咀嚼した、その瞬間――。


(……っ!?)


俺の脳髄に、強烈な感覚が叩き込まれた。

 ジュワッと広がる、極上の脂の甘み。香ばしく焦げた醤油ベースのタレの塩気と、ピリッとした香辛料の刺激。

 肉が舌の上でとろけるような『美味い』という暴力的な快感が、アイリの味蕾を通して、俺の脳にダイレクトに流れ込んでくる。


「……美味い」


思わず、前世からずっと忘れていたような、心底感動した声が漏れた。

 俺が目を見開いて肉の味を噛み締めているのを見て、アイリがパァッと嬉しそうに花が咲くような笑顔を見せる。


「ほんと!? 味がする!? じゃあ、次はお魚ね!」


アイリは自分の口に新鮮な刺身を放り込み、また嬉しそうに咀嚼する。

 清流魚のコリコリとした食感と、上品で透き通るような旨味が俺の脳に伝わってくる。

 ただ味が伝わってくるだけではない。美味いものを食べて「幸せだ」と感じているアイリのポジティブな感情の揺らぎまでが、極細のラインを伝って微かに共有されているかのようだった。


「アイリ。これ、すごいぞ。お前が食べてるだけなのに、俺も一緒に最高の飯を食ってる気分だ」

「えへへ……ナオキに『美味しい』って思ってもらえるの、すっごく嬉しい」


アイリは頬を染めながら、次から次へと自分のおいしいと思う料理を口に運び、俺に極上の味覚をプレゼントし続けてくれる。

 二人だけの、目に見えない糸で繋がった甘くて熱い共有体験。


「…………あの、師匠」


ふと、向かいの席でステーキを頬張っていたルカが、箸を咥えたままジト目でこちらを見ていた。


「なにやってんすか、アンタたち」

「味覚の共有だ。非常に合理的だろ」

「いやいやいや! 傍から見たら、これ実質『Bluetooth濃厚キス』っすよ!? なんでご飯食べながら堂々とイチャついてんすか! 私の倫理観コンプライアンスが爆発しそうっす!」

「ルカは完全にツカサの言葉遣いがうつったな。何を言ってるか全然わからん」

「フフッ。味覚のサブスクリプションとは、見事なインフラ構築ソリューションですわね、ご主人様。次は私の酒の味も――」

「絶対にダメ!! ナオキの味覚は今夜、私だけの貸し切りなんだから!!」


アイリが俺の腕にギュッと抱きつきながら、ツカサに向かって威嚇するようにシャーッと牙を剥く。

 その可愛らしい独占欲に、俺はたまらず小さく声を立てて笑ってしまった。


理不尽な神にすべてを奪われ、呪われた俺たち。

 だが、こうして不器用に支え合い、感覚を分け合いながら笑い合えるこの温かい場所だけは――絶対に、誰にも奪わせはしないと。


俺は口の中に広がる極上の甘みを噛み締めながら、アイリの頭を優しく撫でた。


* * *


極上のファンタジー飯で心身を満たした俺たちは、次なる至福――旅館自慢の貸し切り大露天風呂へと足を運んだ。


「ふぁ〜っ……極楽っすねぇ……」


女湯の広い岩風呂で、ルカが肩までお湯に浸かり、だらしなくとろけた声を上げていた。

 お湯を含んでぺったりとうなじに張り付いた赤茶色のショートボブ。ザバァッと身を乗り出した彼女の身体は、小柄ながらも無駄な脂肪が一切なく、うっすらと縦に筋の入った引き締まった腹筋が水滴を弾いて艶めかしく光っている。それでいて、鎖骨の下で主張する小ぶりながらもツンと上を向いた形の良い胸は若々しい弾力に満ちており、健康的なスポーティさと女子高生らしい無防備な色気が、湯船の中で存分に弾けていた。


その隣で、アイリもまた湯船の縁に腕を預け、ふぅっと長く息を吐き出していた。

 透き通るような薄いブルーの髪を後ろでふわりとまとめ、上気してほんのり桜色に染まった素肌をお湯に沈めている。ルカの引き締まった肉体とは対照的に、縁に預けられたアイリの腕やなだらかな肩のラインは、指で押せば吸い込まれるようなマシュマロ特有の柔らかさと、女の子らしい甘い丸みを帯びていた。


そして何より目を引くのは、小柄で華奢な身体にはどう考えても不釣り合いな、暴力的なまでに豊かな胸のふくらみだ。湯船の縁に無造作に乗せられたその圧倒的な質量は、お湯の浮力すら持て余すようにむっちりと押しつぶされ、艶やかな深い谷間を作ってたわんでいる。


「本当に……こんなにのんびりお湯に浸かれるなんて、転生してきてから初めてかも」


自分の身体をじっと見つめ、アイリは小さく微笑んだ。

 左手の薬指には『幻影の指輪』が光っている。彼女自身のスキルの掌握とこの指輪のおかげで、今はもう、自分の意志に反して周囲を狂わせる【魅了】のオーラは完全に遮断されていた。


誰の目も気にせず、ただの「アイリ」として、温かいお湯を楽しめる。

 その当たり前の幸せが、今の彼女にはたまらなく愛おしかった。


「――アイリ様。これでようやく、余計な害虫モブを気にすることなく、ご主人様だけを一点集中で魅了ターゲティングできるようになりましたね」


不意に、背後からツカサが音もなく湯船を滑り寄ってきた。

 曇り止めの魔法でもかけているのか、浴場でも外さない眼鏡。その奥の知的な切れ長の瞳が、レンズを伝う水滴越しに怪しく光る。

 ザバァッと立ち上がったその姿は、小柄な二人とは対照的な、高身長でモデルのような完璧なプロポーションだった。無駄な肉が一切ない極細のくびれから、すらりとした長い脚へと続く洗練された大人のボディライン。

 それでいて、鎖骨の下で圧倒的な存在感を放っているのは、成熟した女の色気をこれでもかと主張する、重力に逆らうような見事な巨乳だ。水分を含んで透き通るような白い肌に張り付く黄金色のロングヘアを艶やかにかき上げると、その豊満な双丘でお湯の波紋をたっぷりと揺らしながら、ツカサはアイリの耳元で悪魔のように囁いた。


「今夜は極上のスイートルーム。しかも、夕食でご主人様と『味覚(粘膜)の共有』という素晴らしい事前交渉プレリュードも済ませています。……これはもう、湯上がりの勢いでご主人様の寝床に強行突破(M&A)を仕掛けるしかありませんわね?」

「なっ……!? え、えむあんど……!?」

「師匠、パパみたいに優しいから、アイリさんが押し倒したら絶対断れないっすよ!」

「ル、ルカちゃんまで何言ってるの!!」


ルカまで便乗してきて、アイリの顔は温泉の熱気以上にボンッと真っ赤に茹で上がった。


「わ、私はまだ心の準備が! だってナオキは不器用だから、そういうのはちゃんとムードとか順番を……っ!」

「ビジネスも恋愛も、先行者利益ファースト・ムーバー・アドバンテージがすべてです。さあ、気合を入れてお肌を磨きますよ!」

「ひゃああっ! 触らないでぇっ!」


ツカサとルカに挟まれ、アイリの賑やかな悲鳴が女湯の夜空に響き渡るのだった。


* * *


一方、薄い竹垣を隔てた男湯。

 隣から聞こえてくるやかましくも平和な声を聞きながら、俺は一人、静かに熱いお湯に肩まで浸かっていた。


「……温かいな」


手のひらを見つめ、小さく呟く。

 少し前まで、俺の身体は温度感覚も完全に抜け落ちた、ただの壊れた人形だった。

 だが今、俺の皮膚は、温泉の心地よい熱をしっかりと『熱い』と感じ取っている。


湯船から腕を出せば、そこには無数の傷跡や、火傷の痕が痛々しく残っている。

 決して綺麗な戦い方ではない。強力なスキルもない。弱い男だ。

 だが、この熱が。隣から聞こえてくるアイリたちの笑い声が。

 俺が今、確かにここで『幸せである』という事実を、強く実感させてくれていた。


「手加減して戦うのも、悪くないな」


明日もあいつらと美味い飯を食うために。

 柄にもなく顔が綻ぶのを隠すように、俺はお湯からパシャリと立ち上がった。


* * *


湯上がり。

 スイートルームの広い居間に、旅館が用意してくれた浴衣に着替えた四人が集まった。


「お待たせ、ナオキ」


ほんのり上気した頬に、しっとりと濡れた透き通った薄いブルーの髪。

 見慣れない、少しはだけた和装(浴衣)姿のアイリは、破壊的なまでに色っぽく、そして可愛らしかった。

 石鹸の甘い香りがふわりと漂い、俺は思わず視線を逸らして咳払いをした。


「……似合ってるぞ」

「えへへ、ありがとう」


アイリが嬉しそうに俺の隣に座り、身を寄せてくる。

 その平和な空気を切り裂くように、ツカサがテーブルの上にいくつかのアイテムを広げた。


「さて、皆様。宴もたけなわですが、次なる事業計画ネクスト・フェーズの策定に入りましょう。この莫大な資金を使った当面の目標は二つ。一つは、この永世中立国『ユーグラド』における【一般市民への身分証の上書き】です」


俺は自分の身分証を見つめた。

 俺は転生時にボーナスポイントで一般市民の身分証をきちんと入手していたおかげでピンチを乗り越えここまでこれたわけだが、領主の事件の後に確認してみると、身分証は真っ赤になっており【奴隷(犯罪者)】という文字が表示されているだけだった。


「どうやらシステムが関わっている身分証や奴隷の首輪には、国家レベルであれば干渉できるようなのです。ユーグラドの上層部にたっぷり寄付して裏ルートを通せば、システムの身分欄を真っ白な【ユーグラド国市民】へと上書き登録できます。これで、晴れて犯罪者の奴隷落ちから解放されるというわけです」

「おおーっ! つまり、日陰をコソコソ歩かなくていいってことっすね!」

「私、ナオキの奴隷っていうのも嫌いじゃなかったけど……やっぱり、普通の手繋いで歩ける『女の子』に戻れるのは嬉しいな」


ルカがバンザイをして喜び、アイリも頬を染めながら俺の袖を引く。


「……だが、ツカサ。お前がそこまで身分回復に熱を上げる理由は何だ? お前の知能なら、このまま目立たず身分を偽装したまま俺たちが裏社会で生きるルートも描けるはずだろう」


俺が訝しげに尋ねると、ツカサは眼鏡をギラリと光らせ、両手を胸の前でギュッと握りしめた。


「愚問ですね、ご主人様。この世界のシステムでは、『奴隷が奴隷を所有すること』は認められていません。つまり、ご主人様がシステム上【奴隷】のままである限り、私との主従契約はシステム的に無効になってしまっており……私はただの『同行者』の奴隷になってしまうのです!」

「……は?」

「そんなの絶対に嫌です! 私は、システムに正式に認められた『ご主人様の1番の所有物ドレイ』になりたい! その至高のステータス(KPI)を達成するために、まずはご主人様を一般市民に引き上げる必要があるのですぅぅっ!」


ツカサが鼻息を荒くして、変態的な熱量で力説する。


「……ツカサさんって、頭良くて美人なのに、本当に中身が残念ポンコツっすよね」

「ちょっとツカサさん! ナオキの1番は私なんだから、勝手に変なことしないでよね!」

「アイリ様、それでもアイドルですか? ビジネスにおいてナンバーワンの座は常に実力で奪い取るものですわ! ハッハッハ」


呆れるルカと、なぜか対抗心を燃やし始めるアイリ。

 俺は痛くなる頭を押さえながら、テーブルの上の金貨を一枚手に取った。


「……まあいい。理由はどうあれ、身分をロンダリングできるならそれに越したことはない」


俺は金貨を指で弾き、話を本筋に戻す。


「身分が綺麗になれば、堂々と不動産も買える。他人の目を気にせず、ルカが安心して眠れて、俺とアイリが……そしてツカサが騒いでも問題ない場所。俺たち自身の手で、最強の拠点マイホームを手に入れるってのはどうだ」

「賛成っす! 私、自分のお部屋が欲しいっす!」

「私も! 素敵なお家にしようね、ナオキ!」

「ええ、最高の労働環境ホワイトを構築しましょう、ご主人様!」


理不尽な世界で命をすり減らしてきた俺たちが、初めて手にする「正当な身分」と「自分たちの居場所」。

 窓の外には、湯煙に包まれた美しい街並みが広がっている。

 俺たちの異世界での新たな日常の幕が、静かに、そして確かな希望と共に上がろうとしていた。

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